Twelveが「CO2由来の航空燃料」を実用化
課題解決に挑むTwelve
Twelveは、回収したCO2を原料に航空燃料や化学品を製造する米国の企業です。同社は2015年に創業し、カリフォルニア州バークレーに本社を置いたのち、ローレンス・バークレー国立研究所の育成プログラム「Cyclotron Road」の第1期に参加しました。創業したのは3人で、スタンフォード大学の研究室で同じ課題に取り組んでいたケンドラ・クール氏とエトーシャ・ケイブ氏、そして同大学のビジネススクールに在籍していたニコラス・フランダース氏です。
電気分解で石油を代替
同社の製造方法は、回収したCO2と水に再生可能エネルギーの電気を加え、電気分解を経てジェット燃料を合成するものです。中心にあるのは、水の電気分解に使われる電解装置を応用して、CO2を一酸化炭素などの反応しやすい分子へ変える工程です。そこで得た分子をつなぎ合わせると、石油由来のジェット燃料と同じ種類の炭化水素(炭素と水素からできた物質)ができ、燃料の原料が石油から回収したCO2へ置き換わります。同社によると、この燃料は原料の調達から燃焼までを通したCO2の排出量を、従来のジェット燃料と比べて最大で約90%抑えられます。
既存の設備のまま利用可能
同社の航空燃料「E-Jet SAF」は、代替ジェット燃料の国際規格ASTM D7566の付属書A1に適合しており、石油由来のジェット燃料に上限50%まで混ぜる形で既存の旅客機へ給油できます。航空会社は、機体やエンジン、空港の給油設備を改修する必要がないため、追加の設備投資を抑えながら導入を進められます。あわせて製造される「E-Naphtha」は、プラスチックや包装材、溶剤、合成繊維の原料となるナフサ(原油から取り出す石油化学の原料)と同じ性質を持つ物質です。燃料と化学品の両方で石油を置き換えられるため、導入する企業は既存の工程を保ったまま脱炭素を進められます。

FrontJournalの解説
- 電解装置電気を流して物質を分けたり変えたりする装置。水の電気分解では水素と酸素に分かれ、Twelveの装置ではCO2が一酸化炭素などに変わる。
- ASTM D7566代替ジェット燃料の国際規格。製法ごとに付属書が定められ、適合した燃料は石油由来のジェット燃料に混ぜて既存の航空機へ給油できる。付属書A1では混ぜられる割合の上限が50%である。
- 一酸化炭素炭素と酸素が1つずつ結びついた気体。ほかの分子と結びつきやすく、燃料や化学品を組み立てる出発点として工業的に広く使われている。