工場と家庭で働く人型ロボットを開発する Figure AI(米国発)

工場と家庭で働く「人型ロボット」を開発【Figure AI|米国発】

製造や物流の現場では、働き手の確保が世界共通の課題になりました。この課題に挑むのが、米国カリフォルニア州のフィギュアAI(Figure AI)です。人と同じ形をした人型(ヒューマノイド)ロボットを開発しています。2026年6月には、BMWの工場で最新機「Figure 03」が部品の仕分けを開始しました。2025年9月には10億ドル超(約1,500億円)を調達しました。評価額は約390億ドル(約5兆8,500億円)です。

製造と物流の課題

Figure AIの紹介と、製造と物流の現場で人手が不足し、産業用ロボットは用途が固定されているという課題を示す図

製造現場で人手が不足

国内外の工場や倉庫では、必要な人数の確保が課題です。日本では生産年齢人口が減少し、米国でも製造業の求人が埋まりにくい状況が続いています。働き手が集まらなければ、工場は生産量の維持に苦労します。

産業用ロボットは用途が固定

工場で長く使われてきた産業用ロボットは、決まった作業の繰り返しを得意とします。設置場所や専用の治具に合わせて組むため、別の作業へ切り替えるには周辺設備の作り直しが必要です。生産する品目が頻繁に変わる工程では、導入の効果を出しにくくなります。

FrontJournalの解説
  • 産業用ロボット工場の生産ラインに据え付けて、溶接や塗装、部品の運搬などを自動で行う機械。腕の形をしたものが多く、決まった動作を高速かつ正確に繰り返す用途に向く。

Figure AIが人型ロボットを開発

Figure AIが人型ロボットを開発していることを示す図。自社開発のAI「Helix」で判断し、量産工場BotQで供給を拡大する

課題解決に挑むFigure AI

Figure AIは、人と同じ形の人型ロボットを開発する米国企業です。起業家のブレット・アドコック氏が2022年にカリフォルニア州で創業しました。

自社開発のAIで判断

同社の強みは、自社で開発したAI「Helix(ヘリックス)」にあります。Helixは、見る・言葉を理解する・体を動かすという働きを、1つの仕組みで担います。2026年1月に公開した「Helix 02」は、歩行と物の操作を同じ学習の仕組みで制御します。同社は、初めて見る物でも持ち方をその場で判断できると説明しています。

量産工場で供給を拡大

Figure AIは、ロボットを量産する自社工場「BotQ(ボットキュー)」を2025年3月に稼働させました。2026年4月には、生産速度が1日1台から1時間1台へ高まったと発表しています。同社によると、出荷済みの「Figure 03」は350台を超えました。少数を手作りする段階から、工場で量産する段階へ移りつつあります。

FrontJournalの解説
  • 人型ロボット頭・胴・両腕・両脚という人と同じ形をしたロボット。人のために設計された通路や階段、工具をそのまま使える点が特徴で、ヒューマノイドとも呼ばれる。
  • HelixFigure AIが開発したAI。カメラの映像と言葉の指示を受け取り、腕や指の動かし方をその場で決める。見る・理解する・動かすを1つの仕組みでつなぐ構成をとる。
  • BotQFigure AIが2025年3月に稼働させた自社の量産工場。ロボットを1台ずつ手作りする方式から、部品を流して組み立てる量産方式へ移すために設けられた。

人型ロボットの未来

人型ロボットの未来を示す図。工場で物流の仕分けをすでに担い、家庭での作業を視野に入れ、約1,500億円を量産増強にあてる

物流の仕分けを担う

人型ロボットは、工場の物流工程で人の作業を引き受け始めました。BMWのサウスカロライナ州スパルタンバーグ工場では、2026年6月から「Figure 03」が稼働しています。箱に入った薄い部品を1枚ずつ取り出し、順序をそろえて台車で運びます。人の手で行ってきた仕分けを機械が担えば、作業者は別の工程に力を向けられます

家庭での作業を目指す

Figure AIは、工場に続いて家庭で使える人型ロボットを目指しています。2025年10月に公開した「Figure 03」は、家庭での利用も想定した3世代目の機体です。同社はデモンストレーションで、食器洗い機への出し入れを自動で続ける様子を示しました。家事の一部をロボットが担う暮らしが、研究の段階から実験的な導入へ近づいています。

約1,500億円を調達

Figure AIは2025年9月、10億ドル超(約1,500億円)の調達を発表しました。評価額は約390億ドル(約5兆8,500億円)となり、パークウェイ・ベンチャー・キャピタルが主導しました。エヌビディアやブルックフィールド、クアルコムなども出資に加わっています。同社は資金をHelixの拡張とBotQの増強にあて、4年間で10万台の出荷を目指すとしています。

FrontJournalの解説
  • 評価額投資家が出資する時点で、その会社にどれだけの値段が付くかを表した目安の金額。売上や利益ではなく、将来への期待を織り込んで決まる。

人型ロボットの課題と将来性

人型ロボットは、研究所の実験から実際の生産現場へ場所を移しました。Figure AIは自社開発のAIと量産工場を組み合わせ、工場と家庭の両方に向けて機体を供給し始めています。一方で、価格や安全性、長時間の稼働に耐える信頼性は、これから確かめる段階にあります。日本の製造現場も、同じ人手不足の課題を抱えています。FrontJournal編集部は、人型ロボットの普及が日本の製造現場の選択肢を広げることに期待しています。

※ 本記事は各社の公式発表・主要報道をもとに、FrontJournal編集部が再構成したものです。数値は各社・各媒体の公表値です。ドルの円換算は1ドル=約150円で概算しています。
主な出典:Figure AI 公式ニュース(F.03 at BMW/Helix/Ramping Figure 03 Production)、The Robot Report。

この記事の作者

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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