「Starcloud-1」が宇宙でデータセンターを動かした
初号機の実証┃H100搭載衛星の打ち上げに成功
Starcloudは2025年11月、小型衛星「Starcloud-1」の打ち上げに成功しました。重さは約60kgで、ちょうど小さな冷蔵庫くらいの大きさです。中に、AI向けとして広く使われるエヌビディアの高性能GPU「H100」を1枚搭載しています。従来、宇宙で使われてきた計算機と比べて、GPUの計算能力は約100倍と発表されました。宇宙にこれだけの計算能力を持っていったのは、「Starcloud-1」が初めての例です。
宇宙でのAI動作┃言語モデルの稼働と学習に成功
「Starcloud-1」は、宇宙でただ電源が入るだけの実験機ではありません。2025年12月には、米グーグルの研究部門ディープマインドが公開している言語モデル「Gemma(ジェンマ)」を宇宙で動かすことに成功しました。さらに、AI研究者アンドレイ・カルパシー氏が公開している学習用の小型モデル「nanoGPT」を、宇宙で新しく学習させることにも成功しています。「宇宙でAIが本当に動くのか」という問いに、稼働と学習の両面で「動く」と答えを出した実験になりました。
次期計画┃BlackwellとSpaceX光通信で拡張
Starcloudは、より大きな2機目の衛星「Starcloud-2」を2026年後半に打ち上げる計画です。載せるのは、エヌビディアの次世代GPU「Blackwell(ブラックウェル)」を複数枚、そして米アマゾンのクラウド事業AWSが提供するサーバ用の部品。データセンターに近い構成を宇宙で試すことになります。あわせて2026年5月には、宇宙開発大手SpaceXと契約し、Starlink(スターリンク)の小型レーザー通信装置を次に打ち上げる25機の衛星に組み込むと発表しました。宇宙で計算した結果を、光通信で速く地上や他の衛星に届ける狙いです。

FrontJournalの解説
- GPU画像処理やAI計算に使う高性能なプロセッサ。AIの学習や推論の速さを大きく左右する。
- H100(エイチ・ヒャク)エヌビディアが開発したAI向けの高性能GPU。世界中のデータセンターやAI研究で広く使われる。
- Blackwell(ブラックウェル)エヌビディアが2024年に発表した次世代のGPU。H100より高い計算能力を目指す。