AICU Japan株式会社は画風の利用に応じて報酬を配る画像生成を研究する東京科学大学発の企業

AICU Japan株式会社(アイキュージャパン)

AICU Japan「クリエイティブAI報酬配布」を研究|研究領域=指示文の絵柄を生成の前に確認/強み=作者への対価に同意してから生成/将来性=作者へ対価が届く仕組みを世界へ

企業紹介|AICU Japan株式会社とは?

生成AIで作った画像の絵柄について、もとになった作者へ対価を戻す技術として、注目を集める「クリエイティブAI報酬配布」。AICU Japan株式会社は、その社会実装を目指す、東京科学大学発のAI系ディープテック企業です。クリエイティブAIの検定作品の認証、専門メディアの運営などを、企業や教育機関、個人のクリエイターへ提供しています。

キーワード「クリエイティブAI報酬配布」

「クリエイティブAI報酬配布」は、画像を生成する前に、使う絵柄を見分け、対価が生じる場合にその場で提示する仕組みです。特徴は、著作権の争いとは別に、利用者と作者のあいだで対価の取り決めを結べる点にあります。イラストの発注や広告の制作で、絵柄の扱いをめぐる不安を抱えずに生成AIを使えます。

市場課題|生成AIが著作権の問題を生む

現状の画像生成AIの課題|もとの作者へ対価が届きにくい/画風は著作権で守りにくい

もとの作者へ対価が届きにくい

生成AIによる画像制作が広がる一方で、絵柄のもとの作者へ対価が届きにくい状況が生まれています。利用者は好みの作風を指示文に書くだけで画像を得られますが、その作風を築いた作者へ対価が渡る道筋はまだ定まっていません。対価の流れが定まらないまま利用が広がれば、作品の公開をためらう作者が増えると懸念されます。

画風は著作権で守りにくい

著作権法が守るのは具体的な表現であり、作風や画風そのものは保護の対象に含まれません。侵害が認められるには、表現が似ている類似性と、その作品に依拠した依拠性の両方が必要です。文化庁が2024年3月に示した考え方でも、作風が共通するだけでは類似性は認められないと整理されており、画風を守る手立ては著作権の外に求めることになります。

他にも、指示に使う作風の名前、学習に用いた作品の範囲、対価の配分の決め方、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 類似性生成された作品が、既存の著作物の表現と似ていることを指す。著作権の侵害が認められるための要件の一つで、作風や画風が共通するだけでは認められない。

AICU Japanの強み|生成の前に対価を判定

AICU Japanが「クリエイティブAI報酬配布」を開発|対価の要否を画面に示す/指示文の絵柄を辞書で照合

対価の要否を画面に示す

画像を生成するサービスの多くは、指示文を受け取ってから出力するまでの間に、画風の扱いを確かめる工程までは組み込まれていないといわれています。

「クリエイティブAI報酬配布」は、著作権の争いとは別に、当事者どうしで画風の利用を取り決める仕組みです。この流れは、同社が国内で登録を受けた特許第7814797号に、4つの工程として記されています。この4つの工程では、指示文や見本の画像から使う絵柄を見つけ、その絵柄に対価が要るかどうかを調べ、要る場合は有料の申し出を画面に示し、利用者の同意を得てから画像を作ります。出力したあとに侵害かどうかを争うのではなく、生成の前に合意を成立させる順序です。

指示文の絵柄を辞書で照合

どの作風を使ったのかを、利用者と権利者が同じ言葉で確かめる手立ては限られてきました。

同社の特許では、指示文を解析する処理が画風辞書を参照し、絵柄を表すキーワードを抜き出します。抜き出した絵柄に対価が生じるかどうかは、画風利用データベースとの照合で決まります。この2つの辞書が見るのは、利用者が指示文に書いた絵柄で、生成AIの内部で何が使われたかを調べるものではありません。同社はさらに、制作の過程と使ったモデル、参照した絵柄を記録する認証基盤「cert」を進めています。記録が残れば、作り手は自分の作品の正当性を後から示せます。

FrontJournalの解説
  • 画風利用データベース絵柄ごとに対価が生じるかを記録した一覧を指す。生成の前に指示文から抜き出した絵柄と照合し、対価が必要かどうかを判定する基準となる。

クリエイティブAIの未来|検定と国際展開へ

クリエイティブAI報酬配布が変える未来|検定と教材で使い方を教える/ゲーム開発で知財を作る/対価が届く基盤の拡大を目指す

検定と教材で使い方を教える

同社は、生成AIを扱う人のスキルを認定する検定と、教材の提供をすでに始めています。画像生成の環境を構築する手順をまとめた解説書「ComfyUIマスターガイド」を発行し、高性能な画像処理装置を用意しなくてもブラウザから使える共有環境も提供しています。毎月発行する「AICUマガジン」で取り上げるのは、制作の手順や権利の考え方です。企業の研修から子ども向けの講座まで、対象に合わせた教育の場を設けています。

ゲーム開発で知財を作る

2026年3月には、国際ゲーム開発事業を始めました。今後は、生成AIを前提にした制作の流れを整え、少人数でも開発に挑戦できる体制の構築を進めます。イラストレーターやエンジニア、VTuberなど、多様な作り手との共創を掲げています。キャラクターや世界観を含む知的財産の開発を通じて、日本発の作品を海外市場へ届ける計画です。

対価が届く基盤の拡大を目指す

同社が目指すのは、「生成AIの利用と権利の保護を両立させる基盤を、国境をまたいで整えること」です。中核となる特許は国内で登録され、国際出願を経て中国でも公開されています。ただし著作権の制度は国ごとに異なるため、運用は各国の法制度に合わせる形です。創作の現場で生成AIが当たり前に使われるほど、対価と記録を扱う土台の必要性は高まると見込まれます。

会社概要|AICU Japanの設立背景と事業

東京科学大学の拠点で創業

AICU Japan株式会社は、2024年11月11日に東京都港区で設立されました。拠点を置くのは、東京科学大学の田町キャンパスにあるキャンパス・イノベーションセンター内の「INDEST」です。創業の中心となったのは、東京科学大学の客員教授で工学博士の白井暁彦氏です。同氏は代表取締役CEOを務めています。米国カリフォルニア州のAICU Inc.を親会社とし、日本法人がクリエイティブAIの検定と認証を担う体制です。

認定ベンチャーと大学連携

同社は、大学や事業会社との連携を広げています。2025年3月には、東京科学大学の認定ベンチャーの称号を7社目として受けました。デジタルハリウッド大学や開志創造大学とも関わりを持ち、教育の現場と研究の成果をつないでいます。画像生成モデルを開発するStability AIとは、戦略パートナーとして協力しています。

検定と教育が収益の柱

同社は、検定や教育プログラム、出版とメディアの運営から収益を得ています。毎月発行する「AICUマガジン」や解説書の販売に加え、企業向けの研修コンサルティングも事業の柱です。検定の受験料や書籍の販売は、生成AIを扱う人が増えるほど需要が広がります。2026年3月に始めたゲーム開発と知的財産の事業も、今後の収益源に育てる計画です。

会社情報

会社名AICU Japan株式会社(AICU Japan K.K.)
所在地東京都港区芝浦3-3-6 東京科学大学 キャンパス・イノベーションセンター INDEST
設立2024年11月11日
代表代表取締役CEO:白井 暁彦(東京科学大学 客員教授・工学博士)
事業クリエイティブAIの検定・スキル認定および作品の認証(cert事業)。教育・研修プログラムの企画と提供。専門メディア「AICU media」と「AICUマガジン」の運営。ソフトウェア・ハードウェアの開発。国際ゲーム開発と知的財産の開発(2026年3月開始)
技術領域入力言語又はサンプル画像に基づいて画像を生成するためのシステム(特許第7814797号・2026年2月登録)。画風特定部・報酬判断部・報酬説明部・画像生成部による報酬配布。国際出願(WO2025143271A1)を経て中国で公開(CN121127888A)
連携東京科学大学。デジタルハリウッド大学。開志創造大学。Stability AI(戦略パートナー)。親会社:AICU Inc.(米国カリフォルニア州サニーベール)
採択東京科学大学 認定ベンチャー 第7号(2025年3月)
URLhttps://aicu.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

生成AIをめぐる議論は、使ってよいかどうかの二択で語られがちです。AICU Japanが取り組むのは、使うことを前提に、絵柄のもとになった作者へ対価が届く道筋を作ることです。絵柄を見つける工程と、対価が要るかを調べる工程を切り分けている点に、仕組みとしての設計の細かさが表れています。

注目したいのは、単なる権利の管理ではなく、作り手を増やす活動と一体で進めている点です。検定や教材、マガジンの発行は、生成AIを扱う人の裾野を広げます。裾野が広がるほど、対価と記録を扱う土台の価値も高まります。

創作の現場で、権利を心配せずに生成AIを使える日常が広がることを期待しています。

フロントジャーナル編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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