バイオプロジェクト「動物用善玉菌」を開発

バイオプロジェクト株式会社

バイオプロジェクト「動物用善玉菌」を開発

企業紹介|バイオプロジェクト株式会社とは?

病原菌への拮抗力をもつ細菌を粉末にして、ミツバチや魚、馬、豚などに用いる「動物用善玉菌」。バイオプロジェクト株式会社は、その開発と実用化に取り組む、宮崎大学発のディープテック企業です。公式サイトは、動物用善玉菌と健康食品を開発・製造する会社と、自社を紹介しています。

キーワード「動物用善玉菌」

「動物用善玉菌」は、病原菌の増殖を抑える働きをもつ細菌を、動物向けの資材にしたものです。同社は、ミツバチが飛来する湧水から分離した「Pseudomonas fons MS-1株」を使い、超低温で保管した原株の生菌を凍結乾燥して粉末にしています。展開先は、養蜂、水産養殖、競走馬、養豚の現場。

市場課題|家畜の感染症対策に抗菌剤が欠かせない

現状の家畜の感染症対策の課題

抗菌剤は薬剤耐性菌を選ぶ

抗菌剤を使うと、薬が効きにくい薬剤耐性菌が選ばれるリスクが常にあります。農林水産省の指針は、動物用の抗菌剤を家畜の健康と安全な食品の安定生産に重要な資材としつつ、耐性菌が人の医療や獣医療に影響するリスクを明記しています。耐性菌が増えれば、抗菌剤そのものが効きにくくなりかねません。

使用を減らすには予防が必要

同じ指針は、飼養衛生管理の水準を上げて感染症の発生を予防することが、抗菌剤の使用機会を減らすうえで極めて重要としています。予防の手段は、飼養環境の改善、ワクチン接種、適切な飼料の給与と栄養管理。予防が行き届かなければ、病気のたびに抗菌剤を使う場面が残ります。

他にも、飼養衛生管理(飼育環境を清潔に保つ取り組み)の徹底、環境の改善、ワクチンの活用、飼料の見直し、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 薬剤耐性菌抗菌剤が効きにくくなった細菌である。抗菌剤の使用で、効く菌が減る一方、耐性をもつ菌が生き残って増える。

バイオプロジェクトの強み|「動物用善玉菌」を開発

バイオプロジェクトが「動物用善玉菌」を開発

湧水から拮抗力の強い菌を分離

同社の事業報告は、善玉菌とされてきた乳酸菌やビフィズス菌の抗菌力は、弱いか無いとしています。

「Pseudomonas fons MS-1株」は、ミツバチが飛来する湧水から分離・培養された細菌です。公開資料には、16S rRNA遺伝子の配列の解析を含む菌株の同定情報が載っています。公式サイトは、病原菌に対する強い拮抗力が確認されているとしています。拮抗力とは、同じ場所にいる別の微生物の増殖を抑える働きのことです。この菌を用いた製品により、飼養の現場で、薬剤以外の選択肢を取り入れることができるようになります。

凍結乾燥した粉末を動物別に展開

微生物を資材にするには、菌の機能を保ったまま、扱いやすい形へ整える必要があります。

製品は、超低温下で貯蔵した「原株生菌」を、精密な凍結乾燥の技術で、高い生存率のまま粉末にしたものです。培養には高品質な材料を使い、添加物、保存料、異性化糖(果糖ぶどう糖液糖)は使いません。ミツバチ向けの「スーパービーII」、水産用の「スーパーFish II」、競走馬用の「ラッキーホース(超馬)」、豚用の「とんとんグッド」は、モルト粉末、酵母抽出物、ブドウ糖、キチン・キトサンとMS-1株を含みます。水産養殖向けは、飼養環境や魚種ごとの導入について、同社へ相談することができます。

FrontJournalの解説
  • 凍結乾燥凍らせた物を真空にして、水分を氷のまま気体に変えて取り除く乾燥法である。菌の生存率を保ったまま粉末にできる。

動物用善玉菌の未来|薬剤使用の削減へ

薬剤使用の削減が変える未来

養豚で抗生物質無添加飼料へ移行

同社の事業報告は、実際の養豚農家への導入事例で、抗生物質無添加飼料への移行によりウイルス性疾病の発症が減ったとしています。導入した養豚農家では、薬剤費も大幅に下がったとの記載です。あわせて、宮崎県畜産試験場の養豚の飼育試験では、微生物を添加した飼料が従来の抗生物質混合飼料より高い体重増加率と優れた飼料効率を示したと記しています。

水産と養蜂の現場への広がり

同じ事業報告によると、薬剤の効果が及びにくいアユの冷水病とポックスウイルス病の対策に、同社の微生物が使われています。採用先は、大分県、滋賀県、岐阜県、三重県の主要なアユ生産場。ウナギでは、主に愛知県と鹿児島県の養鰻場が採用しています。ミツバチ向けは日本養蜂協会を通じて販売され、同協会の会員の約70%が使用しているとの記載です。

薬剤使用量の削減を目指す

同社は、設立の目的に、善玉微生物の研究開発と実用化を進め、薬剤の使用量をより少なくする社会の実現を掲げています。植物では、病害防除と生育促進に有効な微生物を開発し、肥料として登録した実績(事業報告の記載)。事業報告は、低薬剤の飼養を志向する酪農家が増えているともしています。対象は、動物と植物、健康食品に及びます。

会社概要|バイオプロジェクトの事業内容・設立背景

宮崎大学の研究から事業化

バイオプロジェクト株式会社は、2006年2月に宮崎県宮崎市で設立された、宮崎大学発のベンチャー企業です。公式サイトによると、2005年に日本養蜂協会の研究支援を起点として、宮崎大学農学部の研究チームが各地から1,000株以上の微生物を集め、実験室での評価を始めました。代表取締役の前田昌調氏は、農林水産省の研究所部長や宮崎大学教授を経た、同大学名誉教授で農学博士です。

製品群と報道の記録

製品は、ミツバチ向けの「スーパービーII」、水産用の「スーパーFish II」、競走馬用の「ラッキーホース(超馬)」、豚用の「とんとんグッド」と、健康食品のブランド「シーズンビュー」です。水産用の製品は、飼養環境や使用する魚種ごとに導入を相談する形です。公式サイトの沿革には、2005年に日本経済新聞、2007年に読売新聞、2009年と2012年に朝日新聞へ記事が掲載されたことが記されています。製品ごとの仕様や利用条件は、同社への問い合わせで確認します。

宮崎市に本社

本社は、宮崎県宮崎市の薫る坂にあります。公式サイトは、同社を、微生物の力を活かして人と動物、農業の健康を支える企業と紹介しています。問い合わせの窓口は、電話とメール。健康食品の部門は「シーズンビュー」の名で、専用のサイトを運営しています。

会社情報

会社名バイオプロジェクト株式会社
所在地宮崎県宮崎市薫る坂2丁目12-3
設立2006年2月
代表代表取締役 前田昌調
事業動物用善玉菌の開発・製造、健康食品の開発・製造
技術領域機能微生物(Pseudomonas fons MS-1株)、凍結乾燥による粉末化
連携宮崎大学、日本養蜂協会
URLhttps://bioproject.ne.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

家畜の感染症対策は、抗菌剤の使用と薬剤耐性菌の関係から、使用を減らす方向が国の指針でも示されています。その手段の一つとして、ミツバチが飛来する湧水から菌を探し出し、粉末の資材にまで仕上げた経緯に注目しました。とくに、養蜂、水産、養豚と、動物ごとに製品を分けて展開している点が特徴です。

試験や導入の結果は、同社の事業報告に基づく記述で、第三者による検証は確認できませんでした。公式サイトも、製品が特定の結果を保証するものではないと注記しています。薬剤の使用量を減らす飼養の選択肢が増えることを、期待しています。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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