株式会社ExData|実世界データを小さく圧縮するソフトを開発する名古屋大学発ディープテック

株式会社ExData(エクスデータ)

ExData「実世界データ圧縮」を開発|研究領域=実世界の記録を小さく保存/強み=意味を使い圧縮率を高める/将来性=残して使う社会を目指す

企業紹介|株式会社ExDataとは?

実世界で集まる大量のデータを、小さく保存する「実世界データ圧縮」。株式会社ExDataは、その社会実装を目指す、名古屋大学発のデータ系ディープテック企業です。CSV(表形式のデータ)やJSON(入れ子も表せるデータ形式)の意味的な構造を生かす圧縮ソフト「SemantiPack」を、ブラウザ上でも試せる形で公開しています。

キーワード「実世界データ圧縮」

実世界データ圧縮は、センサーや業務システムなどが記録する実世界データを、小さく保存する技術です。実世界データには、決まった形式で記録され、同じ形式が繰り返され、列ごとの特徴が強いという性質があります。同社は、この性質を生かしてCSVやJSONを小さくする圧縮ソフトを開発しています。

市場課題|実世界データは集まるのに、残せない

現状の実世界データの課題|現状は、保存の負担が重く処分が続く/収集したデータの処分が続く/汎用圧縮では削減に限界

収集したデータの処分が続く

IoT機器などの普及で、さまざまな現場で実世界データを収集できるようになりました。一方で、保存の負担が重く、収集したデータを数カ月から数年で処分する組織もあるのが実情です。活用されないまま失われるデータが生まれ、後の分析や再利用の機会が損なわれます。

汎用圧縮では削減に限界

データを小さくする方法として、gzipなどの汎用の圧縮が広く使われています。ただし、汎用の圧縮はデータの意味を考慮しないため、表形式や入れ子のデータが持つ規則性を十分に生かせません。その結果、保存量の削減に限界があり、長期保存の負担が残ります。

他にも、保存にかかる費用、データを共有する際の転送量、長期保存のための管理、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 実世界データセンサーや機器、業務システムなどが現実の活動を記録して生まれるデータを指す。決まった形式で記録され、同じ形式が繰り返される点が特徴で、表形式や入れ子の形で扱われることが多い。

ExDataの強み|「実世界データ圧縮」を開発

ExDataが「実世界データ圧縮」を開発|現在は、CSVとJSONの圧縮を提供/意味構造で圧縮率を高める/複雑なJSONも小さくできる

意味構造で圧縮率を高める

gzipなどの汎用の圧縮は、データを文字や数値の並びとしてしか見ないため、列ごとの意味や型の違いを生かせません。

同社の「SemantiPack」は、データの構造を表すメタデータ(データの内容を説明する付随情報)と、列の意味を表すメタデータを使って圧縮します。構造のメタデータはルールで生成し、意味のメタデータは大規模言語モデルで生成します。比較では、圧縮後のサイズがgzipより約50%、最良のロスレス手法(完全に元へ戻せる圧縮)より平均で約20%小さくなりました。データの規則性を手がかりにする点が、汎用の圧縮との違いです。長期保存したい組織と私たちは、同じ容量で多くの記録を保てるようになります。

複雑なJSONも小さくできる

表形式を前提にした方式では、複雑に入れ子になったJSON(入れ子も表せるデータ形式)までは対象にしにくい面があります。

「SemantiPack」は、データの意味を示すメタデータで圧縮するため、複雑なJSONも対象にできます。27種のデータを従来手法と比べると、CSV(表形式のデータ)は約16〜19%、JSONは約23%小さくなりました。比較した従来手法は、bzip2、bzip3、gzip、xz、zstd、Apache Parquetなどです。多少の誤差を許すロスありモードも備えています。CSVやJSONで記録したログや機器データを扱う組織は、保存と共有にかかる負担を減らせます。

FrontJournalの解説
  • メタデータデータの内容や構造を説明する付随情報を指す。列の型や意味を記したものがあり、圧縮ではこの情報を手がかりに、データの規則性を利用する。

未来・展開|実世界データを残して使う社会へ

残せるデータが変える未来|今後は、残して使う社会を目指す/ブラウザで試せる版を公開/AIメタ圧縮の研究開発へ/データを残して使う社会を目指す

ブラウザで試せる版を公開

同社は2025年11月19日に、初の自社製品「SemantiPack」のベータ版を公開しました。Web版はWebAssemblyで動き、入力データはブラウザ内で処理されます。入力できる容量は16メガバイトまでで、無料のベータテスター登録をすると64メガバイトまで広がります。2026年10月には、CLI版(コマンド入力で使う版)のv0.2.3で新しいアーカイブ形式の.spa/.splaと、XML(アルファ版)に対応しました。

AIメタ圧縮の研究開発へ

2026年6月27日に、令和8年度のGo-Tech事業(通常枠)への採択が発表されました。計画名は「実世界データ利活用推進のためのAIメタ圧縮・分析アシスト技術の研究開発」です。連携する大学は名古屋大学で、事業管理機関は株式会社サイエンス・クリエイトです。圧縮したデータを分析にも使いやすくする「AIメタ圧縮・分析アシスト技術」の構築を目指しています。

残して使う社会を目指す

同社は、実世界データを捨てずに残し、あとから使える状態に保つ方針です。背景には、将来にわたって実世界データを使い続ける「データ・サステナビリティ」(データを持続的に活用する考え方)という発想があります。データを小さく残し、過去の記録を分析や研究に再び使える社会の実現が狙いです。実現すれば、組織は集めたデータを処分せずに済み、私たちも過去の記録から新しい知見を得やすくなります。

会社概要|株式会社ExData

名古屋大学河口研究室発

株式会社ExDataは、2022年7月7日に設立された、名古屋大学河口研究室発のテックベンチャーです。事業は、実世界データを抽出、変換、交換、可視化するソフトウェアの研究開発と、各種アプリケーションソフトの企画、制作、販売です。本社は愛知県名古屋市緑区にあります。代表取締役の永田吉輝氏は、2021年に名古屋大学工学部を卒業し、2026年に同大学院の博士後期課程を修了して、博士(工学)を取得しています。

NICT委託研究と論文の掲載

同社は2022年10月12日に、情報通信研究機構(NICT)の委託研究に採択されました。研究課題は、実世界データ醸造基盤の研究開発です。2025年6月には、SemantiPackの論文が学術誌IEEE Accessに採録されました。同年11月には、この論文がEditor's Choiceの Featured Articleに選ばれています。

第三者割当増資を実施

同社は2026年4月2日に、第三者割当増資を実施しました。資本金は360万9,920円です。主な取引先には、東海国立大学機構、クラフティア、NICT、トヨタテクニカルディベロップメント、Tokai Innovation Instituteが並びます。

会社情報

会社名株式会社ExData(エクスデータ)
所在地愛知県名古屋市緑区鳴海町字山ノ神44-1
設立2022年7月7日
代表代表取締役 永田吉輝
資本金360万9,920円
調達第三者割当増資(2026年4月2日)
事業実世界データの抽出・変換・交換・可視化ソフトウェアの研究開発。各種アプリケーションソフトの企画・制作・販売
技術領域実世界データ圧縮、メタデータを用いたデータ圧縮、CSV・JSONの圧縮
採択NICT委託研究(2022年10月)/Go-Tech事業 通常枠(令和8年度)
URLhttps://exdata.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

集めたデータを残せない、という悩みは、センサーやログが増えるほど身近になります。保存量を減らす圧縮のなかでも、データの意味を手がかりに小さくする発想は、使い道が広い点で目を引きます。データを捨てずに済めば、分析の選択肢も増えそうです。

同社は、論文で示した手法を、ブラウザで試せる製品に落とし込みました。CLI版の更新も続いており、研究から製品へと進む動きがうかがえます。論文の成果が実際に試せる形になった点は、利用者にとっても分かりやすい進展です。

Go-Tech事業での研究開発が進めば、圧縮に加えて分析を助ける技術にも広がりそうです。捨てられていたデータが活用される場面が増えるか、今後の注目点です。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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