株式会社グリーンX|ココナッツ由来のバイオ燃料を製造する企業

株式会社グリーンX(グリーンエックス)

グリーンX「ココナッツ由来のバイオ燃料」を開発|研究領域=廃棄物からバイオ燃料を製造/強み=室温で反応し省エネで製造/将来性=廃棄資源を地域の燃料に

企業紹介|グリーンXとは?

食用に適さず廃棄されるココナッツを、航空や物流の脱炭素に使える燃料へ変える「ココナッツ由来のバイオ燃料」。株式会社グリーンXは、その社会実装を目指す、バイオ燃料系ディープテック企業です。未利用ココナッツと、セルロース系廃棄物(植物の繊維が主成分の廃棄物)を原料に、独自の「共溶媒法」でバイオディーゼル燃料と持続可能な航空燃料の製造に取り組んでいます。

キーワード「ココナッツ由来のバイオ燃料」

「ココナッツ由来のバイオ燃料」は、食用に適さず廃棄される未利用ココナッツの油を原料とした燃料です。世界で生産されるココナッツの約3割は、未成熟やひび割れなどの理由で食用に向かず、廃棄されるとの見方です。同社は、環境負荷の少ない非食用の廃棄資源を原料にしています。

市場課題|SAFの普及は原料の確保と投資負担が課題

現状のSAFの課題|現状は、原料の確保が難しく投資負担も大きい/SAFは原料の確保が課題/生産に多額の投資が必要

SAFは原料の確保が課題

2022年の見通しでは、国内空港のジェット燃料の利用量は2030年時点で約1,400万kLで、その10%にあたる約140万kLの持続可能な航空燃料(SAF)が必要な見込みです。原料には廃食油・森林や農業の残渣(収穫後に残る茎や葉など)・廃棄物・燃料用作物などがあり、確保が主な課題です。このままでは、必要な量のSAFを国内で供給しにくくなる恐れがあります。

SAFは投資負担が大きい

SAFの生産には、多額の投資コストが必要です。原料も生産方法も多様で、航空業界以外の事業者も参入しており、事業者によって生産方法が異なる状況です。このままでは、設備への投資負担が普及の妨げになる恐れがあります。

他にも、原料の確保、投資コストの負担、生産者と利用者の間の調整、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • SAFSustainable Aviation Fuelの略で、持続可能な航空燃料を指す。廃食油などのバイオマスや都市ごみを原料とし、従来のジェット燃料と同じく航空機の燃料に使う。

グリーンXの強み|「ココナッツ由来のバイオ燃料」を開発

グリーンXが「ココナッツ由来のバイオ燃料」を開発|これまでに、共溶媒法で燃料の製造を実現/ココナッツなど廃棄物を原料に/室温の共溶媒法でBDFとSAFを製造

廃棄物を燃料の原料に

SAFの原料には廃食油などがあり、原料の確保が主な課題とされています。

同社は、食用に適さず廃棄される未利用ココナッツを、燃料の原料にしています。世界で生産されるココナッツの約3割は、未成熟やひび割れ、発芽などの理由で食用に向かず廃棄されるとの見方です。ただしココナッツだけでは必要な燃料量を確保しにくく、セルロース系廃棄物も原料に加えています。対象は、トウモロコシの葉や芯・サトウキビ残渣・稲わら・麦わら・古紙・木材などです。いずれも非食用の廃棄資源で、これまで処分されていた資源を燃料の原料として使えるようになります。

室温の共溶媒法で製造

SAFの従来の製造法は、高温の反応と多量の水素を使い、反応に消費するエネルギーが大きくなります。

同社は、独自の「共溶媒法」(反応を助ける溶媒を加える製法)で、バイオディーゼル燃料(BDF)とSAFを室温で製造します。BDFの製造エネルギーの比較では、従来法が60℃・2時間の反応で1リットルあたり149.4MJ(メガジュール)なのに対し、共溶媒法は室温・15分で3.5MJです。SAFの製造でも、室温で水素を要しない条件を示しています。反応で石けんが生成されにくく、油と生成物を分けやすい点も特徴です。常温常圧で反応でき省エネであり、製造費用を抑えられるとされています。

FrontJournalの解説
  • 製造エネルギー燃料1リットルを製造するために必要なエネルギーの量を指す。反応の温度や時間、使う水素の量が大きく影響し、小さいほど製造費用を抑えやすい。

未来・展開|廃棄資源を地域の燃料に変える

地産地消のバイオ燃料が変える未来|廃棄資源を地域の燃料に変える/ベトナムとタイで技術を紹介/物流と航空の脱炭素を想定/地産地消の燃料供給を目指す

ベトナムとタイで技術を紹介

同社は、ベトナムでバイオ燃料技術を発表し、タイでは招待を受けてプレゼンテーションを行いました。国内では、大阪公立大学の名誉教授との長年の共同研究を軸に、複数の大学・研究機関と連携しています。国や自治体からは、技術に関する調査の依頼も受けています。

物流と航空の脱炭素を想定

同社は、BDFを物流会社の脱炭素化や自治体の廃棄物削減に、SAFを航空会社のSAF導入に生かす場面を想定しています。SAFは、大阪公立大学との共同研究のもとで品質と性能を確かめる体制です。廃棄物を燃料に再資源化することで、廃棄に伴う費用負担の低減が見込まれます。自治体にとっては、処理が必要な廃棄物が地域の燃料に変わる選択肢になります。

地産地消の燃料供給を目指す

地域で出る廃棄資源をその地域のエネルギーとして再利用する地産地消の燃料供給が、同社の目指す姿です。アジア各国への展開を進め、世界規模のエネルギー転換を後押しする方針です。こうした取り組みを通じて、次世代エネルギーの社会実装を目指します。実現すれば、廃棄物の処理に悩む地域が、その廃棄資源から燃料と新しい価値を得られるようになります。

会社概要|株式会社グリーンX

2024年設立のバイオ燃料企業

株式会社グリーンXは、2024年3月に設立された企業です。事業はバイオ燃料製造事業で、代表は下田美咲子氏です。代表は青年海外協力隊としてザンビアで活動した経験があり、エネルギーの有無や安定性が生活や教育、地域の未来に直結する現実を目の当たりにしました。代表は、エネルギーを「消費するもの」から「地域で育て、循環させるもの」へ変える考えを持っています。事業の柱は、廃棄物を原料とするBDFとSAFの製造です。

大阪公立大学との共同研究

同社は、大阪公立大学をはじめとする大学・研究機関と連携しています。国内では、大阪公立大学の名誉教授との長年の共同研究が中心です。登記上の本店は、大阪公立大学A1棟(堺市中区学園町)に置かれています。大学が持つ技術や知見を社会へ橋渡しする役割を担い、実装を重視したエネルギー事業を展開する考えです。

東京から堺市へ本店を移転

2025年9月に、本店を東京都文京区から大阪府堺市へ移しました。旧本店は文京区関口でした。法人番号は9010001243489で、2024年4月に指定されています。

会社情報

会社名株式会社グリーンX(GreenX Co., Ltd.)
所在地大阪府堺市中区学園町1-1 大阪公立大学A1棟(登記上の本店)
設立2024年3月
代表下田 美咲子
事業バイオ燃料製造事業。未利用のココナッツやセルロース系廃棄物を原料に、バイオディーゼル燃料(BDF)と持続可能な航空燃料(SAF)を製造
技術領域バイオ燃料、共溶媒法、廃棄物の再資源化
URLhttps://www.greenx.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

燃料の脱炭素化は、何を原料にするかで大きく変わります。すでに廃棄されている資源を使えるかどうかが、普及の鍵です。グリーンXは、廃棄されるココナッツやセルロース系廃棄物を原料に選び、その入口から課題に向き合っています。

同社が示すBDFの製造条件は、室温で15分という短さが特徴的です。加熱の設備や水素を使う従来の製造法との違いが数字で示されており、製造の負担を下げる発想が分かりやすい点が印象に残ります。地域の廃棄物を使う点も、原料の確保と処理の両面で意味を持ちます。

廃棄資源をその土地の燃料に変える流れが各地に広がれば、廃棄物の処理と燃料の確保を同時に進められます。アジアの原料産地と日本の研究が結びつく日を、編集部は楽しみにしています。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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