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株式会社Hashup(ハッシュアップ)

株式会社Hashup「AI需要予測」を開発

企業紹介|株式会社Hashupとは?

過去の出荷実績や天候をもとに、翌日の需要を見通す「AI需要予測」。株式会社Hashupは、その需要予測のAIを開発する、名古屋大学発の企業です。同社は、データ基盤の構築から予測モデルの作成までを手がけ、井村屋グループの概念実証(本格導入の前に効果を確かめる試験)で、毎日約2時間かかっていた予測業務の工数90%削減を示しました。

キーワード「AI需要予測」

Hashupの「AI需要予測」は、過去の出荷実績に気温などの情報を加え、翌日の出荷数を予測する仕組みです。井村屋グループのチルド(冷蔵)の肉まんやあんまんなどを対象に、Amazonのクラウドサービス「Amazon SageMaker Canvas」で、時系列モデルを作成しました。予測表は、ボタンひとつで約5秒で作成されます。

市場課題|需要予測の属人化と手作業

現状の需要予測の課題

予測が属人化し引き継ぎが困難

食品メーカーの出荷数の予測は、ベテラン担当者の経験が欠かせない業務です。井村屋グループでは、予測が特定の担当者に依存し、引き継ぎが難しいことが課題でした。天候データは予測に使われていませんでした。

手作業の集計に時間がかかる

予測の前のデータ集計は手作業で、Excelやkintone(業務アプリを作れるクラウドサービス)、基幹システムからデータを取り出す必要がありました。この作業だけで、ベテラン担当者の作業時間は毎日約2時間。手作業の負担が、予測業務を重くしていました。

他にも、天候データの活用不足、複数のシステムに分かれたデータ、欠品や廃棄のリスク、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 基幹システム企業の販売や在庫、会計など、中核となる業務のデータを管理する情報システムである。需要予測では、出荷実績の取得元の1つになる。

株式会社Hashupの強み|「AI需要予測」を開発

株式会社Hashupが「AI需要予測」を開発

データレイクで集計を自動化

社内の複数のシステムに分かれたデータを、一か所にまとめる仕組みです。

同社は、AWS(Amazonのクラウドサービス)上にデータレイク(さまざまなデータを元の形のまま蓄える保管場所)を構築しました。Excelやkintone、基幹システムのデータは、自動で取り込まれ、予測に使える形で保管されます。気温などの天候データも、自動取得の対象に含まれる点が特徴です。予測表は、ボタンひとつで約5秒で作成できます。毎日の集計作業が自動化され、担当者が予測の確認や、その日の状況に合わせた調整に時間を使えるようになります。

翌日の出荷数をAIで予測

過去の出荷実績と気温などをもとに、翌日の出荷数を予測するモデルです。

同社は、Amazon SageMaker CanvasのAutoML(モデル作成の自動化機能)で、時系列の予測モデルを作成しました。学習には2.5年分の出荷実績に加え、6地点の平均気温や販促情報を使っています。予測の誤差を表すWAPE(誤差の合計を実績の合計で割った割合)は、あんまんでAIが6.0%、担当者が6.2%、ゴールド肉まんでAIが9.8%、担当者が15.4%でした。この2商品の検証では、AIの予測は担当者と同等以上の精度でした。担当者の経験に加え、AI予測も使えるようになります。

FrontJournalの解説
  • AutoML機械学習モデルを作る手順を自動化する仕組みである。データを与えると、複数のモデルを試し、予測に適したものを選ぶ。

Hashupの取り組みの広がり|食品から大学へ

Hashupの技術が変える未来

約4か月で概念実証を完了

井村屋グループとの取り組みは2025年11月に始まり、約4か月で概念実証を終えました。この概念実証で、毎日約2時間かかっていた予測の作業は、業務工数が90%削減されました。データの抽出から結果の出力までが、自動化されたためです。対象は、冷蔵(チルド)の肉まんやあんまんなどの需要予測です。

秋冬のシーズンに本格移行へ

井村屋グループは、2026年7月の時点で、2026年の秋冬のチルドまんのシーズンに向けて、AIによる予測を含むシステムへの完全な移行を目指しています。kintoneの特売情報と結びつけた、長期の予測も計画されています。原材料の発注数量の予測や、ほかのカテゴリへの展開も、今後の対象です。結果の可視化には、Amazon Quickのダッシュボード(結果を一覧する画面)の活用が検討されています。

大学業務のAI支援を目指す

同社は、2026年7月に、名古屋大学向けのシラバスAI支援システムを発表しました。高等教育研究センターの安田淳一郎准教授と開発を進めているもので、2026年度中の本格運用の開始が目標です。富士通Japanの学務情報システム「Campusmate-J」と連携し、AIへの指示文(プロンプト)を編集する管理画面も備えます。他大学への展開も、検討されています。

会社概要|株式会社Hashupの事業内容・設立背景

名古屋大学発ベンチャーの認定

株式会社Hashupは、名古屋大学発ベンチャーの称号を2025年4月1日に付与された、愛知県名古屋市の企業です。2019年4月に設立され、名古屋大学で博士の学位を取得した2名を中心に創業しました。代表取締役CEOは神野悦太郎、CTOは小野瀬良佑です。称号は名古屋大学発学生ベンチャーから名古屋大学発ベンチャーへ変更されています。経済産業省の大学発ベンチャーデータベース2026でも、関連大学は名古屋大学です。

コンサルと開発と人材育成

事業は3つあります。1つ目は、ITコンサルティングやデータ分析、学術研究の支援です。2つ目は、受付管理システムやSNS、ポータルサイト、業務システムのバッチ処理などの開発と運用です。3つ目は、生成AIのセミナーや研修を通じた、AI人材の育成。

大規模イベントの受付システム

名大テクノロジーフェスティバルの受付管理システムが、開発実績の1つです。このシステムでは、申込者が1,800人を超えました。セッションごとの申込制限や先着順、抽選など、条件が複雑な受付でした。

会社情報

会社名株式会社Hashup(ハッシュアップ)
所在地愛知県名古屋市千種区田代町字四観音道西5番地の13
設立2019年4月
代表神野悦太郎(代表取締役CEO)
事業コンサルティング・概念実証・研究支援、開発・実装・サービス運用、AI人材育成
技術領域AI需要予測、生成AI、データ基盤の構築
連携名古屋大学(2025年4月1日に称号を付与)
URLhttps://www.hashup.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

同社が井村屋グループで示したのは、データ基盤の構築と予測モデルの作成を、一続きで手がける進め方です。毎日約2時間かかっていた予測業務の工数を90%減らし、検証した2商品で予測の精度も担当者と同等以上だった点が、特徴といえます。データの取得から予測表の作成までが自動でつながると、担当者は予測の確認や、その日の状況に合わせた調整に時間を使えるようになります。

とくに注目したのは、食品の需要予測に加えて、名古屋大学向けのシラバス支援や、生成AIの研修にも事業が広がっている点です。企業と大学の現場の業務へ、データとAIの知見を生かす取り組みを、見守りたいと思います。

FrontJournal編集部

出典:株式会社Hashup 公式サイト、AWS「井村屋グループのAI需要予測事例」(2026年7月10日)、同社お知らせ(シラバスAI支援システム、2026年7月7日)、同社お知らせ(称号認定)、同社お知らせ(名大テクノロジーフェスティバル)

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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