ヘルスケアシステムズ「郵送検査」を研究

株式会社ヘルスケアシステムズ

ヘルスケアシステムズ「郵送検査」を研究|研究領域=自宅で採った尿で・体の状態を測る/強み=成分を数値で・可視化/将来性=数値で習慣を・選べる未来へ

企業紹介|株式会社ヘルスケアシステムズとは?

自宅で採った尿などをポストに投函するだけで、体の状態を調べられる「郵送検査」。株式会社ヘルスケアシステムズは、その社会実装を目指す、名古屋大学発のバイオ・ヘルスケア系ディープテック企業です。検査キット「カラダのものさし」で、エクオール(大豆イソフラボンが腸内で変化してできる成分)や腸内環境などを調べられます。

キーワード「郵送検査」

「郵送検査」は、自宅で採取した尿や唾液などを検査機関へ送り、結果をウェブか郵送で受け取る検査です。同社の郵送検査は、病気の診断ではなく、未病(病気になる手前の状態)で生活習慣を見直すきっかけをつかむための検査です。採取は尿や便、唾液が中心で、体の負担が小さい方法のため、妊娠中や授乳中でも受けられるとされています。

市場課題|自分の体の状態を、数値で確かめる機会が限られる

現状の健康づくりの課題|現状は、体感頼みで自分に合う習慣を選びにくい|選ぶ手段が・体感に偏る/検査の顧客が・研究機関中心

健康法の選択が体感頼み

健康法の選択は体感頼みになりやすく、試した方法が続かないこともあります。病気の治療では検査で状態を確かめて方法を選びますが、未病の段階では、自分に合う方法を選ぶ手段が直感や体感に限られがちです。そのため、合わない習慣を続けて成果が出ず、途中でやめてしまう人が出てきます。

検査の顧客が研究機関中心

食品やヘルスケアの検体分析は、主な顧客が企業や研究機関で、市場は大きくありませんでした。そのため、日々の食事や運動の効果を、自分で数値として確かめる機会は限られていました。

他にも、検体を採取する手間、結果を生活習慣の改善に結び付ける難しさ、検査を続ける費用の負担、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 未病病気と診断されるほどではないが、健康とも言い切れない状態を指す。症状が乏しく、生活習慣を見直す時期の目安となる。

ヘルスケアシステムズの強み|「郵送検査」を研究

ヘルスケアシステムズが「郵送検査」を研究|現在は、尿の成分を数値で返す検査を提供|尿の成分を・数値で返す/自宅で採取し・ポストに投函

尿の成分を数値で可視化

体の中の成分は外から見えず、尿や血液に含まれる量を測らなければ、変化を数値で捉えられません。

同社の郵送検査は、尿に含まれる成分の量を測り、数値とレベルで結果を返す仕組みです。「腸活チェック」は、腸内細菌が産生する腐敗物質のインドールが、体内でインドキシル硫酸に変わって尿に排出される流れを使い、尿中の量から腸内環境を推し量ります。「ソイチェック」は、大豆イソフラボンの一種ダイゼインが腸内で変わってできるエクオールを、尿で測る検査です。食事や運動を変えた後の数値を見比べられるため、変えた習慣の影響を数値で確かめることができます。

自宅で採取しポストに投函

郵送検査は、受診者が自宅で検体を採取してポストに投函するだけで完結する仕組みです。

尿や便、唾液などを自宅で採取して検査機関へ送る方式のため、来院や来所の必要がありません。検体は同社の検査事業部が分析し、結果は数値とレベルで受診者へ返る仕組みです。検査事業部は、検査機関の能力に関する国際規格であるISO/IEC 17025の認定を取得済みです。項目は、エクオールや腸内環境、酸化ストレス、減塩など生活習慣に関わるものがそろっています。食事や運動を見直すたびに、自分の状態を確かめることができるようになります。

FrontJournalの解説
  • インドキシル硫酸腸内細菌が産生するインドールが、体内で変換されてできる物質である。尿とともに排出され、尿中の量は主に腸内細菌に由来すると考えられている。

郵送検査の未来|健康づくりを数値で支える

自宅の郵送検査が変える未来|今後は、数値で健康づくりを選べるように|自宅検査が・健康づくりの入口に/糞便の検体を・常温で保管/自宅で測れる・検査を広げる

自宅検査が健康づくりの入口に

同社の検査キットは、女性の健康や減塩、腸内環境などの確認に使われる身近な検査です。エクオール検査「ソイチェック」は、検査人数は30万人を超えたとされています。医療機関や調剤薬局、ドラッグストアなどでの取り扱いにも対応しています。

腸内の短鎖脂肪酸検査を提供

2026年10月1日から、糞便中の短鎖脂肪酸(腸内細菌が食物繊維などを発酵して産生する物質)を調べる受託検査を、医療・研究機関や企業向けに始めました。短鎖脂肪酸は変化しやすく、検体に冷却管理が必要な場合があり、研究機関などの運用の負担でした。名古屋大学の上山純教授との共同研究で保存液を開発し、常温で1週間の保管が可能になりました。遠隔の臨床試験や研究で、参加者と実施者の負担の軽減が期待されます。

自宅で測れる検査の拡大を目指す

同社は、「生活習慣のミスマッチをゼロにする」を掲げています。その一つが、短鎖脂肪酸の検査技術を、一般の人が自宅で測れる検査キットへ応用することです。自分に合う習慣を数値で選べるようになれば、検査を受ける人の健康づくりは、体感だけに頼らない続けやすいものへ変わっていくことが期待されます。

会社概要|ヘルスケアシステムズの事業内容・設立背景

名古屋大学発の郵送検査企業

同社は、2009年3月31日に設立された名古屋大学発のバイオ・ヘルスケア企業です。名古屋大学農学部の大澤俊彦教授(現 名誉教授)が確立した、抗体チップ(抗体を並べた検査用の基板)を使う測定技術を社会に生かすために設立されました。科学技術振興機構(JST)の2016年の発表でも、代表取締役の瀧本陽介氏の「日本ベンチャー学会会長賞」の支援大学等に、名古屋大学名誉教授の大澤俊彦氏が挙げられています。本社は愛知県名古屋市昭和区にあり、東京支社と福岡県久留米市の九州ラボを置いています。

採択・連携の状況

2005年に、大澤俊彦教授の研究がJSTの大学発ベンチャー創出プログラム事業に採択されました。2009年には経済産業省の地域イノベーション創出研究開発事業にも採択されました。2016年には大学発ベンチャー表彰で日本ベンチャー学会会長賞を受け、2021年にはJ-Startup CENTRALの選定企業になっています。検査事業部は、2024年に検査機関の能力に関する国際規格であるISO/IEC 17025の認定を取得しました。研究面では、名古屋大学大学院の上山純教授と共同研究を行っています。

事業内容と提供先

事業内容は郵送検査事業、バイオマーカー(体の状態を示す指標)と検体検査技術の研究開発・受託分析、機能性食品の臨床研究・研究開発、機能性表示食品の取得サポートです。郵送検査は、健保組合の健康経営、医療機関の健康指導、自治体の健康づくりに使われています。企業の販売促進に加え、OEM(他社ブランドでの製造)にも対応します。

会社情報

会社名株式会社ヘルスケアシステムズ(Healthcare Systems Co., Ltd.)
所在地愛知県名古屋市昭和区白金一丁目14番18号
設立2009年3月31日
代表代表取締役社長 瀧本 陽介
事業郵送検査事業、バイオマーカー・検体検査技術の研究開発・受託分析、機能性食品の臨床研究・研究開発、機能性表示食品の取得サポート
技術領域郵送検査。バイオマーカー。抗体チップ
連携名古屋大学大学院の上山純教授と、糞便中の短鎖脂肪酸の常温保存技術を共同研究
採択2005年に大澤俊彦教授の研究がJSTの大学発ベンチャー創出プログラム事業。2009年に経済産業省の地域イノベーション創出研究開発事業。2021年にJ-Startup CENTRALの選定企業
URLhttps://hc-sys.com

編集後記|FrontJournal編集部より

健康に良いとされる方法は数多くありますが、自分に合っているかを確かめる手段は、これまで限られていました。尿などを自宅で採って送る方法は、体の状態を数値で示すための手段です。数値があれば、生活習慣を変えた後の変化も同じ物差しで見比べられます。

ヘルスケアシステムズの特徴は、研究で見いだされた測定法を、一般の人が自宅で使える形にした点です。大学の研究から生まれた測定技術を、検査の開発から検体の分析、キットの提供まで自社で担っています。同社の検査は、生活習慣を見直すきっかけを提供します。

腸内の短鎖脂肪酸を常温で保存する技術など、検査の対象は広がっています。数値で健康づくりを選べる日が近づくことを期待します。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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