JUNTEN BIO「免疫寛容」を研究|細胞のイラスト

株式会社JUNTEN BIO(ジュンテンバイオ)

JUNTEN BIO「免疫寛容」を研究|研究領域=免疫寛容を・誘導する細胞医薬/強み=患者とドナーの・細胞から製造/将来性=適応拡大と・海外展開へ

企業紹介|株式会社JUNTEN BIOとは?

移植後の免疫抑制剤(拒絶反応を防ぐ薬)を減らす道を探る考え方として、注目を集める「免疫寛容」。株式会社JUNTEN BIOは、その社会実装を目指す、順天堂大学発のバイオ系ディープテック企業です。肝移植の後に投与する細胞医薬(細胞を薬として使う医薬品)「JB-101」を、開発しています。

キーワード「免疫寛容」

「免疫寛容」は、移植された臓器など特定の相手に対して、免疫が拒絶反応を起こさない状態です。JUNTEN BIOは、ドナー(臓器の提供者)の臓器への拒絶反応だけを選んで抑える細胞を使い、この状態の誘導を目指しています。肝移植の後に免疫抑制剤を飲み続ける患者の負担を減らす手段として、研究が進められています。

市場課題|移植後の免疫抑制剤は生涯の服薬と副作用が課題

現状の免疫抑制剤の課題|現状は、免疫全体を抑える薬で副作用が懸念|生涯の服薬で・生活の質が低下/免疫全体を抑え・リスクが高まる

生涯の服薬で生活の質が低下

臓器の移植を受けた患者は、拒絶反応を防ぐために、免疫抑制剤を生涯飲み続ける必要があります。国内の肝臓移植は2018年に年間401例で、肝硬変などで肝機能が低下した患者にとって、唯一の救命手段です。服薬が続くことで、患者の生活の質が下がることも課題になっています。

免疫全体が抑えられ副作用

免疫抑制剤は、拒絶反応だけでなく、免疫機能全体を抑える薬です。そのため、感染症・糖尿病・腎機能障害・発がんといったリスクが高まります。服薬が生涯続く限り、これらのリスクとも長く向き合うことになります。

他にも、生活上の制限、服薬そのものの負担、厳しい自己管理、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 免疫抑制剤移植した臓器への拒絶反応を防ぐために、免疫の働きを抑える薬を指す。拒絶反応を抑える一方で、免疫機能全体も抑えるため、感染症などのリスクが高まる。

JUNTEN BIOの強み|「免疫寛容」を研究

JUNTEN BIOが「免疫寛容」を研究|現在は、細胞医薬で減薬を研究|1回の投与で・減薬を目指す/拒絶反応だけを・標的にする設計

1回の投与で減薬を目指す

免疫抑制剤は、拒絶反応を防ぐ代わりに、生涯の服薬が必要になります。

同社が開発した細胞医薬「JB-101」は、ドナーの臓器への拒絶反応だけを選んで抑えることを狙った誘導型抑制性T細胞(免疫反応を抑える役割のT細胞を人工的に導いたもの)です。患者とドナーの血液から免疫細胞を採り、特定の抗体と共に培養して製造します。患者へは肝移植の後に1回投与し、約1年6か月かけて免疫抑制剤を段階的に減らす流れです。効果の評価では、免疫抑制剤から離脱した状態が1年以上続くことを免疫寛容と定めています。この状態に至れば、生涯続く服薬の負担を軽くできる可能性があります。

拒絶のみ選択して抑える

免疫抑制剤は、効く相手を選べず、拒絶反応に関わらない免疫の働きまで抑えます。

「JB-101」の特徴は、移植臓器の抗原(免疫が異物と見分ける目印)に対してだけ働くことを狙った、抗原特異的な免疫制御です。患者とドナー双方の細胞を材料に、ドナー臓器の組織を拒絶しない細胞へ誘導します。投与の後も、免疫抑制剤を減らす間は拒絶反応が起きていないかを監視し、安全を確認しながら進めます。拒絶反応だけを標的にする設計のため、免疫全体を抑え続けない状態が目標です。実現すれば、感染症などの心配を減らせるため、移植後の暮らしの負担が軽くなる可能性があります。

FrontJournalの解説
  • 誘導型抑制性T細胞免疫反応を抑える役割を持つT細胞を、人工的に導いたものを指す。JB-101では、ドナーの臓器への拒絶反応だけを選んで抑えることを狙った細胞として、患者とドナーの細胞から作られる。

免疫寛容の未来|肝移植から適応拡大と海外展開へ

免疫寛容が変える未来|肝移植から、適応拡大と海外展開へ|治験で10例の・組み入れを完了/AlliedCelが・承認申請を予定/適応拡大と・海外展開を目指す

治験で10例の組み入れ完了

生体肝移植が対象の医師主導治験(医師が主体となって行う治験)は、2025年10月時点で10例の組み入れが完了しています。2020年9月開始の治験の目的は、免疫寛容の誘導能と安全性の評価です。順天堂大学は2016年に、誘導型抑制性T細胞を使って、肝移植患者を免疫抑制剤から完全に離脱させることに成功したと発表しています。2019年には、JUNTEN BIOとの共同研究で「JB-101」の製造法が確立されました。

承認申請は2026年度中の予定

JCRファーマとシスメックスの合弁会社であるAlliedCelは、2025年10月時点で、2026年度中に「JB-101」の製造販売承認申請を予定しています。国内での製造販売も、AlliedCelが担う予定です。JUNTEN BIOは、AlliedCelに「JB-101」のライセンスを供与しています。2025年10月には、J-TEC(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)が、上市後の製造を受託する前提で、技術移管に向けた契約をAlliedCelと結びました。

適応拡大と海外展開を目指す

JUNTEN BIOは、適応症の拡大と、海外での治験を順次進める方針を掲げています。2025年9月には、米国のスタンフォード大学と共同研究契約を結び、脳死肝移植に向けた新たな製造法の確立と、免疫寛容の仕組みの解明に取り組んでいます。成果は、IND申請(米国で治験を始めるための申請)に使うデータの創出に生かす予定です。多くの移植患者へ医療を届ける取り組みです。

会社概要|東京・本郷で免疫寛容を誘導する細胞医薬を開発する会社

順天堂大学の研究を事業化

株式会社JUNTEN BIOは、2018年6月に設立された、順天堂大学発のバイオベンチャーです。順天堂大学大学院医学研究科免疫学の奥村康特任教授らの研究成果の事業化が、設立の目的です。本社は東京都文京区本郷にあり、代表取締役は河南雅成が務めています。事業は、細胞医薬品・再生医療等製品の研究開発と、医薬品・診断薬の研究開発です。

AMED採択から協業開発へ

JUNTEN BIOは、国の制度や企業との契約を通じて、「JB-101」の開発を進めてきました。2022年2月にはAMED(日本医療研究開発機構)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)の第6回公募に採択されました。その後、事業化を見据えた企業との連携体制が構築され、協業での開発に移ったことから、採択された課題は中止されています。2023年11月には、AlliedCelとライセンス契約を結びました。

ライセンス供与で事業を展開

「JB-101」では、国内の製造販売を担う企業へライセンスを供与する形で、事業を進めています。AlliedCelは、2023年11月に「JB-101」の国内製造販売業を担うことを決めました。JUNTEN BIOの資本金は1億5,000万円で、従業員数は12人です。

会社情報

会社名株式会社JUNTEN BIO
所在地東京都文京区本郷3-3-1 お茶の水KSビル302
設立2018年6月
代表代表取締役 河南雅成
資本金1億5,000万円
従業員12人
事業細胞医薬品・再生医療等製品の研究開発。医薬品・診断薬の研究開発。開発品は「JB-101」
技術領域免疫寛容の誘導(誘導型抑制性T細胞)
連携順天堂大学(2019年に「JB-101」の安定した製造法を確立)。AlliedCel(2023年11月にライセンス契約)。スタンフォード大学(2025年9月に共同研究契約)
採択AMED 医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)第6回公募(2022年2月)
URLhttps://juntenbio.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

移植医療は、臓器を受け取って終わりではなく、その後の長い服薬と向き合う医療です。JUNTEN BIOは、その服薬の負担に、拒絶反応だけを抑える「免疫寛容」という考え方で向き合っています。順天堂大学の研究を出発点に、その実現を探っています。

JUNTEN BIOの特徴は、患者とドナーの細胞から製造する細胞医薬という形で、拒絶反応だけを選んで抑えようとしている点です。2025年10月時点で、国内の製造販売はAlliedCelが担う予定とされ、研究を医療の現場へ届ける体制も組まれています。JUNTEN BIOは、ライセンスを供与する側として、細胞医薬の開発を担っています。

免疫寛容の研究が進めば、移植後の暮らしを支える医療が、服薬の負担を減らす方向へ前進します。その歩みを、楽しみに見守りたいと思います。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

この企業の方へ

内容に誤り・更新が必要な点があれば、可能な限り速やかに修正します。お気づきの点はお問い合わせまでご連絡ください。

掲載情報の修正・写真の追加・更新はこちら

この企業について、
もっと深く知りたい方へ

パートナーシップ・お問い合わせはこちらから。