株式会社komham(コムハム)
独自微生物群で生ごみを最短1日で分解する札幌発スタートアップ

komhamの研究領域・強み・将来性

企業紹介|株式会社komhamとは?

株式会社komhamは、独自に発見・培養した微生物群「コムハム」を使い、生ごみを短時間で分解・減量する技術を開発する札幌発のスタートアップです。長年の研究と実証で実用化を目指す、いわゆるディープテック(実用化までに時間と研究を要する先端技術)領域の企業にあたります。

最大の特徴は分解スピードです。温度・水分・酸素が整った環境であれば、10kgの生ごみが1日でわずか約0.2kgにまで減るとされており(約98%減)、悪臭も出にくいとされています。同社の主力製品「SmartCompost(スマートコンポスト)」は、ソーラー発電で動き、AC電源も上下水道も必要としない自立型の生ごみ処理機で、自治体・商業施設・オフィスへの導入が進んでいます。

キーワード「コムハム」

「コムハム」は、komhamが提携する酪農場で発見された複数種類の細菌が組み合わさった微生物のチームです。動植物の食べ残しに含まれるタンパク質・糖質・脂質をすばやく分解する力が高く、堆肥化や減容化(ごみの体積を減らすこと)を従来より短時間で進められる点が、研究機関や事業者から注目されています。社名「komham」も、この微生物群の名前に由来しています。

市場課題|増え続ける生ごみと処理コスト

市場課題|増え続ける生ごみと処理コスト

家庭・お店から出続ける生ごみ

日本国内では、家庭・飲食店・スーパー・食品工場などから大量の生ごみ(有機性廃棄物)が日々排出されています。多くは焼却処理されますが、生ごみは水分を80%前後含むため、水を蒸発させるだけで多くの熱エネルギーが奪われ、燃やすのに余分な燃料が必要になります。これが自治体の処理コストや温室効果ガス排出の一因にもなっています。

課題「電源・排水・スペースの制約」

従来型の生ごみ処理機の多くは、AC電源・上下水道・設置スペースを前提としています。そのため、電気や水道といったインフラ(社会の基盤設備)が乏しい場所、たとえば公園・屋外イベント会場・離島・被災地などでは設置自体が難しいのが現状です。堆肥化を進めるにも温度管理や時間がかかり、大規模化には設備投資と運用人員が必要でした。

FrontJournalの解説
  • 有機性廃棄物食べ残し・調理くず・剪定枝などの動植物由来のごみ。水分が多く、焼却の際に多くのエネルギーを使う。
  • 堆肥化微生物の働きで有機物を分解し、農業に使える堆肥(コンポスト)にすること。

komhamの強み|微生物群「コムハム」×SmartCompost

komhamの強み|微生物群コムハム×SmartCompost

最短1日で約98%を分解する微生物群

独自微生物群コムハムは、温度・水分・酸素が整った環境であれば、生ごみを最短1日で約98%まで分解できるとされています。一般的な堆肥化と比べて処理時間が短く、悪臭を抑えやすいのが特徴です。分解スピードが速い=処理タンク(生ごみを入れる容器)の中身がすぐ空くため、容器を大型化しなくても、結果として多くの廃棄物をこなすことができます。
この微生物群のルーツは、代表 西山すの氏の父親が約15年にわたって運営してきた酪農場の現場にあります。そこで実際にコムハムを使い、1日およそ20トンの有機性廃棄物を処理してきた現場知見と菌種が、komhamの出発点になっています。

電源・排水処理が不要な「SmartCompost」

komhamの主力プロダクト「SmartCompost(スマートコンポスト)」は、ソーラーパネルで発電した電力で動作し、AC電源・上下水道・排水処理を必要としません。撤去・移設も比較的容易で、屋外・公園・商業施設・離島など、これまで生ごみ処理機を置きにくかった場所にも設置できます。

複数の投資家・事業会社からの後押し

komhamは2020年以降、北海道銀行・立命館ソーシャルインパクトファンド・DGインキュベーション・KOBASHI HOLDINGSなど累計4回の資金調達を実施しています(各回の金額は非公開)。2024年2月には農機メーカーKOBASHI HOLDINGSと資本業務提携を締結し、農業・畜産領域での量産・拡販に向けた連携を進めています。
※ 調達時期の詳細は記事下部の「会社情報」に記載。

FrontJournalの解説
  • SmartCompostkomhamが開発するソーラー駆動・自立型の生ごみ処理機。電源と排水設備を必要としない。
  • 資本業務提携出資と事業上の協力を組み合わせた連携。単なる取引より深い関係を築くために結ばれる。

未来|生ごみ処理を社会インフラに

未来|生ごみ処理を社会インフラに

自治体・商業施設での実証拡大

komhamは渋谷区が実施する生ごみ減量実証事業に複数回参画し、SmartCompostを街中に設置して、家庭・店舗から出る生ごみをその場で処理する取り組みを進めています。SmartCompostは、「ごみを集めてから運ぶ」前提を変え、その場で分解・減容する仕組みです。自治体の収集コストや温室効果ガスの削減にもつながると期待されています。

農業・畜産との循環モデル

2024年のKOBASHI HOLDINGSとの資本業務提携を契機に、農業現場での有機性廃棄物処理や、堆肥としての再利用を見据えた取り組みも進んでいます。生ごみを土に還し、その土が畑に戻り、再び野菜や食材を育てる。こうした地域のなかで資源が回り続ける仕組み(物質循環)を支えるインフラを目指しています。

屋外・災害時・新興国へ

電源や上下水道に依存しない構造は、停電中の避難所、電気が来ていない離島、上下水道が未整備の新興国といった環境でも生かせる可能性があります。komhamは将来的に、こうした地域へのインフラ型ソリューションとして展開していく構想を掲げています。

FrontJournalの解説
  • 減容化ごみの体積を減らすこと。輸送・焼却の負担を下げられる。
  • 物質循環資源を「使って捨てる」ではなく「使って戻す」流れにすること。堆肥化はその代表例。

会社概要|株式会社komhamの事業内容・設立背景

設立の背景

株式会社komhamは、2020年1月に札幌で設立されました。前述の通り、代表 西山すの氏の父親が酪農場で長年運用してきたコムハムの知見と菌種を引き継ぐ形で法人化されています。西山氏自身は前職でPR業務やブロックチェーン関連の事業に携わってきましたが、「微生物の力で社会のごみ処理インフラを変える」ことを目指して創業しました。

受賞・採択

komhamは週刊東洋経済「すごいベンチャー100」に選出され、渋谷区の生ごみ減量実証事業にも参画しています。デジタルガレージと北海道新聞社が運営する札幌のスタートアップ育成プログラム「Open Network Lab HOKKAIDO」の採択企業でもあり、北海道発のクリーンテックスタートアップとして注目を集めています。

資金調達・連携

komhamは累計4回の資金調達を実施しており、なかでも2024年2月の農機メーカーKOBASHI HOLDINGSとの資本業務提携は、農業・畜産領域での量産と販路拡大に向けた大きな後押しとなっています。※ 各調達回の時期・出資元の詳細は下記「会社情報」テーブルに記載。

会社情報

会社名株式会社komham(コムハム)
所在地北海道札幌市厚別区下野幌テクノパーク1丁目1-10-211
(東京拠点:渋谷区猿楽町17-10 代官山アートビレッジ3階B 代官山TOKO)
設立2020年1月
代表代表取締役:西山 すの
調達北海道銀行(2020.7)/立命館ソーシャルインパクトファンド(2021.3)/DGインキュベーション他(2022.10)/KOBASHI HOLDINGS・New Commerce Ventures他(2024.3)/各回の金額は非公開
連携KOBASHI HOLDINGS(2024年資本業務提携)/渋谷区(生ごみ減量実証事業)
技術領域クリーンテック、バイオマスリサイクル、微生物処理、コンポスト
受賞週刊東洋経済「すごいベンチャー100」選出/Open Network Lab HOKKAIDO採択
URLhttps://komham.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

ごみは誰もが毎日出すものですが、その後の処理プロセスを意識する機会は多くありません。水分の多い生ごみを焼却することには相応のエネルギーが投入されており、「ごみを減らす」「ごみを再利用する」という発想は気候変動対策の文脈でも重要度が高まっています。

komhamの強みは、研究室発の理論ではなく、15年にわたり酪農場の現場で実際に使われてきた微生物群を出発点にしている点にあります。現場で証明された処理性能を、SmartCompostという「持ち運べる」かたちのインフラに仕立て直すことで、これまで生ごみ処理が難しかった場所への展開が現実味を帯びてきました。

「ごみを集めて、運んで、燃やす」社会から、「その場で分解して、土に戻す」社会へ。komhamが描く未来は、地域の物質循環と気候変動対策を同時に進める可能性を持っています。

フロントジャーナル編集部

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