株式会社komham|太陽光で動く生ごみ処理機スマートコンポストを開発する札幌発ディープテック

株式会社komham(コムハム)

komham「コムハム」を研究|研究領域=微生物群による生ごみの分解/強み=最短1日で最大98%まで分解/将来性=自治体や商業施設から東南アジアへ

企業紹介|komhamとは?

生ごみの焼却にかかる燃料と二酸化炭素を抑える技術として注目を集める微生物分解。komhamは、その社会実装を目指す札幌発のディープテックスタートアップです。独自に発見・培養した微生物群「コムハム」を用い、生ごみを最短1日で最大98%まで分解する技術を開発しています。太陽光で駆動する生ごみ処理機「スマートコンポスト」を、自治体や商業施設へ提供しています。

キーワード「コムハム」

コムハムは、同社が独自に発見・培養した微生物群の名称です。複数の好熱性バシラス科細菌を中心に構成されています。従来の堆肥化は発酵に数週間から数か月を要しますが、コムハムはこの時間を大きく短縮します。遺伝子組換えやゲノム編集は行われておらず、主要な構成細菌は有害微生物リストに該当しません。代表取締役の西山すの氏が、札幌でこの微生物の事業化に取り組んでいます。

市場課題|生ごみは焼却に回り処理費が膨らむ

現状の生ごみ処理の課題|現状は、水分と時間で処理が重い/生ごみの水分が焼却効率を下げる/堆肥化は時間と設置場所を要する

生ごみの水分が焼却効率を下げる

生ごみは水分を多く含むため、焼却の効率を下げる要因になります。国内で2024年度に排出されたごみは3,811万トンで、その80.3%が焼却処分です。生ごみの水分は一般に70〜80%とされ、水の蒸発に熱が奪われる分だけ燃料の消費と二酸化炭素の排出が増えます。

堆肥化は時間と設置場所を要する

生ごみの堆肥化は、時間と設置場所の制約を受けやすい処理です。一般的なコンポストは発酵に数週間から数か月を要し、その間も切り返しや水分調整に人手がかかります。大型の処理機はAC電源と排水処理の設備を前提とするため、配管のない公園や屋上には置きにくくなります。

他にも、年2兆4,489億円に達するごみ処理費、分別の手間、施設の老朽化、といった課題が積み重なってきました。生ごみを排出した現場で減量する仕組みを整えることも、これからの課題です。

FrontJournalの解説
  • 堆肥化有機物を微生物の働きで分解し、農地へ戻せる肥料に変える処理を指す。コンポスト化とも呼ばれる。
  • コンポスト生ごみや落ち葉を微生物に分解させて堆肥にする装置や手法。家庭用から施設用まで規模はさまざまである。

komhamの技術|微生物で生ごみを高速分解

komhamが「コムハム」を開発|今後は、微生物で現場分解が可能に/微生物群で分解を最短1日に短縮/電源工事なしで屋外に設置できる

微生物群で分解を最短1日に短縮

コムハムが従来の堆肥化と最も異なるのは、分解にかかる時間の短さです。一般的なコンポストは発酵に数週間から数か月を要し、その間の切り返しや温度管理も欠かせません。同社が用いるのは、高温で活発に働く複数の好熱性バシラス科細菌を中心とした微生物群です。この微生物群は、遺伝子組換えを行わずに、生ごみを最短1日で最大98%まで分解するとされています。分解の過程で生ごみは水と二酸化炭素に変わるため、焼却に回す量そのものを減らせます。

電源工事なしで屋外に設置できる

同社の主力製品スマートコンポストは、電源工事をせずに屋外へ置ける生ごみ処理機です。従来の大型処理機はAC電源と排水処理の設備を前提とし、置ける場所が限られていました。電力をまかなうのは本体に備えた太陽光パネルで、分解を進めるのはコムハムの代謝熱です。AC電源も排水処理も必要としないため、公園や商業施設の屋上、イベント会場にも設置できます。1日あたり10リットルの生ごみを処理でき、収集や運搬を挟まずに現場で減量が完結します。

FrontJournalの解説
  • 好熱性バシラス科細菌高い温度で活発に増殖するバシラス科の細菌。有機物の分解が速く、堆肥化の研究で古くから利用されてきた。
  • スマートコンポストkomhamが開発した独立型の生ごみ処理機の名称。太陽光発電で駆動し、AC電源と排水処理を必要としない。
  • 代謝熱微生物が有機物を分解する過程で発生する熱を指す。分解に適した温度を保つ働きをする。

未来・導入事例|自治体や商業施設から東南アジアへ

微生物による生ごみ分解が変える未来|都市から海外へ導入が広がる/自治体や商業施設へ導入が進む/都市施設での資源循環を実証/東南アジアでの資源循環を目指す

自治体や商業施設へ導入が進む

スマートコンポストは、すでに全国11箇所で稼働しています。導入したのは明石市やつくば市などの自治体のほか、サントリーやコロナビールといった企業、立命館などの教育機関です。屋外にそのまま置ける設計のため、公園や施設の敷地にも設置できます。2026年3月には三井不動産のオフィスビル屋上にも設置され、都市の建物で生ごみをその場で処理する動きが広がっています。

都市施設での資源循環を実証

都市の施設では、建物の中で資源循環を成立させる実証が始まっています。2025年夏には、品川シーズンテラスで約1か月の試験が行われました。組んだのはNTTアーバンソリューションズ総合研究所で、都市型施設内の資源循環が主題です。2026年1月からは、同じ施設で長期の運用に移っています。

東南アジアでの資源循環を目指す

同社が目指すのは、生ごみを排出した現場で分解する仕組みを国内外へ広げることです。2026年7月には、東南アジアで資源循環事業を本格的に始動しました。国内では、堆肥化施設向けのサービス「MICROBOOST」を2025年11月に提供しています。廃棄物処理業者や自治体の現場で、運用効率の向上と脱炭素を支えます。

FrontJournalの解説
  • 資源循環廃棄物を焼却や埋立に回さず、資源として再び利用する流れを指す。循環型社会の中心となる考え方である。
  • 実証研究段階の技術を実際の現場に置き、運用できるかを確かめる試験を指す。導入前の最終段階にあたる。

会社概要|株式会社komham

札幌で微生物の研究から起業

komhamは、2020年1月に設立された札幌発のスタートアップで、代表取締役は西山すの氏です。社名は、独自に発見した微生物群「コムハム」に由来します。事業は、微生物による有機性廃棄物の分解処理技術の研究と、その技術を用いたバイオマスリサイクルシステムの販売です。本社は、札幌市厚別区の札幌市エレクトロニクスセンターに置いています。

受賞と認定で評価が定着

同社は、外部からの評価を通じて認知を広げてきました。2021年12月には、北海道発のピッチイベント(事業計画の発表会)で最優秀賞を受けています。北海道の有望企業を選ぶ「J-Startup Hokkaido」には、2022年2月に認定されました。2024年9月には、週刊東洋経済(ビジネス週刊誌)の「すごいベンチャー100」に選出されています。

KOBASHIとの資本業務提携

事業面では、事業会社との資本業務提携が進んでいます。2024年2月、農業機械メーカーのKOBASHI HOLDINGSが同社へ出資しました。狙いは、生ごみ処理における二酸化炭素の排出量が実質ゼロとなるシステムの実用化です。2025年3月には、「北洋銀行スタートアップ研究開発基金」も受けています。

会社情報

会社名株式会社komham(コムハム)
所在地北海道札幌市厚別区下野幌テクノパーク1丁目1-10 札幌市エレクトロニクスセンター 211号室
設立2020年1月29日
代表西山 すの(代表取締役)
事業内容微生物による有機性廃棄物の分解処理技術の研究。研究技術を用いたバイオマスリサイクルシステムの販売。
主な製品スマートコンポスト(太陽光で駆動する独立型の生ごみ処理機。1日あたり10リットルを処理し、1〜3日で堆肥化。残る堆肥は2〜3%)。MICROBOOST(堆肥化施設向けの運用支援サービス。2025年11月提供開始)。
連携KOBASHI HOLDINGSと資本業務提携(2024年2月)。NTTアーバンソリューションズ総合研究所と品川シーズンテラスで実証実験(2025年)。三井不動産のオフィスビル屋上へ導入(2026年3月)。
技術領域微生物による生ごみの高速分解、堆肥化、資源循環、廃棄物処理、脱炭素
受賞・選定Open Network Lab HOKKAIDO 最優秀賞(2021年12月)/J-Startup Hokkaido 認定(2022年2月)/日経クロストレンド「未来の市場をつくる100社」(2022年12月)/IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO 3位(2024年7月)/週刊東洋経済「すごいベンチャー100」(2024年9月)/北洋銀行スタートアップ研究開発基金(2025年3月)
URLhttps://komham.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

生ごみは、家庭や飲食店から日々排出されるありふれた廃棄物です。しかし水分を多く含むために焼却の効率を下げ、燃料と二酸化炭素の負担として静かに積み上がってきました。その負担を、微生物の力で出た場所そのままに解こうとする発想が新鮮に映ります。

komhamが目指すのは、単なる処理機ではなく、排出した現場で完結する資源循環の仕組みです。太陽光で駆動し、AC電源も排水処理も要らない機体です。公園や商業施設の屋上など、これまで置けなかった場所にも入っていけます。設置場所の制約が外れることは、処理できる量そのものを変える可能性を持ちます。

札幌で見つかった小さな微生物群が、都市の資源循環を支える日が来るかもしれません。同社のこれからの歩みに期待が集まります。

フロントジャーナル編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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