株式会社NeU|脳を測るNIRSでブレインフィットネスを社会実装する仙台発ディープテック企業

株式会社NeU(ニュー)

NeU「NIRS」を研究|研究領域=脳の血流を測る技術/強み=軽量30gの装着型装置/将来性=健康経営と安全管理へ

企業紹介|株式会社NeUとは?

株式会社NeUは、脳科学とITを組み合わせる「ブレインテック」と呼ばれる分野の社会実装を目指す企業です。東北大学の認知脳科学と、日立ハイテクの計測技術を統合し、2017年に設立されました。ウェアラブル脳計測装置「XB-01」を核に、企業向けのニューロマーケティングと個人向けのブレインフィットネスを展開しています。

キーワード「NIRS」

NIRS」(近赤外分光法)は、安全基準内の近赤外光を頭部に当て、血液中のヘモグロビン量の変化から神経活動を推定する技術です。脳波計やMRIと違い、装着したまま歩行や会話ができるほど小型・軽量にできる点が特徴です。NeUの「XB-01」は前頭前野の血流変化を測定し、Bluetoothでスマートフォンへ転送します。

市場課題|高齢化がもたらす認知機能低下リスク

現状の運転適性評価の課題|現状は、健康診断で運転適性を測りにくい/健康診断は身体機能中心/認知機能は自覚しにくい

高齢化で事故リスクが増加

日本では、高齢ドライバーによる交通事故が社会課題になっています。加齢にともない、視空間認知注意力抑制力といった運転に必要な認知機能は、本人も気づかないまま低下していきます。認知機能の変化を客観的に把握する手段がなければ、不安を抱えたまま加齢が進み、事故リスクが高まりかねません。

健康診断は運転適性を測りにくい

一般的な健康診断では、視力や血圧など身体機能は調べても、運転に必要な認知機能までは測りにくいのが実情です。視空間認知・注意配分・とっさの抑制力は日常の会話では表に出にくく、本人の自覚も乏しくなりがちです。認知機能を日常的に把握する手段は限られており、事業者は定期的な適性診断の間に起きる変化をつかみにくい状況が続いています。他にも、加齢による判断力の低下、長時間運転による集中力の低下、体調変化への気づきにくさ、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • NIRS(近赤外分光法)近赤外光を頭部に当て、血液中のヘモグロビン量の変化から神経活動を推定する脳計測手法。装着したまま計測できる点が特徴である。

NeUの強み|ウェアラブルNIRS脳計測技術

NeUが「NIRS」を開発|今後は、NIRSで認知機能評価が可能に/ウェアラブル脳計測装置を開発/視空間認知や注意力を計測

小型軽量で装着したまま計測

脳波計や磁気共鳴画像装置(MRI)による脳計測は、電極の装着や大型の装置を必要とし、日常の動作をしながら測ることが難しいという弱点があります。

これに対しNeUのウェアラブル脳計測装置「XB-01」は、重さ30g、大きさ80×40×14mmで、中央で折れ曲がるバタフライ型を採用しています。額に当てた赤外線LEDで捉えるのは、思考や短期記憶に関わる前頭前野の血流変化です。本体には6軸加速度センサーを内蔵し、歩行などの体動が生む信号の乱れも検出。測定データはBluetoothでスマートフォンやタブレットへ転送でき、充電池で約3時間の連続計測に対応します。2018年の発表時は世界最小・最軽量クラス(同社調べ)でした。

運転に必要な認知機能を評価

認知機能の検査は、専門の設備や検査者を必要とするものが多く、現場で繰り返し行うには時間がかかります。

NeUの「運転脳力チェッカー」は、タブレットの画面上で約1分の課題に取り組むだけで、運転に関わる認知機能を測定します。課題にはGo-NoGo課題(合図に応じて反応と停止を切り替える課題)の要素を取り入れ、運転時の有効視野と注意力、抑制力を評価。結果はスコアとレーダーチャートで示され、チェック中に見落としていた視野も画面上に表示されます。あわせて、脳年齢やストレス度を調べる「脳健康ステーション」も提供しています。

FrontJournalの解説
  • 視空間認知物の位置・距離・動きを目で捉えて把握する働き。運転では、車間距離の見きわめや歩行者の位置の把握に関わる。

未来|脳計測データが広げる健康・安全管理

認知機能の見える化が変える未来|現場の安全管理と個人の脳健康管理が広がる/バス運行の安全管理へ/脳トレ累計700万回/企業の健康経営を後押し

職場や個人の脳トレに応用

ブレインフィットネスは、身近な脳のトレーニングに応用できます。Webサイトやアプリでの脳トレの実施回数は、累計700万回を超えました。専用端末での脳年齢チェックも累計10万回を超え、多くの利用者が日々の脳の状態を確認しています。企業の健康経営や、シニア層の認知機能維持に向けた取り組みへの活用が広がっています。

運送業の安全管理に応用

NIRS計測は、運送業をはじめとする現場の安全管理にも応用できます。西日本鉄道では、バスドライバー約3,000名を対象に試験導入され、安全管理への応用の先行事例といえます。高齢化が進む運送業界では、ドライバーの認知機能の把握が、安全運行と人材育成の両面で重要です。NeUは、脳計測サービスを事業者の運行管理業務へ組み込むことを目指しています。

認知機能の見える化を実現

NeUは、脳計測データをもとに脳の状態を見える化する取り組みを、企業のニューロマーケティングにも広げています。広告や商品への反応を脳活動から捉え、感性評価をより客観的な指標にすることが目標です。個人向けの脳トレと企業向けの計測サービスを組み合わせ、脳の健康管理を暮らしの中に定着させることを目指しています。個人と企業の双方でデータを積み重ね、脳の状態を誰もが把握できる社会を目指しています。

会社概要|株式会社NeUの事業内容・設立背景

設立の背景

NeUは2017年8月、東北大学とJST(科学技術振興機構)の産学連携プロジェクトを起点に設立されました。中心となったのは、東北大学加齢医学研究所の川島隆太 教授が培ってきた認知脳科学の知見と、日立ハイテクが持つ携帯型のNIRS計測技術です。両者の技術を融合し、研究成果を事業として社会に届けることを目的に会社が生まれました。代表取締役CEOには2024年10月、禰寝義人 氏が就任しています。

研究連携

設立後も、東北大学加齢医学研究所との連携は続いています。「運転脳力チェッカー」は川島隆太 教授が監修し、2005年から続く運転と脳のトレーニングに関する研究をもとに開発されました。研究所が積み重ねる新しい知見は、評価項目を更新する材料です。日立ハイテクとの協業も、NIRS計測技術の改良面で続いています。

資金調達

NeUの株主には、東北大学ベンチャーパートナーズが運営するTHVP-1号投資事業有限責任組合や日立ハイテク、三井物産など、複数の投資家が名を連ねています。2022年2月には、三井物産・日立ハイテク・NSDなどを引受先とする第三者割当増資を実施しました。事業は、ウェアラブル脳計測装置の開発・提供、ニューロマーケティング、ブレインフィットネスの3つを柱としています。これまでに実施した脳計測試験の総計測人数は、累計2,701名に達しました。

会社情報

会社名株式会社NeU
所在地東京都千代田区神田司町2丁目2番地 新倉ビル5F
設立2017年8月1日
代表代表取締役CEO:禰寝 義人(2024年10月就任)
資本金1億円
調達2022年2月 第三者割当増資(三井物産・日立ハイテク・NSDなどが引受)
事業ウェアラブルNIRS脳計測装置の開発。ニューロマーケティング。ブレインフィットネス(脳健康ステーション・運転脳力チェッカー)
技術領域近赤外分光法(NIRS)、認知脳科学、ウェアラブル脳計測
連携東北大学加齢医学研究所(川島隆太研究室)。日立ハイテク
URLhttps://neu-brains.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

脳の状態を目に見える形にする技術は、これまで研究室の中にとどまりがちでした。NeUは、東北大学の認知脳科学と日立ハイテクの計測技術を組み合わせ、その技術を暮らしや現場に届けようとしています。ウェアラブル脳計測装置という形は、専門的な研究成果を誰もが使える道具に変える試みだといえます。

注目したいのは、脳計測が単なる脳トレの延長ではなく、運転の安全管理や人材育成という具体的な現場の課題に結びついている点です。高齢化が進む社会で、認知機能の変化を客観的に把握する手段は、今後さらに求められていくと考えられます。研究室で培われた知見がバス会社の現場や個人の日常へ少しずつ広がっていく過程は、大学発スタートアップの社会実装のモデルケースになるかもしれません。

フロントジャーナル編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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