ニューブレクス「光ファイバセンシング」を開発|光ファイバが橋の内部のひずみや温度を全長にわたって計測するイラスト

ニューブレクス株式会社

ニューブレクス「光ファイバセンシング」を開発|研究領域=光ファイバで・インフラ監視/強み=最高2cmの・分解能で計測/将来性=洋上風力の・監視へ

企業紹介|ニューブレクス株式会社とは?

橋やトンネルの内部の変化を、光ファイバに沿って連続して把握できる技術として、注目を集める「光ファイバセンシング」。ニューブレクス株式会社は、その社会実装を目指す、計測系ディープテック企業です。光ファイバ分布計測機「NEUBRESCOPE」と、設置用のセンサケーブル「FutureNeuro」を、インフラの維持管理や資源開発の現場へ提供しています。

キーワード「光ファイバセンシング」

「光ファイバセンシング」は、光ファイバに光を通し、内部で散乱して戻ってくる光(散乱光)の変化から、ひずみ(物体の伸び縮みの割合)や温度を測る計測技術です。特徴は、変化の起きた位置を、長い距離にわたって連続的に捉えられる点にあります。橋やトンネル、送水管などの現場で、設置した光ファイバに沿って状態を把握できます。

市場課題|インフラの老朽化が進み、点で測るセンサでは全体を捉えにくい

現状のインフラ監視の課題|現状は、点で測るセンサと人手の点検で全体の把握が難しい|老朽化で・点検の負担が高まる/点で測る方式は・全体が見えにくい

老朽化が進み点検の負担が高まる

インフラは、建設後50年以上を経過する施設が今後急速に増え、点検の負担が高まります。その割合は、2040年3月に道路橋で約75%、トンネルで約52%に達するとされています。このままでは、点検や補修が必要な施設が一度に増え、人手では内部まで確認しにくくなりかねません。

点で測る方式は全体を捉えにくい

点で測る従来のセンサでは、構造物全体の状態を捉えにくい面があります。ひずみの計測では、ひずみゲージ(変形を電気信号に変える小型のセンサ)などを取り付けるのが一般的ですが、センサが増えるほど計測ケーブルが膨大になるため、設置は特徴的な部位に限られがちです。センサのない部位の変化は、見落とされかねません。

他にも、光ファイバ計測では、1回の計測で得る大量のデータの処理、光ファイバの収縮で生じる計測位置のずれ、断線補修後の長さの不一致、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • ひずみゲージ金属の薄い抵抗線を物体に貼り、伸び縮みに伴う電気抵抗の変化からひずみを測るセンサである。測れるのは、貼り付けた1点とその周辺のひずみに限られる。

ニューブレクスの強み|「光ファイバセンシング」を開発

ニューブレクスが「光ファイバセンシング」を開発|現在は、ひずみ・温度計測で常時監視を提供|構造物の状態を・常時監視/最高2cmの・分解能で連続計測

構造物の状態を常時監視

人手による点検は、内部のように見えない箇所の状態を、継続して把握しにくい面があります。

同社の光ファイバ分布計測機「NEUBRESCOPE」は、光ファイバへ短い光のパルスを送り、戻ってくる散乱光の変化から位置ごとの状態を計測します。計測機には、「DTSS」(ひずみと温度を測る機種)と、「DAS」(分布型音響センシング。音や振動を測る機種)があり、最長距離はそれぞれ100km、120kmです。計測データは、ソフトウェア「NEUBREGATE」が処理と位置のずれの補正、可視化、警報を担います。異常が出た位置が分かるため、点検に向かう箇所を絞り込め、保守作業を効率化できます。

最高2cmの分解能で連続計測

かつてのブリルアン方式の計測は、空間分解能(どれだけ細かい間隔で測れるか)が粗く、適用先が土木分野などの大型構造物に限られていたとされています。

同社の「NBX-7031U」シリーズは、ブリルアン散乱(光の周波数がずれて散乱される現象)を測る方式、PPP-BOTDA(パルス・プリポンプ方式)を用います。先に長いパルス光で光ファイバ内に振動を起こしてから短いパルス光で測るため、短い区間でも読み取りやすい方式です。同シリーズの最高空間分解能は2cmで、数cm単位の変化を連続して捉えられますが、測る距離が長いほど分解能は粗くなります。点で測るセンサでは見落としやすい小さな変形も光ファイバに沿って捉えられ、構造物の状態を把握できるようになります。

FrontJournalの解説
  • ブリルアン散乱光ファイバに入れた光が、内部の微小な振動と相互作用して周波数がずれて散乱される現象である。ずれの大きさは、光ファイバのひずみや温度に応じて変わる。

光ファイバセンシングの未来|鉄道橋から洋上風力の監視へ

光ファイバセンシングが変える未来|鉄道橋の実績から洋上風力の監視を目指す|台湾の鉄道橋で・継続監視/自社製造拠点を・大分県に新設予定/洋上風車の・常時監視を目指す

台湾の鉄道橋で継続監視

台湾の鉄道橋では、同社の分布型光ファイバセンシングによる計測が2021年9月から続いています。同社は、橋桁の断面に複数本の光ファイバを配置し、33径間(橋脚と橋脚の間の区間)にわたる990mの区間で、橋の伸び縮み(軸方向のひずみ)や曲がり(曲げ変位)を算出しています。2022年9月に台湾東部で地震が発生した際は、直後に橋梁を計測・分析し、構造に大きな変化がないことを確認しました。列車走行時の挙動の計測にも使われています。

自社製造拠点を大分県に新設予定

光ファイバセンサケーブルの自社製造拠点を大分県臼杵市に新設し、稼働開始は2027年9月の予定です。2026年9月8日には、大分県庁で立地表明式を実施しました。狙いは、拡大する需要に対応できる量産能力を獲得し、現場のニーズに自社設備で応える体制を整えることです。供給能力が増えれば、設置できる現場が増え、導入先が広がると見込まれます。

洋上風車の常時監視を目指す

洋上風車の運用・保守(O&M)を光ファイバで常時一括監視する技術の確立を、同社は目指しています。洋上風力発電では、落雷などによる損傷の確認や再稼働の判断、定期点検に多くの時間と費用を要することが課題です。計画する開発は、落雷損傷の迅速な診断、ボルトの締結状態の長距離一括監視、統合監視システムの構築で、実証試験は実機で行います。保全で発電を止める期間の短縮や点検の効率化が進めば、運用コストの低減につながると期待されます。

会社概要|2002年設立のニューブレクス

2002年に大手電機から独立

ニューブレクス株式会社は、2002年10月に、大手電機メーカーのスピンアウトベンチャー(企業から独立した会社)として設立されました。本社は兵庫県神戸市にあり、代表取締役は岸田欣増氏です。事業は、光ファイバ分布センシングシステムの開発・製造・販売と、モニタリングサービスの提供です。

NEDO採択と大学との共同研究

同社は、2023年4月にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の技術研究開発事業の採択を受け、洋上風力分野に参入しました。2026年7月には、NEDOのグリーンイノベーション基金事業(脱炭素分野の技術開発を支援する基金)「洋上風力発電の低コスト化」で、同社の提案が採択されています。同年8月には、神鋼鋼線工業(兵庫県尼崎市)が代表を務めるNEDOの浮体式洋上風力の研究開発に、再委託先として参画しました。神戸大学の鍬田泰子教授の研究グループとは、光ファイバDASで地下空洞のリスクを可視化する共同研究を進めています。

計測機からソフトまで一体で提供

同社は、計測装置、光ファイバセンサケーブル、データ解析・管理ソフトウェア、現場計測サービスを一体で提供しています。2005年10月に「NEUBRESCOPE NBX-6000」を、2007年1月にセンサケーブル「FutureNeuro」シリーズを、2020年3月にDAS「NBX-S4000」を発売しました。海外では、2015年6月に米国で資源開発向け計測サービスの関連会社を、2019年6月にスイスで欧州の販売・サービス拠点を設立しています。

会社情報

会社名ニューブレクス株式会社(Neubrex Co., Ltd.)
所在地兵庫県神戸市中央区栄町通1丁目1番24号
設立2002年10月30日
代表代表取締役 岸田 欣増
資本金1億円
事業光ファイバ分布センシングシステム(計測装置「NEUBRESCOPE」・センサケーブル「FutureNeuro」・ソフトウェア「NEUBREGATE」)の開発・製造・販売。モニタリングサービスの提供
技術領域光ファイバ分布センシング、ひずみ・温度計測、DAS(分布型音響センシング)
連携神戸大学(地下空洞のリスク可視化)。阪神水道企業団・神戸大学(送水管路のモニタリング)。神鋼鋼線工業(代表実施機関)・大阪大学(共同実施先)(NEDO次世代浮体式洋上風力の研究開発。同社は再委託先として参画)
採択NEDO 技術研究開発事業(2023年4月)。NEDO グリーンイノベーション基金事業「洋上風力発電の低コスト化」(2026年7月)
URLhttps://www.neubrex.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

橋やトンネルの内部は、外から見ても状態が分かりません。ニューブレクスの光ファイバは、その見えない部分の変化を、全長にわたって知らせるセンサになります。光ファイバそのものがセンサになる発想に、面白さを感じました。

2002年の設立から20年以上、ニューブレクスは計測装置とセンサケーブル、ソフトウェアを一体で提供してきました。台湾の鉄道橋で2021年9月から計測が続いている点に、積み重ねの確かさを感じます。2027年9月の稼働開始に向けて、自社製造拠点の新設も進めています。

洋上風力や地下空洞の監視へ用途が広がる日を、楽しみに待ちたいと思います。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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