プライムセンス「溺水検知」を開発

株式会社プライムセンス

プライムセンス「溺水検知」を開発

企業紹介|株式会社プライムセンスとは?

プールでの溺水事故を防ぐために、水中の異変を監視員へ知らせる技術「溺水検知」。株式会社プライムセンスは、その社会実装を目指す、千葉大学発のIoT系ディープテック企業です。プールの安全監視システム「Meel(ミール)」を、スイミングスクールやフィットネスクラブなどへ提供しています。

キーワード「溺水検知」

「溺水検知」は、プールなどで人が水に沈んだ状態を検出し、監視員へ知らせる技術です。特徴は、人の目だけに頼らず、機器が利用者の状態を継続して把握できる点にあります。スイミングスクールや公共プールで、監視員の見守りを補う仕組みとして使われます。

市場課題|プールの溺水は発見が遅れやすい

現状の溺水検知の課題

静かに進む溺水は見つけにくい

溺水は、大声や激しい動きを伴わず、静かに進むことがあるといわれています。事故を減らす鍵は、発見の遅れを防ぐ迅速な発見だと、プライムセンスは説明しています。気づくまでに時間がかかれば、水中にいる時間が長くなりかねません。

目視の監視には限界がある

プールの目視監視には限界があるのが実情です。多数の利用者を長時間見守り続けるには、経験と集中力が欠かせず、疲労や見落としも避けられません。人の目による監視には限りがあるため、見落としを減らす補助の仕組みが求められています。

他にも、利用者の水着姿の撮影への配慮、見えにくい場所や水面の反射への対応、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 目視監視監視員の経験・集中力・責任感に支えられる、人の目による見守りを指す。長時間・多人数では限界があるとされる。

プライムセンスの強み|「溺水検知」を開発

プライムセンスが「溺水検知」を開発

撮影せずに水中を見守れる

従来のカメラ映像による監視では、水面の反射や影、見えにくい場所が死角になりやすく、水着姿の映像の扱いにも配慮が必要でした。

「Meel」は、利用者が身に着ける「ティアラ」に内蔵されたRFIDタグ(電波で情報を読み取る無線識別タグ)から、プール内の状態を把握します。このタグはパッシブ型で、電池を持たず、読み取り機の電波を受けて動作する方式です。画像や映像を取得しないため、水着姿を撮影しません。カメラが苦手とする水面の反射や影のある環境でも運用できるよう設計されています。これにより、カメラ映像の死角を減らしながら、利用者のプライバシーに配慮した見守りが可能になります。

通知で監視員が判断に集中できる

従来の目視だけの監視では、多くの利用者を同時に見続けることが難しく、見落としの余地が残りました。

「Meel」は、高速通信で利用者の状態を常時把握し、異常の可能性を検知すると、監視員のバイブレーター(振動で知らせる端末)とタブレットへ通知します。特徴は、水に沈んだ状態の検知に特化している点です。監視員の代わりではなく、見守りを補う位置づけです。異変の可能性を知らせる役割に絞ることで、人は状況の判断や声かけ、救助に専念できます。これにより、監視員は多数の利用者を見守りながらも、状況の判断と利用者への対応に集中できるようになります。

FrontJournalの解説
  • RFID電波を使って、タグに記録された情報を非接触で読み取る無線識別技術である。電池を持たないタグも使え、物流や入退室管理などにも用いられる。

溺水検知の未来|水辺の見守りへの応用

水辺の見守りが変える未来

民間プールで運用を開始

2026年7月、イオンリテール株式会社が運営するイオンスポーツクラブ 3FITの、プール設備のある全国7拠点で、「Meel」の運用が始まりました。現場での運用実績を踏まえ、2026年8月に正式にリリースされています。主な用途は、学校水泳授業、スイミングスクール、フィットネスクラブ、公共プールです。プライムセンスは、学校水泳授業を民間施設へ委託する自治体が年々増えていることを、背景に挙げています。

海や施設へ展開を計画

同社は、「Meel」を支えるセンシング(センサーによる検知)技術はプールだけのものではないとして、導入先の拡大を進める方針です。対象には、ビーチ沖の洋上アスレチックのような海の施設が挙げられています。幼稚園の園バス、高齢者向け健康施設、リハビリテーション施設、ホテル、保養所なども、見守りが求められる施設として示されています。あわせて、研究開発を通じて安全性と使いやすさの向上を図る方針です。

人と技術の協調を目指す

同社は、人だけで守る時代から、人とテクノロジーが協調して守る時代への転換を掲げています。「Meel」は監視員の代わりではなく、監視員が利用者一人ひとりへ目を向けやすくするための「電子の眼」と位置づけられています。研究を続け、現場の知見を開発へ反映する考えです。こうした取り組みを通じて、見守りに関わるすべての人が安心して利用できる環境づくりを目指しています。

会社概要|プライムセンスの事業内容・設立背景

2021年の開発開始から設立

株式会社プライムセンスは、2024年6月21日に設立された、千葉大学発のベンチャーです。「Meel」の開発は2021年に始まり、技術検証と試作を重ねてきたと、同社は説明しています。2025年には、学校水泳授業やスイミングスクールなどで実証試験を行い、利用者や監視員の意見を取り入れて改良を重ねました。展示会への出展や関係機関との意見交換を通じて、現場で必要とされる機能や運用方法を磨いてきたとしています。代表取締役CEOは高木淳氏で、事業内容は安全監視システムの企画・開発・販売です。

大学と業界団体との連携

同社は、2024年10月から、千葉大学フロンティア医工学センターとRFIDに関する共同研究を進めています。検証の対象は、人体に装着した状態や水面付近でのRFID通信の特性、利用者の行動変化を踏まえた異常検知の方法、安全監視に求められる運用方法です。経済産業省の大学発ベンチャーデータベースには、関連大学として千葉大学が記載されています。業界団体では、一般社団法人日本スイミングクラブ協会の賛助会員になっています。

東京と柏に拠点

本社は、東京都渋谷区恵比寿西のウインド恵比寿ビル8階にあります。研究所は、千葉県柏市柏の葉の東葛テクノプラザ内にあります。

会社情報

会社名株式会社プライムセンス
所在地本社 東京都渋谷区恵比寿西2-4-8 ウインド恵比寿ビル8F。研究所 千葉県柏市柏の葉5-4-6 東葛テクノプラザ605号
設立2024年6月21日
代表代表取締役CEO 高木淳
事業安全監視システムの企画・開発・販売
技術領域RFIDを利用したプール安全監視、溺水検知
連携千葉大学フロンティア医工学センター(共同研究)、一般社団法人日本スイミングクラブ協会(賛助会員)
URLhttps://www.primesense.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

溺水は静かに進み、発見の遅れが問題になるといわれています。カメラレスで、RFIDタグの情報から異変の可能性を監視員へ知らせる「Meel」は、監視員を置き換えず、見守りを補う位置づけが目を引きます。とくに注目したのは、水着姿を撮影しない設計と、人と技術で役割を分ける考え方です。

学校水泳授業の民間委託が広がるなかで、監視体制を支える手段が増える意義は大きいと考えます。プール以外の施設へどう広がるかにも、注目しています。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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