株式会社Real Touch|力加減できる力触覚ロボットを開発する北海道大学発のディープテックスタートアップ

株式会社Real Touch(リアルタッチ)

Real Touch(北海道大学発)|研究領域=力触覚ロボット/強み=5分ほどの設定で任せられる/将来性=水産加工から広く現場へ

企業紹介|株式会社Real Touchとは?

株式会社Real Touchは、北海道大学発のディープテックスタートアップです。代表の牧駿氏が2025年8月に設立しました。核となるのは、人の手の「力加減」までロボットに再現させる力触覚(りきしょっかく)の技術です。たらこのような柔らかいものも潰さず掴む汎用ロボットを開発しています。誰でも短時間で作業を教えられる手軽さで、人手不足の現場を支えることを目指します。

キーワード「力触覚(リアルハプティクス)」

「力触覚(リアルハプティクス)」は、感覚を数値としてとらえて伝える技術です。ふつうのロボットは決められた力で動くため、柔らかいものや形が一定でないものは、潰したり取り落としたりしがちでした。Real Touchは力触覚とAIを組み合わせ、人の手の感覚を覚えさせます。作業者がグローブ型コントローラーを動かすと、その動きと感覚をAIが学び再現します。

市場課題|手作業の現場は自動化が難しい

手作業の現場の課題|水産や食品の現場で人手が足りない/柔らかく不定形なものは機械化しにくい

人手不足|現場で働く人が足りない

水産加工や食品加工の現場は、多くを人の手作業に頼ってきました。魚をさばく、身をほぐす、選り分けるといった作業は繊細な力加減が要り、機械に置きかえにくいものでした。しかし、こうした現場では働き手の高齢化や人手不足が進んでいます。産地の加工が立ちゆかなくなる恐れもあり、代わりの仕組みが求められてきました。

自動化|柔らかく不定形なものは扱いにくい

従来の産業用ロボットは、決まった形のものを決まった力でつかむのは得意でした。しかし一つひとつ形が違う魚や、柔らかい食品は、同じ動きでは対応できません。力を加えすぎれば潰れ、弱すぎれば取り落とします。ロボットに新しい作業を教えるには専門知識も必要で、導入のハードルは高いままでした。

他にも、繁忙期と閑散期で作業量が大きく変わる季節による波があります。産地ごとに異なる素材や作業への対応の難しさもあります。熟練者の技をどう次の世代へ引き継ぐか、といった課題が積み重なってきました。

FrontJournalの解説
  • 産業用ロボット工場などで組み立てや運搬を担うロボット。決まった作業を正確に繰り返すのは得意だが、形や柔らかさが一定でないものの扱いは難しいとされてきた。
  • 作業を教えるロボットに作業手順を覚えさせること。ティーチングと呼ばれ、従来は専門の知識やプログラムが必要で現場の人には難しかった。

Real Touchの強み|力加減まで再現する

力触覚で人の手の感覚を再現|従来は力加減できず柔らかい物を潰す/グローブで教えAIが力加減を学ぶ/誰でも5分で自動化できる

省人化|誰でも5分で作業を教えられる

Real Touchの強みは、人の手の「力加減」まで再現する力触覚にあります。それを誰でも短時間で教えられる手軽さも大きな特徴で、あらかじめ細かくプログラムを組む必要はありません。現場の人がグローブ型コントローラーで実際の作業をやって見せると、ロボットが動きをまね、AIが手先の感覚もあわせて学びます。

同社によれば、作業の設定変更は5分ほどで済むとされ、専門知識がなくても導入しやすいのが特長です。人手が足りない現場でも、限られた人数で多くの作業をこなせます。熟練者の手の動きをロボットが覚えられるため、その技を記録して受け継ぐことにもつながります。

繊細化|力加減して柔らかいものも掴める

Real Touchのロボットは、相手の柔らかさに合わせて力を加減できます。代表の牧駿氏は、たらこを潰さず掴んで運べるロボットは他にないと語ります。覚えた感覚をもとに力の入れ方を調整できるため、形が一つひとつ違う魚や崩れやすい食品にも対応しやすくなります。固いものから柔らかいものまで一台で扱える点は、多品種の現場ほど価値があります。

FrontJournalの解説
  • 力触覚(リアルハプティクス)ものに触れたときの力加減や柔らかさの感覚を数値としてとらえ、離れた場所へ伝えたり記録したりする技術。ロボットに人の手の感覚を持たせる基になる。
  • 汎用ロボット決まった一つの作業だけでなく、教え方しだいでさまざまな作業に対応できるロボット。現場ごとに専用機を用意する負担を減らせると期待される。
  • グローブ型コントローラー手を入れて動かすことでロボットを操る装置。人が実際に手を動かすように操作でき、その動きと感覚をロボットに覚えさせられる。

未来|水産加工から人の手仕事の現場へ

力触覚ロボットが変える未来|水産加工の手作業を助ける/食品や農業の現場へ広げる/人手不足の地域産業を支える

水産応用|水産加工の手作業を助ける

Real Touchがまず力を入れているのが水産加工の現場です。ここには、魚をさばいたり、たらこのような水産物を扱ったりする作業があります。いずれも力加減が命で、自動化が難しい分野でした。

力触覚ロボットがこうした作業を担えれば、人手が足りない産地でも加工を続けやすくなります。力加減の要る繊細な作業も、覚えた感覚をもとに任せられます。北海道の基幹産業である水産業を足元から支える技術として、期待が寄せられています。

産業応用|食品や農業の現場へ広げる

力加減が求められる手作業は、水産以外にも数多くあります。食品加工・農業・医療など、柔らかいものや形の一定でないものを扱う現場は、力触覚ロボットの応用先として見込まれています。一台で多くの作業に対応できる汎用性を生かし、手作業に頼ってきたさまざまな産業へ広げていく計画です。

地域貢献|人手不足の地域産業を支える

人の手に頼ってきた作業をロボットが担えるようになれば、人手不足に悩む地域の産業を支える力になります。働き手が減っても、産地の加工を続けられます。人の技を頼りにしてきた現場ほど、その効果は大きいはずです。

それは、地域の仕事と暮らしを守ることにつながります。Real Touchは、人の手の感覚をロボットに宿す技術を磨いています。これを人手不足という社会課題への解決の糸口にしようとしています。

FrontJournalの解説
  • 水産加工獲れた魚介を切り分けたり加工したりして製品にする仕事。繊細な力加減が要る手作業が多く、人手不足や自動化の難しさが課題とされる。
  • NEPNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、ディープテック分野の起業家や研究開発型スタートアップを支援する事業。Real Touchが採択された。

会社概要|Real Touchの事業と設立背景

設立の背景|北大の研究から生まれた

株式会社Real Touchは、2025年8月に設立された北海道大学発のスタートアップです。代表の牧駿氏を中心に、力触覚(リアルハプティクス)とAIの研究開発を進めています。開発するのは、両者を融合したアーム型ロボットです。

人の手の感覚を再現するのは難しいテーマですが、同社は現場で本当に使える汎用ロボットというかたちで挑んでいます。出発点にしたのは、北海道の水産業という身近な課題です。その姿勢は、企業検索で見られる北海道発のディープテック企業に共通します。

採択・連携|公的機関に選ばれてきた

同社は、中小機構(SMRJ)のインキュベーション施設「北大ビジネス・スプリング」に入居し、事業化を進めています。2025年には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「NEP」に採択されました。これは、研究開発型スタートアップを支援する事業です。公的な支援を受け、大学発の技術を製品として届ける段階に入っています。

事業モデル|汎用ロボットを現場に届ける

同社は、力触覚を持つ汎用ロボットを事業の柱に据えています。誰でも5分ほどの設定で作業を任せられるのが持ち味で、これを人手不足に悩む産業へ提供します。専用機を一から作るのではなく、教え方しだいで多くの作業に対応します。その汎用性で、導入のハードルを下げることを狙います。

まだ設立まもない段階で、水産加工を足がかりに手作業の多い現場へ広げていく計画です。専用機のような高い費用も長い準備も要らず、現場の人が自分で教えられます。この手軽さは、小さな事業者にも手の届きやすい選択肢になると見込まれます。

会社情報

会社名株式会社Real Touch(リアルタッチ)
所在地札幌市中央区南2条西5丁目31-1 RM Bld. 701(北大ビジネス・スプリング)
設立2025年8月
代表代表取締役:牧 駿
従業員5名
事業内容力覚(力触覚)を有する、誰でも短時間で作業を自動化できる汎用ロボットの研究開発・提供。
連携・採択中小機構「北大ビジネス・スプリング」入居/NEDO「NEP(ディープテック分野)」採択(2025年)
技術領域力触覚(リアルハプティクス)、力覚センサー、AIロボット、汎用ロボット、遠隔操作
技術基点北海道大学
URLhttps://real-touch.studio.site/

編集後記|FrontJournal編集部より

ロボットの自動化というと、決まった作業を繰り返す工場を思い浮かべがちです。けれどReal Touchが挑むのは、その正反対の仕事といえます。一つひとつ形の違うものを、力加減しながら扱う自動化です。

この会社が印象的なのは、人の手の感覚そのものを技術で受け継ごうとしている点です。たらこを潰さずに掴む、という一見ささやかな目標があります。その裏には、産地の手仕事を絶やさないという大きな願いがあります。5分ほどの設定で任せられる手軽さも、技術を現場に根づかせる姿勢のあらわれです。

設立からまだ日は浅く、これからが本番の会社です。人の手のぬくもりをロボットに宿すこの技術があります。それが人手不足に揺れる現場をどこまで支えるのか、その歩みに期待が集まります。

フロントジャーナル編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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