シンターランド「放電プラズマ焼結」を研究|上下から加圧する焼結型と、ケーブルでつながる装置のイラスト

株式会社シンターランド

シンターランド「放電プラズマ焼結」を研究|研究領域=電流を流して・粉を焼き固める/強み=型と材料を・直接通電で加熱/将来性=材料の試作から・生産まで展開

企業紹介|株式会社シンターランドとは?

金属やセラミックスの粉を短時間で緻密に固める技術として、注目を集める「放電プラズマ焼結」。株式会社シンターランドは、その社会実装を目指す、素材系ディープテック企業です。焼結装置の開発・販売と受託焼結を、材料の研究や開発の現場へ提供しています。

キーワード「放電プラズマ焼結」

「放電プラズマ焼結」は、黒鉛製の型に詰めた粉に、加圧しながら断続的な電流を流して焼き固める方法で、SPS(英語名の略称)法とも呼ばれます。特徴は、型と、導電性の材料ならその材料自身が電流で発熱し、電気炉より昇温と冷却を速くできる点です。緻密な(すき間の少ない)焼結体を得たい、材料の試作や研究の現場で使えます。

市場課題|従来の焼結は加熱に時間と電力を要する

現状の電気炉の課題|現状は、炉全体の加熱で時間と電力を要する|加熱と冷却に・時間を要する/炉全体を温め・電力を使う

加熱と冷却に時間を要する

焼結(粉を加熱して固める工程)は、電気炉で炉内の空間ごと温める方法だと、昇温と冷却に時間がかかります。電気炉などの雰囲気加熱よりも、放電プラズマ焼結のほうが急速に昇温と冷却ができるといわれています。昇温と冷却に要する時間の長さが、従来の焼結の課題です。

炉全体を温めて電力を使う

電気炉などの雰囲気加熱は、炉の内部全体を温める方法です。放電プラズマ焼結の消費電力は、従来法のおよそ1/3〜1/5とされています。常圧焼結やホットプレスといった従来の焼結は、消費電力が大きくなりやすい方法とされます。

他にも、高温・高圧に適した焼結型の準備、直径2〜10インチの大口径の試料の焼結、材料ごとの焼結テストの手間、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 焼結金属やセラミックスなどの粉を、融点より低い温度で加熱し、粒子どうしを結合させて固める方法を指す。固まったものを焼結体と呼び、加熱の仕方で緻密さが変わる。

シンターランドの強み|「放電プラズマ焼結」を研究

シンターランドが「放電プラズマ焼結」を研究|現在は、焼結装置と受託焼結を提供|直接通電で・急速に昇温/型と材料だけを・加熱し電力を抑制

直接通電で急速に昇温

従来の焼結法(常圧焼結法、ホットプレスなど)に比べ、放電プラズマ焼結では短時間、低温度領域で高密度の焼結体が得やすいといわれています。

同社が扱う放電プラズマ焼結は、黒鉛製の焼結型に粉を詰めて加圧しながら、型と材料に直流のパルス電流(断続的に流す電流)を直接流す方法です。電流による自己発熱(電流が流れた物体自身が熱を出す現象)を粉の加熱に使うため、電気炉より急速に昇温と冷却ができ、所要時間の目安は数分〜数時間です。加圧と急速な昇温により、結晶の粒が大きくなる粒成長(結晶が育つ現象)を抑えた緻密な焼結体(すき間の少ない固まり)が期待できます。迅速焼結法のため、受託焼結テストでも短納期に対応できます。

型と材料だけを加熱し電力を抑制

放電プラズマ焼結は、従来法のおよそ1/3〜1/5の消費電力で済む省エネルギーの焼結法とされています。

同社の装置は、焼結型と材料だけを通電で加熱するので、炉の内部全体を温める必要がありません。加圧には油圧ではなくサーボモータ(位置や力を精密に制御できるモーター)を使い、静かに動作します。卓上サイズの研究開発用から大型の装置まで取りそろえており、焼結のほか接合や成形、合成、表面改質にも対応する構成です。通電による加熱は消費電力を抑えやすいとされ、独自開発のDC(直流)パルスインバータ電源は、従来型装置に比べて消費電力を大幅に削減できるともいわれます。

FrontJournalの解説
  • 自己発熱電流が流れた物体が、自身の電気抵抗によって熱を出す現象を指す。外側から炉で温める方法と異なり、電流の通る部分だけを内側から温められるため、加熱が速く無駄が少ない。

放電プラズマ焼結の未来|材料の研究から生産への応用

放電プラズマ焼結が変える未来|試作から生産へ、SPS法の普及を目指す|受託焼結で・材料を試せる/研究用から・生産用まで展開/SPS法の普及と・発展を目指す

受託焼結で材料を試せる

焼結装置を持たない研究者や企業でも、受託焼結テストで、材料の焼結を試せます。標準サンプルのほか、角型や直径2〜10インチの大口径にも対応します。手持ちの焼結型で対応できる場合、納期は通常2〜4週間程度です。依頼者が焼結に立ち会う立会焼結も、長岡市の本社工場と京都市の京都事業所で受け入れています。

研究用から生産用まで展開

焼結装置は、研究開発用の「LABOX」(研究室向け)シリーズと、生産用の「JPX」(生産向け)シリーズを提供しています。「LABOX」は卓上サイズから大型まで取りそろえた、材料の探索向けの装置です。「JPX」は処理室を増設できる構造のため、生産の規模に合わせて広げられます。研究用と生産用は、同じ放電プラズマ焼結の方式の装置です。

SPS法の普及と発展を目指す

同社は、日本でSPS(放電プラズマ焼結の略称)法のパイオニア的存在となることを目標に、1999年に設立されました。焼結型としては、真空または不活性ガス(他の物質と反応しにくい気体)中で温度2000℃、最大面圧(型にかかる圧力)400MPaの条件に対応する超高温高圧金型「SL-400H」を提供しています。関連企業の株式会社エヌジェーエス(NJS)が、シンターランドとともにSPSの将来を切り開くことを掲げています。普及の先に見えてくるのは、材料を試す現場で、短時間で省電力の焼結を選べる場面の広がりです。

会社概要|新潟県長岡市で放電プラズマ焼結の装置と受託焼結を手がける会社

SPS法の普及を目的に設立

株式会社シンターランドは、1999年11月2日に設立され、本社は新潟県長岡市にあります。設立の目的は、放電プラズマ焼結(SPS)法の普及と発展で、受託加工と受託研究開発を主な業務としてきました。2000年にSPS法による超硬合金製の焼結モールド、2001年に純シリカガラスの焼結体を開発しています。代表取締役は渡邊泰崇が務め、資本金は1,000万円です。

国の事業参加と装置の自社開発

2009年には、アルミ発泡合金製浮力体の研究開発に、サポイン(戦略的基盤技術高度化支援事業)の再委託先として参加しました。2010年に卓上型のパルス通電加圧装置を自社開発し、装置の設計・製造・販売を始めています。2011年には京大桂ベンチャープラザ北館に京都SPS開発センターを開設し、国の知的クラスター創生事業の業務協力企業としての活動を本格化しました。

装置販売と受託焼結が事業

事業には、SPS法による技術開発・製品製作と、受託焼結などがあります。このほか、SPS装置・周辺機器の販売・メンテナンスと、技術相談も手がけています。品質マネジメントの国際規格であるISO9001:2015の認証も取得済みです。2025年5月17日付のお知らせで、同年6月1日にグループ企業の株式会社三好を吸収合併し、三好の事業と全従業員が同社へ移行すると案内しています。

会社情報

会社名株式会社シンターランド
所在地新潟県長岡市雨池町123番地
設立1999年11月2日
代表代表取締役 渡邊泰崇
資本金1,000万円
事業SPS法による技術開発・製品製作。受託焼結。SPS装置・周辺機器の販売・メンテナンス。技術相談
技術領域放電プラズマ焼結(SPS)法による焼結・接合・成形・合成・表面改質
連携関連企業として株式会社エヌジェーエスを公式サイトで紹介(資本・業務関係の記載なし)
採択採択の記載なし(2009年サポイン事業に再委託先として参加。2011年知的クラスター創生事業に業務協力企業として参加)
URLhttps://sinterland.jp

編集後記|FrontJournal編集部より

焼結は、粉を固める基本的な工程ですが、材料の性質を左右する大切な工程です。シンターランドは、その焼結を電流で直接加熱する放電プラズマ焼結に絞り、装置の開発から受託焼結、焼結型までを手がけています。一つの方式を軸に、研究の入口から生産の規模まで道具をそろえている点が印象的です。

単なる装置の販売ではなく、受託焼結で材料を試す入口まで用意している点が、この会社の特徴です。装置を持たない現場でも、受託焼結を使って試作へ進めます。焼結型の開発まで手がけるため、条件に合わせた試作を重ねる環境が整っています。

材料の試作が、短く、軽くなる。電気を通して固めるという一つの技術が、その変化を支えています。新しい素材が暮らしや産業に届くまでの道のりが縮まり、ものづくりの現場が前向きに変わることを、楽しみに待ちたいと思います。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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