株式会社TOMOCLOUD|リンパ浮腫の早期発見を目指す医療機器企業

株式会社TOMOCLOUD(トモクラウド)

TOMOCLOUD「リンパ浮腫の早期発見」を研究|研究領域=微弱電流で体内を画像化/強み=放射線を使わず負担を抑制/将来性=日常で確かめる医療を目指す

企業紹介|TOMOCLOUDとは?

体に微弱な電流を流し、手足のむくみの原因を画像にして調べる「リンパ浮腫の早期発見」。株式会社TOMOCLOUDは、その社会実装を目指す、千葉大学発の医療機器系ディープテック企業です。EIT(電気インピーダンス・トモグラフィ、体内の電気的な性質の分布を画像にする技術)を使い、リンパ浮腫を診断する機器と、むくみを日常で確かめる機器を開発しています。

キーワード「リンパ浮腫の早期発見」

リンパ浮腫は、リンパ管の機能が落ちて皮下組織にタンパク質を含む液がたまり、腕や脚がむくむ進行性の慢性疾患です。早期に対応すれば発症を抑えられるため、早期発見が重要とされています。同社は、その早期発見を、身体への負担が少ない画像化で実現することを目指しています。

市場課題|リンパ浮腫は早期発見の方法が限られる

現状のリンパ浮腫検査の課題|現状は、検査法が限られ早期発見が難しい/早期発見の方法が限られる/画像検査の標準化が途上

早期発見が重要だが方法が少ない

リンパ浮腫は、早期発見が重要ですが、簡便で非侵襲(体を傷つけない)な確認方法は限られています。早期に対応すれば発症を抑えられるため、継続的な観察も欠かせません。このままでは、対応が遅れる恐れがあります。

既存の画像検査は標準化が途上

既存の画像検査は、標準化や根拠の蓄積が途上です。リンパシンチグラフィ(放射性トレーサーを使う検査)は、撮影方法や評価法が標準化されていません。ICG(インドシアニングリーン)蛍光リンパ管造影(蛍光色素と近赤外線カメラでリンパの流れを見る検査)は、良質なエビデンスが不足しています。

他にも、早期発見の手段、検査法の標準化、継続的な観察の方法、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • リンパシンチグラフィ放射性トレーサー(放射線を出す微量の薬剤)を体内に入れ、専用のカメラでリンパ液の流れを撮影する検査を指す。リンパ浮腫の診断と重症度の評価に使われる。

TOMOCLOUDの強み|「リンパ浮腫の早期発見」を研究

TOMOCLOUDが「リンパ浮腫の早期発見」を研究|今後は、EITで皮下の液の画像化が可能に/皮下の細胞外液を電流で画像化/放射線を使わず微弱電流で測定

電流で皮下の液を画像化

ICG蛍光リンパ管造影は、近赤外線カメラで見えるリンパの流れが、体表から2cm以内とされています。

同社が基盤とする研究は、EIT(電気インピーダンス・トモグラフィ)を高精度化し、皮下組織の細胞外液(細胞の外側にある体液)を局所的に画像にする研究です。画像の作り方には、周波数の異なる電流の測定値の差を使う方法などを検討し、模擬組織・健常者・患者で検証した結果を、リンパシンチグラフィなどの所見と比較しています。対象は、早期発見の手がかりになる皮下の変化です。皮膚の下の変化を画像で確認できれば、むくみが目立つ前の変化に気づく手がかりを、早い段階で確認できます。

放射線を使わず負担を抑制

リンパシンチグラフィは、放射性トレーサーを体に入れて撮影するため、被ばくを伴う検査です。

同社が使うEITは、多数の電極を切り替えながら微弱な交流電流を流し、各電極間の電位差を順に測る方式です。得られた電気信号は、逆問題解析(測定値から内部の分布を逆算する計算)で、体内のインピーダンス分布の画像に変わります。診断機器「LTモニタPro」(リンパ浮腫の診断を支援する機器)は、この原理で体内の水分などによる電気的な性質の分布を画像にする、臨床検証中の製品です。放射線を使わず身体への負担を抑え、むくみの変化をリアルタイムで観察することを目指します。

FrontJournalの解説
  • 逆問題解析測定した値から、その値を生んだ内部の状態を逆算して求める数学的な計算を指す。EITでは、電気信号から体内の分布を画像にするために使う。

未来・展開|体の変化を日常で確かめる医療へ

日常のモニタリングが変える未来|体の変化を日常の中で確かめる/臨床現場で検証を継続/自宅用機器の開発を推進/医療・介護への拡大を目指す

臨床現場で検証を継続

同社は、診断機器「LTモニタPro」を、臨床現場での検証を重ねながら開発しています。現在は試作機の段階で、医療機器としての承認は取得していません。医療現場と連携しながら、画像を作るアルゴリズム(計算手順)と装置のハードウェアの両方を研究しています。薬事承認に向けた研究開発を進めている段階です。

自宅用機器の開発を推進

短期では、自宅でむくみを確かめる機器「LTモニタLite」の開発を進めています。日々の困りごとや必要な機能を探る手段は、使う人へのアンケートです。家庭で測れる機器になれば、通院の合間にも、自分でむくみの変化を把握しやすくなります。

医療・介護領域への拡大を目指す

同社は、リンパ浮腫で培うEITの技術を、複数の疾患や部位の可視化へ広げることを目指しています。想定する分野は、医療・ヘルスケア・介護です。目指す姿として、「視える化技術により全ての人が自分らしく生きることのできる社会」を掲げています。実現すれば、からだの状態が見えない不安を抱える人が、日常の中で変化を確かめられるようになります。

会社概要|株式会社TOMOCLOUD

2025年設立の医療機器企業

株式会社TOMOCLOUDは、2025年8月に設立された企業です。事業は非侵襲生体イメージング機器の開発・製造販売で、小川良磨氏(千葉大学客員准教授)が代表を務めています。千葉大学武居研究室でのEITの研究を基盤に設立された、千葉大学発のスタートアップです。本店は、千葉大学知識集約型共同研究拠点(KCRC)に置いています。

採択・受賞・連携

2025年7月にGTIE-GAPファンドのエントリーコースに採択され、同年8月にはBeyond Japan Zero to X Programの最終採択者に決まりました。2026年7月には、AMED橋渡し研究プログラム筑波大学拠点の「大学発医療系スタートアップ支援プログラム【S2】」に、課題「リンパ浮腫早期診断装置の薬事承認・上市に向けた研究開発」が採択されています。同年9月には、「ちばぎん研究開発助成制度2026」の助成金交付先にも決まりました。受賞では、2025年9月の第9回日本リンパ浮腫治療学会学術総会で最優秀演題賞を受けています。2026年7月には、HVC KYOTOで「O-Nexus Award」と「Tokyu Land Award」を受賞しました。

シードで5,000万円を調達

2025年12月26日に、シードラウンドで総額5,000万円の資金調達を発表しました。シードラウンドは、事業の立ち上げ期に行う、ごく初期の資金調達の段階にあたります。資金は、製品開発とPOC(概念実証)の取得、事業開発・マーケティングの体制づくり、品質マネジメント体制の整備に充てる計画です。

会社情報

会社名株式会社TOMOCLOUD(TOMOCLOUD, Inc.)
所在地千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33 千葉大学知識集約型共同研究拠点(KCRC)307号室
設立2025年8月18日
代表小川 良磨
事業非侵襲生体イメージング機器の開発・製造販売。電気インピーダンス・トモグラフィ(EIT)によるリンパ浮腫の診断機器「LTモニタPro」と、自宅用機器「LTモニタLite」を開発
技術領域電気インピーダンス・トモグラフィ、非侵襲生体イメージング、医療機器
URLhttps://tomocloud.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

むくみは見た目に表れる一方で、その内側で何が起きているかは、外からは分かりにくいものです。TOMOCLOUDは、体に微弱な電流を流して内部の様子を画像にするEITで、その見えにくさに向き合っています。画像として確かめられれば、変化に気づく手がかりが増えます。

公式サイトに掲げられた「見えない不安を、視える安心へ。」という代表のことばが、事業の動機を端的に示しています。臨床現場での検証を続けながら、診断機器と自宅用機器の2つを並行して進める姿勢も印象に残ります。

診断機器は医療機器としての承認を取得しておらず、薬事承認に向けた研究開発はこれから続きます。体の変化を日常の中で確かめられる日が来ることを、編集部は楽しみにしています。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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