由風BIOメディカル「診断薬用ナノ粒子」を研究

由風BIOメディカル株式会社(ユカゼバイオメディカル)

由風BIOメディカル「診断薬用ナノ粒子」を研究|研究領域=診断薬の感度を左右する部品/強み=吸着の抑制と抗体の感作/将来性=粒子の提供で即日検査を目指す

企業紹介|由風BIOメディカル株式会社とは?

検査の感度を左右する診断薬の部品として、注目を集める「診断薬用ナノ粒子」。由風BIOメディカル株式会社は、その社会実装を目指す、バイオ・ヘルスケア系ディープテック企業です。目的外の物質が付着しにくいSG粒子(スチレンとグリシジルメタクリレートの頭文字)と、抗体を付けた粒子を、診断薬の完成品は作らずに試薬メーカーへ提供する事業を進めています。

キーワード「診断薬用ナノ粒子」

「診断薬用ナノ粒子」は、検体中の抗体や抗原と結び付き、反応を検査装置で読み取れる変化に変える、診断薬向けの微小な粒子です。粒子の表面に目的外のタンパク質が付着しにくいほど誤った反応が減り、検査の感度が保たれます。同社が扱うSG粒子の粒径は200nm(ナノメートル=10億分の1メートル)です。

市場課題|免疫検査は、時間とコストがかかる

現状の免疫検査の課題|現状は、粒子への吸着と感作の難しさで感度が落ちる/粒子への吸着で擬陽性が出やすい/抗体の性能を引き出しにくい

粒子への吸着で擬陽性が出る

現行の免疫血清検査はELISA法(酵素を使って抗体や抗原を測る方法)に依存し、高精度な一方、時間とコストが課題です。生化学自動分析装置(病院などが血液検査に使う装置)で使えるラテックス凝集法が注目されていますが、粒子への非特異吸着(目的外の物質の付着)による擬陽性(陰性を陽性と誤判定すること)と感度低下が、障壁です。このままでは、迅速な検査が広がりにくい恐れがあります。

抗体の性能を引き出しにくい

粒子に抗体を付ける感作の工程は、抗体の性能を十分に引き出せない場合があり、診断薬の感度を左右します。個人病院では検体を外部へ送るため結果が遅れ、大学病院でも再発検査では迅速性が課題です。このままでは、早期発見や予防医療が進みにくい状態が続く恐れがあります。

他にも、スクリーニングと再検査の併用、検査センターの負担、医療財政の負担、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • ラテックス凝集法ラテックス(高分子の微粒子)の表面に抗体や抗原を付け、検体と混ぜたときに粒子が集まる度合いから、測りたい物質の量を調べる検査法である。

由風BIOメディカルの強み|「診断薬用ナノ粒子」を研究

由風BIOメディカルが「診断薬用ナノ粒子」を研究|現在は、SG粒子で研究用試薬を提供/吸着を抑える表面構造の設計/抗体の活性を保つ感作を研究

吸着を抑える粒子

従来の粒子は、検体中のタンパク質などが目的外に付着しやすく、擬陽性や感度の低下を招きます。

同社の「SG粒子」(ナノ粒子)は、スチレンとグリシジルメタクリレートを材料にした共重合体粒子(2種類以上の原料から作る高分子粒子)で、粒径は200nmです。グリシジルメタクリレート由来のエポキシ基(反応性の高い構造)を使い、粒子表面に反応性官能基を付けられます。タンパク質などが非特異吸着するのを大きく抑える特性を持ちます。粒子の分散と凝集を制御する技術と、合成化学に基づく表面構造の設計が基盤です。目的外の付着が減るため、擬陽性や感度低下が起きにくくなり、検査結果の信頼性を保てると考えられます。

抗体の活性を保つ感作

診断薬では、粒子に抗体を付ける工程の条件によって、抗体が本来の性能を発揮できない場合があります。

同社は、抗体の活性を保ったまま粒子に付ける感作プロセスの研究に取り組み、吸着を抑えた粒子と組み合わせます。目標は、既存の生化学自動分析装置で免疫血清検査ができる診断薬向けの粒子の実現です。粒子は診断薬の完成品でなく、抗体感作粒子として試薬メーカーなどに提供し、製剤化と薬機法への対応は試薬メーカーが担います。実現すれば、病院や検査センターは新しい専用装置が要らなくなり、既存の設備で免疫検査を行えるようになります。

FrontJournalの解説
  • 抗体感作ラテックスなどの粒子の表面に、抗体を結び付けて診断薬の反応部分にする工程を指す。結び付け方で抗体の活性が変わり、検査の感度に影響する。

診断薬用ナノ粒子の未来|即日検査への応用

診断薬用ナノ粒子が変える未来|共同研究から、即日検査へ/研究用試薬と受託サービス/試薬メーカーと共同研究を進行/粒子の提供で即日検査を目指す

研究用試薬として供給中

SG粒子は、すでに研究開発用の試薬として製造販売されている製品です。粒子は水分散液で納品され、無菌試験は陰性です。要望に応じて、特定の反応性官能基を導入する二次反応や、生理活性物質を付加する三次反応の受託サービスも提供しています。研究者にとっては、実験の目的に合わせて表面を加工した粒子の入手先になります。

試薬メーカーとの共同研究

診断薬の性能を左右する粒子を、試薬メーカーなどに提供する形での事業化を進めています。同社は診断薬の完成品を製造せず、粒子の提供に特化します。試薬メーカーが粒子を製剤化して薬機法に対応し、国内外へ展開する分担です。現在は複数の企業と共同研究を進めており、新規パートナーも募集しています。

即日検査の実現を目指す

同社は、中期(3〜5年)を見据え、重点項目から順次開発を進める方針です。対象は免疫血清検査項目全般と特殊感染症分野です。生化学自動分析装置で使える診断薬が実用化すれば、検体を外部に送らずに、院内で結果を得られる可能性があります。同社は社会実装の展望に、即日検査の実現、検査センターの効率化、医療財政負担の軽減を挙げており、検査時間とコストが下がれば、これらにつながる可能性があります。

会社概要|SG粒子を診断薬向けに展開する由風BIOメディカル

SG粒子を診断薬向けに展開

同社は、バイオマテリアル領域と再生医療領域の研究開発・受託を事業とする、沖縄県うるま市の企業です。主力のSG粒子は、東京工業大学の半田宏名誉教授と慶應義塾大学の川口春馬名誉教授の共同研究から生まれた機能性ナノ粒子です。同社は、これを研究用試薬として製造販売するとともに、診断薬向けの研究開発を進めています。名称の「SG」は、スチレン(Styrene)とグリシジルメタクリレート(Glycidyl Methacrylate)の頭文字に由来します。

採択・連携

令和5年度沖縄域外競争力強化促進事業費補助金(内閣府、8,439万円)が、2023年の採択実績です。承認日は2023年6月12日です。共同研究は複数の企業と進めており、学術機関との連携は、一部の特殊感染症分野にとどまります。

再生医療の受託と資金調達

再生医療の細胞培養加工施設(沖縄再生医療センター)では、無菌試験、細菌内毒素試験、マイコプラズマ否定試験といった微生物学的安全性試験を受託しています。この施設は、GMP(医薬品の製造管理および品質管理の基準)に準拠した試験施設ではありません。資金面では、2024年9月に、イークラウドで株式投資型クラウドファンディングの第2回(目標1,000万円、上限6,000万円)の募集を行いました。

会社情報

会社名由風BIOメディカル株式会社
所在地沖縄県うるま市字州崎12番地75 沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター105
調達2024年9月に株式投資型クラウドファンディング第2回(イークラウド、目標1,000万円、上限6,000万円)を実施
事業機能性ナノ粒子(SG粒子)の製造販売、診断薬向けナノ粒子の研究開発、再生医療領域の研究開発・受託
技術領域診断薬用ナノ粒子、抗体感作
連携複数の企業と共同研究を進行中。学術機関との連携は一部の特殊感染症分野
採択令和5年度沖縄域外競争力強化促進事業費補助金(内閣府)
URLhttps://yukaze-biomedical.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

診断薬の性能は、抗体だけでなく、その土台になる粒子の質にも左右されます。由風BIOメディカルの取り組みは、完成品の診断薬でなく粒子を磨き、既存の検査装置で使える免疫検査を目指す点が特徴です。診断を支える素材の企業としての価値は、ここにあります。

目的外の付着を抑える粒子と、抗体の力を引き出す工程を組み合わせる考え方は、検査の感度と速さの両立を狙う現実的な道筋だと考えます。試薬メーカーと分担する形は、技術を医療の現場へ届ける近道です。検体を外部へ送らず、院内で結果が分かる日が近づくことを楽しみにしています。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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