Hysataが「水電解装置」を開発
課題解決に挑むHysata
Hysataは、「水電解装置」を開発・製造するオーストラリアの企業です。2021年に設立され、ニューサウスウェールズ州ウーロンゴン市のポートケンブラに本社と工場を置いています。同社の技術はウーロンゴン大学の研究室で生まれ、同大学のゲリー・スウィーガース氏(現在は同社の最高技術責任者)らは、その電解セルの研究成果を2022年に学術誌「Nature Communications」で発表しています。
泡の出ない構造で効率が向上
一般的な「水電解装置」では、電極の表面で発生した水素と酸素の泡が電気の流れを妨げ、損失の原因になります。Hysataの装置は、2つの電極の間に置いた多孔質(細かい穴が無数にある)の膜が毛細管現象で液を吸い上げて電極へ届けるため、電極が液に浸からず、発生した水素と酸素が泡にならずに気体のまま抜ける仕組みです。泡による抵抗が減ることなどにより、同社によると装置全体の効率は、理論上必要な最小の電力(水素1キログラムあたり約39.4キロワット時)に対する割合で約95%となり、水素1キログラムあたりの消費電力は約41.5キロワット時と、一般的な装置の約52.5キロワット時より約2割少なくなります。2022年の論文では、85℃などの実験室の条件で、電解セル単体の効率として約98%が報告されています。
同じ電力で水素の製造量が増加
効率が上がれば、同じ量の水素をより少ない電力で製造でき、同じ電力で製造できる水素の量は増えます。グリーン水素の製造コストは電気の価格に大きく左右されるため、使う電力が減れば、製造コストのうち電気代を抑えられます。同社によると、1メガワット(1,000キロワット)の装置を1日運転して製造できる水素は約580キログラムです。

FrontJournalの解説
- 毛細管現象細いすき間や多孔質の材料の中を、液体が重力に逆らって吸い上げられる現象。ティッシュペーパーの端を水につけると、水が上へしみ上がるのと同じ仕組みである。
- キロワット時電力量の単位。1キロワットの電力を1時間使ったときの量で、家庭の電気料金の計算にも使われる。