チャネロサーチテクノロジー|名古屋市立大学発の「イオンチャネル創薬」を研究する創薬支援系ディープテック企業

株式会社チャネロサーチテクノロジー

チャネロサーチテクノロジー「イオンチャネル創薬」を研究|研究領域=イオンチャネルを狙う新薬の研究/強み=細胞の生死で効き目を判定/将来性=新しい薬の創出を目指す

企業紹介|チャネロサーチテクノロジーとは?

てんかんや不整脈など、多くの病気に関わるタンパク質を標的に新薬を探す研究として、注目を集める「イオンチャネル創薬」。チャネロサーチテクノロジーは、その社会実装を目指す、名古屋市立大学発の創薬支援系ディープテック企業です。細胞の生死で薬の候補を選び出す方法と、試験に使う細胞の開発・提供を通じて、製薬企業などの研究を支えています。

キーワード「イオンチャネル創薬」

イオンチャネル創薬は、細胞の膜にあるイオンチャネル(イオンを通して電気信号を作るタンパク質)に作用する化合物を探し、医薬品を開発する研究です。イオンチャネルの働きが損なわれると、てんかんや不整脈などの病気や、かゆみなどの症状が起こることが知られています。そのため、イオンチャネルは主要な創薬標的の一つとされています。

市場課題|イオンチャネル創薬は評価に手間がかかる

現状のイオンチャネル創薬の課題|現状は、電流の精密測定の効率が低く、評価に手間がかかる/心毒性試験に専用の細胞が要る/電流の精密測定は効率が低い

心毒性試験に専用の細胞が要る

新薬の開発では、薬が心臓の働きを乱さないかを確かめる心毒性試験が欠かせません。心臓の拍動はイオンチャネルが生む電気信号で保たれ、その電気信号が乱れると不整脈につながります。心臓の拍動には複数のチャネルが関わり、その種類ごとにヒトのチャネルを組み込んだ細胞を用意する手間がかかります。

電流の精密測定は効率が低い

イオンチャネルの働きを最も正確に測れるパッチクランプ法(細い電極で細胞1個ごとの電流を測る方法)は、効率の低い方法です。測定を自動化した装置も、費用対効果の面では必ずしも有利ではないといわれています。イオンチャネル作用薬が少ない原因の一つには、効率の高い選別法の開発の遅れが挙げられています。

他にも、標的として期待されるイオンチャネルの種類の多さ、標的のチャネルを作り続ける質の高い細胞の作成と供給、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • パッチクランプ法ガラスの細い電極を細胞の膜に密着させ、イオンチャネルを流れる微小な電流を直接測る方法である。チャネルの働きを最も正確に捉えられる一方、細胞を1個ずつ扱うため、大量の化合物を試す作業には向きにくい。

チャネロサーチテクノロジーの強み|「イオンチャネル創薬」を研究

チャネロサーチテクノロジーが「イオンチャネル創薬」を研究|現在は、試験細胞と化合物の選別を提供/心毒性試験用の細胞を提供/細胞の生死で効き目を判定

心毒性試験用の細胞を提供

試験用の細胞を自前で用意する場合、目的の遺伝子を組み込んだ細胞を一から作るところから始める必要があります。

同社は、イオンチャネル定常発現細胞(目的の遺伝子を組み込み、そのタンパク質を作り続けるよう安定させた細胞)の開発に力を注ぎ、同社が国内最大規模とする細胞ライブラリーを保有しています。品ぞろえはカリウム、カルシウム、ナトリウムの各イオンを通すチャネルに及び、心毒性試験に適したヒト由来のチャネルをそろえた構成です。細胞の作製に使うベクター(遺伝子の運び手)なども、商業利用を含めたライセンスに配慮して選ばれています。研究機関は細胞を一から作らずに済み、試験の準備にかかる手間を削減できます。

細胞の生死で効き目を判定

電気の変化を細胞1個ずつ測る方法では、大量の化合物を一度に試すことが難しくなります。

同社は、1回の活動電位(細胞が興奮したときに膜の電位が一瞬反転する電気信号)で死ぬ細胞を基盤に、HTS(大量の化合物を一度に試して候補を選び出す方法)を開発しました。この細胞は、閉じにくく改変したナトリウムチャネルを持ち、電気刺激で活動電位が起きるとナトリウムがたまり続けて死にます。標的のカリウムチャネルを加えると細胞は生き残りますが、化合物がそのチャネルを抑えると死ぬため、効き目が死んだ細胞の割合に現れる仕組みです。操作が簡便で費用対効果も高く、多くの化合物を少ない費用で試すことができます。

FrontJournalの解説
  • 活動電位神経や筋肉の細胞が興奮したとき、膜の内外の電位が一瞬だけ反転する電気信号である。イオンチャネルが開いてナトリウムなどのイオンが出入りすることで生じ、脳の情報伝達や心臓の拍動のもとになる。

未来|イオンチャネルを狙う新薬の研究が広がる

細胞を使うイオンチャネル創薬が変える未来|試験細胞の供給から新薬の創出へ広げる/製薬企業へ試験用の細胞を供給/受託試験で候補の評価を担う/新しい薬の創出を目指す

製薬企業へ試験用の細胞を供給

同社の定常発現細胞は、すでに複数の製薬企業や受託試験企業に販売されています。提携先のシミックファーマサイエンス株式会社(医薬品の試験を受託する企業)とソフィオンバイオサイエンス株式会社(オートパッチクランプ装置を扱う企業)に、定常発現細胞を試験用に提供しています。2018年には、研究用試薬を扱うフナコシ株式会社と販売契約を結び、フナコシの販売網を通じても細胞を購入できるようになりました。研究者は細胞を一から作らずに、イオンチャネルの試験を始めやすくなります。

受託試験で候補の評価を担う

イオンチャネルを標的とした薬理試験の受託も、同社の事業の柱です。試験の方法は、手作業で測るマニュアルパッチクランプ法や自動で測るオートパッチクランプ法などから、依頼者の希望に合わせて選択できる体制です。化合物の選別から、GLP(医薬品の安全性試験の信頼性を保証する国の基準)の対象外となる毒性試験まで幅広く対応し、標的に合った試験方法の提案も受け付けています。測定設備を持たない研究機関でも、候補化合物を評価しやすくなります。

新しい薬の創出を目指す

同社は、細胞の生死で判定する選別法を使い、新しいイオンチャネル作用薬の探索と開発を目指しています。細胞を使った試験と自社の選別法を組み合わせ、多くの化合物から候補を絞り込むことが狙いです。対象となる病気は、脳・神経や心臓に限られません。新しい作用薬が生まれれば、イオンチャネルが関わる病気に対して、薬の選択肢が増えることが期待されます。

会社概要|株式会社チャネロサーチテクノロジー

名古屋市立大学の研究から創業

チャネロサーチテクノロジーは、2006年3月に設立された名古屋市立大学発の創薬支援ベンチャーです。本社は、名古屋市瑞穂区にある名古屋市立大学薬学部の共同利用研究施設内に置かれています。代表取締役の今泉祐治氏は、名古屋市立大学大学院薬学研究科の教授としてイオンチャネルの機能解析に取り組み、2017年11月に代表に就きました。

今泉氏は現在、同大学の特任教授を務めています。取締役の村木克彦氏は愛知学院大学薬学部の教授で、設立時から取締役を務めています。顧問の成田寛氏は、田辺三菱製薬で薬理研究所長などを歴任しました。

試験会社や販売会社と提携

同社は、細胞の提供と販売の窓口を、国内の企業との提携で広げてきました。2014年にシミックファーマサイエンス、2016年にソフィオンバイオサイエンスと業務提携を結び、2018年7月には京都で開かれた薬理学の国際会議で共同ブースを出展し、同年12月にはフナコシと販売契約を結びました。2021年には、日経バイオテクの「バイオスタートアップ総覧2021~2022」で紹介された企業の一つです。

融資と細胞販売で事業を運営

2020年10月には、日本政策金融公庫から資本性劣後ローン(返済の順位が低く、金融機関の審査で資本とみなされる融資)を受けました。資本金は1,000万円です。主な事業は定常発現細胞の販売・リースと薬理試験の受託で、自社の選別法を使った創薬研究も進めています。

会社情報

会社名株式会社チャネロサーチテクノロジー(ChanneloSearch Technology, Co. Ltd.)
所在地愛知県名古屋市瑞穂区田辺通3丁目1番地(名古屋市立大学薬学部共同利用研究施設内)
設立2006年3月
代表今泉 祐治(代表取締役)。村木 克彦(取締役)
資本金1,000万円
調達日本政策金融公庫 資本性劣後ローン(2020年10月)
事業イオンチャネル標的創薬。イオンチャネル定常発現細胞の開発・販売・リース。イオンチャネル標的薬理試験の受託
技術領域イオンチャネル定常発現細胞、細胞の生死を指標とするハイスループットスクリーニング、電気生理学的薬理試験
連携名古屋市立大学。シミックファーマサイエンス株式会社(業務提携・2014年1月)。ソフィオンバイオサイエンス株式会社(業務提携・2016年4月)。フナコシ株式会社(販売契約・2018年12月)
URLhttps://www.channelosearch.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

薬の効き目を調べるには、細胞の電気の変化を精密に測るのが王道とされてきました。チャネロサーチテクノロジーは、その判定を「細胞が生き残るかどうか」という分かりやすい指標に置き換えています。測り方を変えることで、試せる化合物の数を増やそうとする発想が印象に残りました。

もう一つの柱である試験用の細胞は、他社の創薬研究を下支えする道具です。新薬の安全性を確かめる企業としては、人の肝細胞を持つマウスで肝毒性の予測を支えるフェニックスバイオもあり、創薬を支える技術の層の厚さを感じます。大学の研究室で生まれた選別法から、どのような新薬の候補が見つかるのか、引き続き注目していきたいと思います。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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