DeepForest Technologies株式会社はドローンの写真から樹木を1本ずつ解析する京都大学発の企業

DeepForest Technologies株式会社(ディープフォレストテクノロジーズ)

DeepForest「ドローン森林解析」を研究|研究領域=ドローンの写真で・樹木を1本ずつ識別/強み=市販ドローンで・樹種まで判別/将来性=J-クレジットや・海外の植林地へ

企業紹介|DeepForest Technologies株式会社とは?

ドローンで撮影した森林の写真から、樹木の種類や大きさを1本ずつ把握する技術として、注目を集める「ドローン森林解析」。DeepForest Technologies株式会社は、その社会実装を目指す、京都大学発の環境系ディープテック企業です。森林解析ソフト「DF Scanner」などを、森林の管理や調査の現場へ提供しています。

キーワード「ドローン森林解析」

「ドローン森林解析」は、ドローンで撮影した森林の画像から、樹木を1本ずつ見分けて調べる解析技術です。特徴は、樹冠(上から見た木の枝葉の広がり)の画像で樹種を、写真やレーザーの計測から作る表面と地面の高さの差で樹高を、1本ごとにまとめて推定できる点にあります。森林管理者は、人が森に入って1本ずつ測る調査の手間を減らせます。

市場課題|森林資源の把握に人手と費用がかかる

現状の森林調査の課題|現状は、人手の調査か高価な機材が要り森林の把握が難しい|林業の担い手が・減り調査が負担に/専用センサーは・高価で導入が困難

担い手が減り現地調査の負担増

森林調査の中心は、人が森に入って樹木を1本ずつ測る毎木調査(樹種や幹の太さを記録する調査)で、広い森林ほど多くの調査員と日数を要します。森林を管理する林業従事者は長期的に減少傾向にあり、2020年には約4.4万人で、そのうち65歳以上の割合は約25%です。担い手の減少と高齢化がこのまま進むと、森林の状態を把握しきれなくなる恐れがあります。

専用センサーは高価で導入が困難

樹種の判別に向く航空機搭載センサーやハイパースペクトルセンサー(光を波長ごとに細かく測るセンサー)は、機材の費用が高額です。こうした専用センサーを使う方法は、調査に費用をかけにくい小規模な森林管理者には不向きとされます。このままでは、小規模な森林管理者が樹種まで調べた情報を得にくい状態が続きます。

他にも、森林由来J-クレジット(森林が吸収したCO2の量を、国がクレジットとして認証する制度)の複雑な算定、危険木の把握、苗木の生育確認、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 毎木調査調査する区画の中にある樹木を1本ずつ調べ、樹種や幹の太さ、樹高を記録する調査を指す。森林の資源量を把握する基本の方法だが、調査員が森に入って測るため、広い森林ほど多くの人員と日数を要する。

DeepForestの強み|「ドローン森林解析」を開発

DeepForestが「ドローン森林解析」を開発|今後は、市販ドローンで森林の把握が可能に|森に入る調査を・AIの解析で削減/市販ドローンの・写真で樹種を判別

写真から樹木を1本ずつ自動解析

毎木調査では、調査員が樹木を1本ずつ測って記録するため、調べられる範囲が人数と日数で限られます。

同社のソフト「DF Scanner」は、ドローンの写真と、表面と地面の高さの差から樹頂点(樹木の最も高い点)を検出し、樹冠を1本ずつ切り分けます。切り分けた樹冠の画像から、深層学習(画像の特徴を自動で学ぶAIの手法)で樹種を判定します。樹高と樹冠の大きさから胸高直径(胸の高さで測る幹の直径)を推定し、CO2固定量(木が蓄えたCO2の量)まで1本ごとに求める仕組みです。レーザー計測にも対応し、枯死木の検出も可能です。人が森に入る範囲を減らせるため、少ない人員で広い森林を把握しやすくなります。

市販ドローンの写真で樹種を判別

従来の研究では、樹種を見分けるために、光を波長ごとに測る高価な専用センサーが多く使われてきました。

同社の技術が使うのは、市販ドローンのRGBカメラ(赤・緑・青の3色で撮る一般的なカメラ)で撮った写真です。写真から作る3次元モデルと、そのモデルの表面から求めた傾き(樹冠の境目をはっきりさせるための値)もあわせて使い、樹冠を1本ずつ切り分けて樹種を判定します。AIが判定の手がかりにしているのは、樹冠の形と葉の濃淡の差です。高価な専用センサーをそろえなくても、スギやヒノキなど対応する樹種を見分けられるため、小規模な森林管理者も森林の解析を導入できるようになります。

FrontJournalの解説
  • 深層学習脳の神経回路をまねた何層もの計算の仕組みを使い、大量の画像から判定に役立つ特徴を自動で学ぶAIの手法を指す。人が見分ける条件を細かく決めなくても、樹冠の形や色の違いから樹種を判定できる。

ドローン森林解析の未来|J-クレジットや鉄道林、海外の植林への応用

AIを使うドローン森林解析が変える未来|森林調査の効率化が、鉄道林や海外へ広がる|J-クレジットの・調査を効率化/線路沿いの・危険な木を把握/海外の植林地の・管理を目指す

J-クレジットの調査を効率化

同社の技術は、J-クレジットの創出に向けて、現地調査の負担を減らして森林をモニタリングする用途に使われています。2023年10月にはGreen Carbon株式会社と業務提携を結び、DeepForestがレーザーを積んだドローンでの計測とAIによる解析を担っています。提携の当初の対象は、和歌山地区の約500haです。2024年7月には、J-クレジットの量を概算できる「J-クレジットシミュレーションツール」も公開しています。

鉄道林の管理へ用途を拡大

線路沿いに広がる鉄道林(線路を雪や風などから守る森林)の管理へも、同社は解析の用途を広げています。2025年9月には、JR西日本と枯死木や危険木を検出するデモを行いました。2026年7月には、JR東日本スタートアップの「STARTUP ON DEMAND #5」で、鉄道林の管理をテーマとする募集に採択されています。いずれも、枯死木など危険な木を把握し、鉄道林の維持管理を効率化する取り組みです。

海外の植林地の管理を目指す

海外の植林地の管理にも、同社は技術を広げることを目指しています。モンゴルでは、政府が進める10億本の植林を背景に、同社が植えた木のモニタリングを実証しています。フィリピンのバナコン島では、2024年4月から2025年6月にかけて、約253haのマングローブ植林地炭素蓄積量(樹木が蓄えた炭素の量)を調べました。2026年5月にはタイのカセサート大学とMoU(協力の覚書)を結び、共同研究と人材育成を進めます。

会社概要|DeepForestの事業内容と設立背景

京都大学の森林研究から創業

DeepForest Technologies株式会社は、代表取締役の大西信徳氏が京都大学の在学中に開発した、ドローンの画像からAIで樹木を識別する技術をもとに、2022年3月30日に設立されました。大西氏は京都大学農学部森林科学科から同大学院農学研究科へ進み、2022年に博士の学位を取得しています。創業後も京都大学と共同で、点群(レーザーが当たった位置を示す点の集まり)を解析するソフト「DF LAT」を開発しています。

京都市の認定と企業との契約

同社は2024年3月、京都市ベンチャー企業目利き委員会(京都市が設けた、ベンチャー企業を認定する委員会)でAランク認定を受けました。2025年8月には、令和7年度「京都エコノミック・ガーデニング支援強化事業」に採択されています。2026年7月には、ドローンなどを扱う株式会社セキドとの間で、DeepForestがセキドからドローンを購入する売買基本契約を結びました。あわせて、ドローンと自社のソフトをセットで提供する販売協力も発表しています。

シリーズAで約2億円を調達

同社は2024年6月、シリーズA(製品の販売を広げ、事業を本格的に伸ばす段階の調達)の第三者割当増資(特定の相手に新株を引き受けてもらう資金調達の方法)で、総額約2億円を調達しました。リード投資家(中心となって出資する投資家)は、ベンチャーキャピタルの株式会社環境エネルギー投資です。シリーズAの資金は、森林解析ソフトとカーボンクレジットの事業の国内拡大と海外展開などに充てる計画です。

会社情報

会社名DeepForest Technologies株式会社
所在地京都府京都市下京区四条通柳馬場西入立売中之町99 四条SETビル6階(2024年10月までは京都大学国際科学イノベーション棟)
設立2022年3月30日
代表代表取締役 大西信徳
資本金1億円(2024年6月時点)
調達2022年12月:シード 総額4,500万円(J-KISS型新株予約権)。2024年6月:シリーズA 総額約2億円(第三者割当増資。リード投資家=環境エネルギー投資)
事業森林解析ソフト「DF Scanner」。点群解析ソフト「DF LAT」(京都大学と共同開発)。「DF BIRD」。「DF Walker」。J-クレジットシミュレーションツール等
技術領域ドローン画像と深層学習による樹種識別。論文:Scientific Reports(2021年1月)
連携Green Carbon(2023年10月・業務提携)。JR西日本(2025年9月・検出デモ)。カセサート大学(2026年5月・MoU)。セキド(2026年7月・ドローンの売買基本契約と販売協力)
採択京都市ベンチャー企業目利き委員会 Aランク認定(2024年3月)。令和7年度 京都エコノミック・ガーデニング支援強化事業(2025年8月)。JR東日本スタートアップ「STARTUP ON DEMAND #5」(2026年7月)
URLhttps://deepforest-tech.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

森林の調査は、長く人が1本ずつ測ることで支えられてきました。DeepForestは、その調査の負担をドローンとAIの解析で減らそうとしている企業です。市販のドローンの写真で、スギやヒノキなど対応する樹種を見分けられる点は、小規模な森林管理者にとって大きな意味を持ちます。

注目したいのは、樹木1本ずつの情報を、森林調査の外の用途へつなげている点です。樹木を測る技術が、森林が吸収したCO2の量をJ-クレジットとして示す仕組みや、鉄道林の維持管理へ広がりつつあります。同社の技術が、森林の管理をどう変えていくのかを見守ります。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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