XELA Robotics「3軸触覚センサー」を開発|ロボットの指先に触覚を与えるイラスト

XELA Robotics株式会社(ゼラロボティクス)

XELA Robotics「3軸触覚センサー」を開発|研究領域=ロボットの指先で・力を測る/強み=1点ごとに・3軸の力を測定/将来性=触覚で・自動化を目指す

企業紹介|XELA Robotics株式会社とは?

つかんだ物体にかかる力を、ロボットの指先で3軸に分けて読み取る技術として、注目を集める「3軸触覚センサー」。XELA Robotics株式会社は、その社会実装を目指す、早稲田大学発のロボティクス系ディープテック企業です。3軸触覚センサー「uSkin」と、触覚データを扱うソフトウェア「uAi」を、ロボットを開発する企業や研究機関へ提供しています。

キーワード「3軸触覚センサー」

「3軸触覚センサー」は、押す力に加えて、表面に沿ってずらす力(せん断力)も同時に測る触覚センサーです。特徴は、1つの測定点が垂直方向の力と、表面に沿った2方向の力の計3軸を捉え、物体の重さの測定や滑りの兆しの把握につなげられる点にあります。同社は、製造、物流、農業などの現場での自動化を、用途に挙げています。

市場課題|ロボットはつかんだ後の状態を視覚で捉えにくく、触覚センサーの導入にも壁がある

現状のロボットの課題|現状は、視覚の限界と導入の壁で自動化が進みにくい|滑りは・視覚で捉えにくい/配線と保守性が・導入の壁になる

滑りは視覚で捉えにくい

ロボットの組立や仕分けでは、物体を把持(つかんで保持すること)した後の滑りや圧力を、視覚だけでは捉えにくい点が課題です。部品が滑る瞬間や、壊れやすい表面への圧力はカメラの映像に現れにくく、閉じたグリッパー(ロボットの手先で物をつかむ装置)の内側も見えません。人の手作業が多く残る部品の差し込みや仕分けは、このままでは自動化が進みにくい状況です。

配線と保守性が導入の壁になる

触覚センサーを産業用ロボットに載せるには、配線の少なさと保守のしやすさが欠かせません。むき出しの配線は故障の原因になり、グリッパーには、繰り返しの把持に耐える堅牢さと、外層だけを交換できる構造が求められます。これらを両立できないセンサーは、工場への導入が進みにくい状況です。

他にも、手のひらまで覆う形状、個体差をそろえる校正、温度変化や周囲の磁場による測定値のずれ、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • グリッパーロボットの先端に取り付け、物体をつかんで保持する装置である。指の数や形はさまざまで、物体を挟む力の加減が作業の成否に関わる。触覚センサーは、この装置の内側で接触の状態を捉えるために使う。

XELA Roboticsの強み|「3軸触覚センサー」を開発

XELA Roboticsが「3軸触覚センサー」を開発|現在は、3軸の測定で触覚データを提供|1点ごとに・3軸の力を測定/細い配線と・外層の交換

1点ごとに3軸の力を測定

垂直に押す力だけを測る触覚センサーでは、せん断力が分からず、物体の重さや滑りの兆しを読み取りにくくなります。

同社の「uSkin」は、エラストマー(ゴム状の弾性素材)に磁石を埋め込み、磁場の変化を磁気センサー(磁場を捉える素子)で読み取る方式です。各測定点は3軸の力を測り、1モジュールに最大64点が並びます。各測定点が見分けられる力の違いは最小0.1グラム重(1グラム重は、1グラムの物体にかかる重力)で、垂直力の測定上限は1,500グラム重です。せん断力を測定できるため、ロボットは持ち上げた物体の重さを読み取れ、滑りの兆しを捉える手がかりも得られます。この測定値をもとに、つかむ力の加減を調整できます。

細い配線と外層の交換

測定点が増えるほど配線の本数も増え、指先の中に収まりにくくなります。

「uSkin」のセンサーモジュールは、デジタル信号を出力するため、大型のアナログ・デジタル変換器(測定値をデジタル化する部品)が要らず、数本の細いケーブルで測定値を集められます。測定は最大で毎秒500回、モジュールの厚さは最薄で約4ミリメートルです。各測定点が耐える力は、測定上限を超えて最大3,000グラム重です。エラストマーの柔らかさにより、つかむ物体の形にもなじみます。保護型の「uSPr」は外層だけを交換できるため、センサー全体を取り替えず、交換の手間と費用を抑えられるようになります。

FrontJournalの解説
  • せん断力物体の表面に沿って、横方向にずらすように働く力である。垂直に押す力と区別して測ると、物体が指先で滑り始める兆しや、持ち上げた物体の重さを測定できる。

3軸触覚センサーの未来|触覚データでロボットの自動化を目指す

3軸触覚センサーが変える未来|繊細な作業をロボットが担う姿を目指す|ハンドとグリッパーに・実装/小型化と・新機能を予定/触覚による・自動化を目指す

ハンドとグリッパーに実装

同社は、複数のロボットハンドやグリッパーに「uSkin」を実装しています。2025年12月に、人の手と同じ大きさの5本指ロボットハンド「Tesollo DG-5F」への統合を発表し、各指先に12個の測定点を持つ統合モデルを同年第4四半期に出荷しました。ほかの実装先は、Wonik Robotics、Sake Robotics、Weiss Robotics、Robotiqの製品です。顧客は、すでに所有しているこれらのハードウェアにも、触覚の機能を組み込めます。

小型化と新機能を予定

2026年のロードマップには、センサーの小型化、高速化、スマート化が含まれます。その一例が、測定点の大きさを約4ミリ角から2.5ミリ角へ縮める小型センサーです。この小型センサーは、測定点を細かく並べられる設計で、触れた物体の様子をより高い密度で測ることを目指しています。ソフトウェア「uAi」には、力を設定してつかむ制御がすでにあり、滑りの検知は今後追加される予定です。

触覚による自動化を目指す

製造や物流、農業の現場で、触覚を持つロボットが働く姿を、同社は目指しています。力の測定や位置ずれの補正、重さや硬さに応じた力の調整、傷つけにくい扱いは、視覚では難しい力の調整を触覚で補う使い方です。こうした使い方が広がれば、人の手作業が多く残る繊細な作業を、ロボットが担えるようになるといわれています。

会社概要|2018年設立の早稲田大学発企業XELA Robotics

早稲田大学の研究から事業化

XELA Robotics株式会社は、2018年8月に、早稲田大学発の企業として東京で設立されました。創業者は、代表取締役社長のアレクサンダー・シュミッツ博士、CTO(最高技術責任者)のティト・プラドノ・トモ博士、CPO(最高製品責任者)のソムロア・ソフォン博士で、シュミッツ博士はかつて早稲田大学で准教授を務めていました。ティト博士は博士課程で「uSkin」の開発に取り組み、ソムロア博士は菅野研究室で博士号を取得しています。役員には橋本周司氏(同大学名誉教授)、顧問には菅野重樹氏(同大学教授)が名を連ねます。

ピッチ入賞と協会加盟

同社は、2019年のモノづくりハードウェアカップのスタートアップ・ピッチ(事業計画の発表会)で3位に入りました。2026年9月には、一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)に育成会員として加盟しました。AIRoAは、AIとロボット技術の融合で、実世界で活躍するロボットの研究開発と社会実装を推進する団体です。

既存投資家から追加出資

既存投資家のFSR Angel 1 LPSから、2026年5月に追加出資を受けました。FSR Angel 1 LPSはロジャーズ・インベストメント・アドバイザーズが運営するファンドで、2024年11月に米ドルで7桁の規模の出資を発表しています。この追加出資による資金は、北米、欧州、日本での事業拡大と、特定のロボットに依存しないプラットフォームの機能強化に充てる方針です。

会社情報

会社名XELA Robotics株式会社
所在地東京都新宿区矢来町65番地3 NSKK神楽坂3階
設立2018年8月
代表代表取締役社長 アレクサンダー・シュミッツ。共同創業者 ティト・プラドノ・トモ(CTO)、ソムロア・ソフォン(CPO)
調達FSR Angel 1 LPS(運営はロジャーズ・インベストメント・アドバイザーズ)から米ドルで7桁の規模の出資(2024年11月)。追加出資(2026年5月)
事業3軸触覚センサー「uSkin」の開発と提供、触覚データソフトウェア「uAi」の提供、センサーのカスタマイズとロボットハンド・グリッパーへの実装
技術領域ロボティクス(触覚センシング)
連携早稲田大学(スピンアウト元)。実装先はWonik Robotics、Sake Robotics、Weiss Robotics、Robotiq、Tesollo。一般社団法人AIロボット協会(育成会員・2026年9月)
採択モノづくりハードウェアカップ2019 スタートアップ・ピッチ 3位
URLhttps://xelarobotics.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

XELA Roboticsの「uSkin」は、ロボットの指先に載せて、触れた力の向きまで測るセンサーです。つかむ力の加減を、測定したデータで調整する土台になります。同じ触覚センサーの分野では、押す力と横にずれる力を同時に測る超小型のセンサーを、新潟大学・立命館大学発のCon-Tact株式会社も研究しています。

同社の特徴は、センサー単体にとどまらず、既存のロボットハンドやグリッパーへの実装まで手がける点です。単なる部品の供給でなく、特定のロボットに依存しない基盤を目指す姿勢が伝わってきます。同社は、その機能強化に資金を充てる方針も示しています。

触覚を持つロボットが、重さや滑りを感じ取りながら繊細な作業を担う日を楽しみに待ちたいと思います。早稲田大学から生まれたほかの企業は、早稲田大学発スタートアップ10選で紹介しています。

FrontJournal編集部

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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