SaaS営業からDeepTech企業へ転職 職務経歴書の書き方と例文

SaaS営業からDeepTech企業へ転職|書類で差がつく職務経歴書の書き方と例文

「SaaS営業として5年以上のキャリアを積んできたのに、DeepTech企業の書類選考が通らない」——転職支援の現場でそんな悩みを聞くことがあります。

書類が通らない原因のほとんどは、営業力や実績の問題ではありません。SaaS企業で通用する職務経歴書の書き方を、そのままDeepTech企業に提出してしまっていることが、原因であることも多いです。「達成率130%」「ARR1.2億円」という数字を前面に出した職務経歴書は、SaaS企業のHRには刺さりますが、DeepTech企業の代表やCTOには響きにくいことが多いです。

DeepTech企業の代表やCTO(技術責任者)など、採用を直接担う経営陣は「この人はうちの技術の何が面白いと思っているのか」「前例のないプロダクトをどう市場に届けようとしているのか」という視点で職務経歴書を読みます。評価軸が根本から違うため、書き方を変えないと書類は通りません。この記事では、SaaS営業経験者がDeepTech企業の書類選考を通過するための具体的な書き方を、例文・NGパターンとともに解説します。

DeepTechの経営陣は何を見ている?

DeepTechの経営陣が職務経歴書で見る3つのポイント

DeepTech企業の代表やCTOなど、採用を直接担う経営陣が職務経歴書で確認しているのは、主に次の3点です。

  • 技術・ミッションへの理解があるか:DeepTech企業の代表や研究者出身の経営陣は「この人は自社の技術の何が面白いと思っているのか」をまず確認します。技術の深い理解は不要ですが「なぜこの技術が社会を変えうるのか」という自分の言葉での解釈が書かれているかどうかを見ています。
  • 前例のない課題に向き合った経験があるか:DeepTechのプロダクトはSaaSと異なり、顧客自身が課題を言語化できていないことが多く、競合他社との比較もできないケースがあります。そのため「型のない営業状況でどう仮説を立て、どう顧客を動かしたか」という課題設定力・仮説検証の経験を確認します。
  • 不確実性のある環境で成果を出した経験があるか:SaaSは成熟したプロダクトと確立された営業プロセスがある環境です。DeepTech企業では「まだ市場が存在しない」「顧客が受け入れるかわからない」という不確実性の中で動いた経験が重視されます。新規事業・新規市場・ゼロから立ち上げた経験があれば積極的に書いてください。
lightbulb採用を担う経営陣の視点

DeepTech企業の代表やCTOがビジネス人材に求めているのは「売ってくれる人」ではなく「自分たちが解決しようとしている社会課題を一緒に信じてくれる人」です。SaaS営業出身者がDeepTechで活躍している例は実際にありますが、書類で落ちるパターンの多くは技術理解の不足ではなく「ビジョンや社会課題への共感が伝わらない」ことです。「なぜこの技術が解決しようとしている社会課題に共鳴したのか」「その上で自分のSaaS営業経験をどう使えると考えているのか」が伝わる書き方をしている方が響きやすいです。

書類が通らない人に共通する3つのパターン

パターン①:達成率・ARRの数字だけを書いている

「目標達成率132%・担当ARR1.5億円」という記述はSaaS企業の採用担当には刺さりますが、DeepTech企業の代表やCTOには響きにくい書き方です。理由は「どんな型のある市場で、どれだけ売ったか」という情報しか伝わらないためです。

DeepTech企業が聞きたいのは「なぜその顧客が買ったのか」「どんな課題をどう設定して、どう動いたのか」という思考プロセスです。数字の実績はあってよいですが、「主な取り組み」ブロックに課題設定・仮説・行動のプロセスを書くことが書類通過の鍵になります。

パターン②:プロダクトの機能を売った話しか書いていない

SaaSの営業経験でよく書かれるのは「デモを通じて機能の優位性を訴求し受注」という型の話です。DeepTech企業のプロダクトは機能比較で勝てる競合がいないケースも多く、代表やCTOは「顧客の課題を構造的に理解して、なぜこの技術が解決策になるかを説明できた経験があるか」を求めています。

SaaS営業でも「顧客の業務フローを把握した上で課題を整理し、提案を組み立てた」経験は必ずあるはずです。機能の説明ではなく、顧客の課題構造から入った提案プロセスを書くことで、DeepTech文脈での評価につながります。

パターン③:ミッション適合の言語化がない

DeepTech企業への転職を志望する理由が「成長性・裁量・チャレンジ」といった一般的な転職理由になっている職務経歴書は多いです。代表が採用面接で最初に確認するのは「なぜうちの会社なのか・うちの技術のどこに興味があるのか」です。

自己PR欄に「この企業の技術領域・ミッションのどこに共鳴しているか」を一文入れるだけで、書類の読まれ方が変わります。技術理解を深めた上で「自分がこの技術の社会実装にどう貢献できるか」を書くことが最低限必要です。

warning「技術的なことは書けない」という方へ

専門的な技術の原理を深く理解している必要はありません。「この技術が解決しようとしている社会課題が何か」「なぜその課題の解決に既存のアプローチでは限界があるのか」という構造的な理解を自分の言葉で書ければ十分です。

書き方のポイント|SaaS営業経験×DeepTech文脈での伝え方

「何をしたか」から「どう考えて動いたか」への書き方の転換

ポイント①:「課題設定→仮説→検証→成果」のプロセスを書く

DeepTechの代表やCTOが見たいのは、営業結果に至るまでの思考プロセスです。「主な取り組み」ブロックを「何をしたか」の箇条書きではなく、「どんな課題を特定し・どんな仮説を立て・どう検証して・どんな成果が出たか」のプロセスとして書き直してください。これがDeepTech採用文脈で最も評価される書き方の転換点です。

一般企業向けの書き方DeepTech向けの書き方
顧客ヒアリングを通じて課題を把握し、機能提案を実施顧客の業務フローを3回のヒアリングで可視化し「○○工程の非効率」を課題として特定。既存ツールではカバーできない理由を構造化した上で提案を設計し、3ヶ月の評価期間を経て受注
テレアポ・商談・クロージングを担当。達成率135%を維持大手製造業のDX担当者は技術的懐疑心が高いという仮説を立て、初回商談を事例説明から技術的な質問への回答に変更。商談からPoC提案への転換率を18%から41%に改善
エンタープライズ案件の新規開拓を担当受注確度が高い顧客のパターンを過去受注データから分析し、業種・規模・担当者役職の3軸でターゲットを再定義。1件あたりの提案密度が上がり、受注単価を2.3倍に向上
前職での業界経験を「転職理由」として書くSaaS営業で担当していた業界(製造業・医療・研究機関・金融など)の知見・人脈を即戦力性の根拠として前面に出す。どの業界を担当してきたかが思った以上に評価の分岐点になる

ポイント②:ゼロから立ち上げた経験を前面に出す

DeepTech企業は「前例がない」状況での仕事が多いです。SaaS営業でも「新規事業ラインの立ち上げ」「新市場(業種・規模)への最初のアプローチ」「PoCや実証実験の営業」といった、型のない環境での経験があれば積極的に書いてください。これがDeepTech文脈に最も直結するSaaS営業経験です。

ポイント③:自己PR欄に「なぜDeepTechか・なぜこの会社か」を必ず入れる

自己PR欄の末尾に「この企業のどの技術・ミッションに共鳴しているか」「SaaS営業経験をどうDeepTechの文脈で活かすか」を書くことは必須です。代表が応募書類を読む際、自己PRの最後まで「なぜうちか」が書いていない職務経歴書は通過率が大きく下がります

warning「業界経験がないと不利なのか」という方へ

DeepTechの求人票では「対象業界の業務経験・知見・人脈」が必須または歓迎要件に入るケースが実際に多いです。ただし「業界経験ゼロ」は即アウトではありません。SaaS営業で製造業・医療・研究機関などを担当していた場合はそれを前面に出してください。担当業界がDeepTechの対象市場と重なっていない場合は、「業界を学ぶ姿勢」より「業界横断で通用する課題設定力・仮説検証のアプローチ」で勝負する書き方に切り替えてください。

SaaS営業ならではの悩みに答える

「技術的な知識がないのにDeepTech企業に応募していいのか」という悩み

応募して大丈夫です。DeepTech企業がビジネス人材に求めているのは技術の専門家ではなく「技術の価値を顧客に届ける人」です。ただし技術の機能説明ができるレベルとは別に「この技術が解決しようとしている課題の構造を理解している」ことは最低限必要です。

応募する前に企業のウェブサイト・論文・プレスリリース・代表インタビューを読み込み、「この技術がなぜ既存の解決策より優れているのか」を自分の言葉で説明できる状態にしてから職務経歴書を書いてください。技術的な正確さより「自分の言葉で理解しようとしている姿勢」が伝わります。

「達成率・ARRの数字はDeepTech企業に書いても意味がないのか」という悩み

書いても問題ありません。ただし「数字+思考プロセス」のセットでないと評価されにくいです。代表やCTOは「達成率135%という事実より、その達成率をどうやって実現したのかの思考プロセスのほうが気になる」という評価をします。実績の数字はそのまま書き、「主な取り組み」ブロックにプロセスを加える形で構成を変えてください。

例文

例①:SaaS営業経験3〜5年(20代後半〜30代前半)

HR系SaaS企業(社員約200名)のフィールドセールスチーム(8名)にて、中堅〜エンタープライズ企業向けの新規開拓営業を担当。自社SaaSの評価・採用管理ツールを月額30〜200万円規模の契約で提案。

【業務内容】
・月間60〜80件のアウトバウンドアプローチ(架電・メール・LinkedIn)
・Web会議・訪問による初回ヒアリング〜デモ〜提案〜クロージングを一気通貫で担当
・人事担当者〜役員クラスまでマルチステークホルダーへの提案
・PoCフェーズの設計・進行管理
・受注後のオンボーディング支援(カスタマーサクセスとの協働)

【実績】
・四半期達成率:入社2年目以降6四半期連続で120%以上を維持
・担当ARR:1年目0.4億円→3年目1.8億円(4.5倍成長)
・エンタープライズ新規受注(年契1,000万円以上):年間8件(チーム全体の約40%)
・担当顧客のチャーン率:0%(3年間)

【主な取り組み】
エンタープライズ案件で受注できる企業とできない企業の違いを分析したところ、採用部門だけでなく経営企画が課題と認識しているかどうかが受注の決め手になっているという仮説を立てた。初回ヒアリングの設計を機能説明から採用課題を経営課題として可視化するヒアリングに変更したところ、経営層を巻き込んだ商談への転換率が28%から52%に改善し、クロージングまでの平均期間が3.2ヶ月から1.9ヶ月に短縮した。

【自己PRでのアピールポイント】
SaaS営業を通じて顧客の課題を構造的に設定し、意思決定者を動かすスタイルを身につけてきた。DeepTech企業のプロダクトは顧客が課題を言語化できていないケースが多いと理解しており、むしろその文脈こそ自分のアプローチが最も活きると考えている。貴社の○○技術が解決する○○課題の構造を深く理解した上で、まだ市場になっていない顧客層に対してゼロから事業開発に貢献したいと考え転職を決断した。

例②:SaaS営業経験7〜10年(30代前半〜中盤)

製造業・研究機関向けSaaS企業(社員約400名)のエンタープライズ営業チームのシニアセールスとして、大手製造業・研究所向けの設備管理・実験データ管理SaaSを担当。年間契約3,000万〜2億円規模のエンタープライズ案件を5年間担当。

【業務内容】
・大手製造業・国立研究機関・大学向けの新規開拓〜既存深耕を一気通貫で担当
・研究者・設備担当者〜CTO・研究部門長クラスへの提案・折衝
・PoCの設計・技術的な質問への初期対応(エンジニアとの連携)
・アカウントプランの策定・四半期ごとのレビュー
・後輩営業2名のOJT指導・同行支援

【実績】
・担当ARR:入社4年目5,000万円→現在2.4億円(4.8倍成長・5年間)
・大手製造業エンタープライズ案件の受注:5年間で23件(最大案件:年額1.8億円)
・国立研究所・大学向けの新規開拓:5機関(研究機関向け事業の売上ゼロ→年間8,000万円に拡大)
・PoCから本受注への転換率:社内平均34%に対し自身は61%を維持

【主な取り組み】
研究者やエンジニアは機能の優劣より技術的な信頼性を重視して購買を判断するという仮説を立て、初回提案を機能デモではなく顧客の課題の構造化から始めるスタイルに変更した。提案書の冒頭を顧客の実験フローの中でどの工程が非効率化しているかの可視化に充てることで、担当者が自社の課題をきちんと理解されていると感じるきっかけを作った。研究機関向けの新規開拓では調達担当から入るのではなく、まず現場の研究者との関係を作った上で部門長に引き合わせてもらうアプローチを採用し、5機関全てで受注に成功した。

【自己PRでのアピールポイント】
製造業・研究機関という技術リテラシーが高い顧客に7年間向き合い、技術的な対話ができるセールスとして実績を積んできた。DeepTech企業が直面する研究者・技術者との共通言語を持ちながら、外部の顧客に技術の価値を届けるという課題に、自分のアプローチが最も直結すると考えている。次の会社では、まだ存在しない市場に対してゼロからビジネスを構築するフェーズから関わりたいと考えている。

例③:SaaS営業マネージャー経験あり(30代後半)

医療・ヘルスケア向けSaaS企業(社員約300名・シリーズB調達済み)の営業部長として、新規事業ラインの立ち上げと営業チーム8名のマネジメントを担当。医療機関・製薬企業向けの年額1,000万〜5,000万円規模のエンタープライズ契約を統括。

【業務内容】
・営業チーム8名の採用・育成・目標管理・週次進捗レビュー
・医療機関(大学病院・地域基幹病院)向け新規事業ラインの立ち上げ(ゼロ→1フェーズ)
・製薬企業のアライアンス営業・契約交渉(本部長・役員クラス)
・年間営業計画の策定・経営陣への報告
・PMF(プロダクトマーケットフィット)検証のための顧客ヒアリング設計・統括

【実績】
・医療機関向け新規事業ライン:立ち上げから18ヶ月でARR1.2億円を達成(社内初)
・チーム全体のARR:就任時2.8億円→2年後5.6億円(200%成長)
・製薬企業との大型アライアンス締結:2件(年額各3,500万円・4,200万円)
・採用・育成を主導し2年間でチームを4名から8名に拡大、離職ゼロを維持

【主な取り組み】
医療機関向けの新規事業ラインでは、医師や研究者の購買意思決定のプロセスが既存のエンタープライズ営業とは大きく異なることを前提に設計を始めた。機能提案から稟議という一般的な流れが機能しにくいと判断し、現場の医師や研究者が自発的に使い始め、部門全体での採用に広がり、最終的に病院や研究機関全体での契約につながるボトムアップのアプローチを設計した。代表・CTOとの月次の議論の中で仮説検証を繰り返しながら設計を構築し、立ち上げから18ヶ月でARR1.2億円という社内初の実績につながった。

【自己PRでのアピールポイント】
医療・ヘルスケアという規制と技術が複雑に絡み合う市場で、ゼロから新規事業ラインを立ち上げた経験がある。DeepTech企業が直面するまだ市場がない状態からPMFを検証し、最初の顧客を獲得するフェーズは、自分が最も力を発揮できる環境だと考えている。代表やCTOと議論を重ねながら、事業全体のビジネス設計に関与できる役割で貢献したい。

書き方ステップ

SaaS営業のための職務経歴書 作成6ステップ

① 応募先企業の技術・ミッションを読み込む

ウェブサイト・代表インタビュー・調達プレスリリース・論文の要旨を読み、「この技術がなぜ既存の解決策より優れているのか」を自分の言葉で説明できる状態にする。職務経歴書を書く前の必須ステップです。

② SaaS営業の実績を「課題設定→仮説→検証→成果」の形に整理する

これまでの成果を振り返り、「なぜその成果が出たか」の思考プロセスを書き出します。「何をした」ではなく「どう考えて動いたか」を一つのプロジェクトにつき3〜4文で整理します。

③ 前例のない・型のなかった経験を優先して選ぶ

新規市場・新規事業ライン・PoC案件・競合のいない商材を扱った経験を代表案件として前面に出します。SaaS営業でも既存プロダクトの横展開より、立ち上げフェーズの経験がDeepTech文脈では評価されやすいです。

④ 技術系顧客・研究者・専門家への提案経験があれば必ず書く

製造業・医療・研究機関・大学・官公庁などへの営業経験は、DeepTech採用において差別化ポイントになります。「技術リテラシーが高い相手に、どう課題を構造化して提案したか」を書き出してください。

⑤ 自己PR欄に「なぜDeepTechか・なぜこの会社か」を入れる

一般的な転職理由(成長・裁量・チャレンジ)ではなく、企業固有の技術・ミッションへの共鳴と、SaaS営業経験をどう活かすかを接続する一文を必ず書きます。

⑥ 書式・枚数を確認する

A4で2〜3枚にまとめてください。スキルシートは別添で1枚が基本です。DeepTechスタートアップは採用を代表やCTOが直接担うことが多く、長い書類は読まれにくくなります。

NG例→改善例|通らない書き方の直し方

失敗①:達成率と数字しか書いていない

closeNG

四半期達成率130%を2年間維持。担当ARRを0.8億円から2.1億円に拡大。新規受注件数:年間32件。

check_circle改善後

【実績】
・四半期達成率130%を8四半期連続で維持
・担当ARR:0.8億円→2.1億円(2年間)

【主な取り組み】
受注できる顧客とできない顧客の違いを分析し、意思決定者が技術的な疑問を持っているかどうかが分岐点と特定。エンジニアを同席させずに技術的な質問に自分で回答できる準備を徹底した結果、商談から提案フェーズへの転換率が31%から58%に改善した。

失敗②:機能説明・提案スタイルしか書いていない

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顧客ヒアリングで課題を把握し、プロダクトの機能訴求で差別化した提案を行いました。デモを通じて使いやすさをアピールし、競合比較において優位性を確立しました。

check_circle改善後

競合との機能比較で勝てないケースが多いことに気づき、提案設計をヒアリング重視に変更した。最初の30分を顧客の業務フローの可視化に充て、課題を言語化できていない状態を解消することを最優先とした結果、他社との比較なしでの意思決定が全受注案件の約65%に達した。

失敗③:ミッション適合の言語化がない

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SaaS企業での営業経験を活かして、さらに挑戦的な環境で成長したいと思っています。DeepTech分野に強い関心を持っており、貢献できると確信しています。

check_circle改善後

貴社の代表○○氏のインタビューで既存の医薬品開発プロセスではカバーできない課題領域を扱えるという説明を読み、この技術が製薬会社の研究担当者にどう届けられるかに強い関心を持った。技術系顧客への提案経験を持つセールスとして、ゼロから市場を作るフェーズから関わりたいと考え転職を決断した。

失敗④:「型のある」経験しか書いていない

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既存の営業プロセス(MEDDIC)に従い、エンタープライズ案件のパイプライン管理を行いました。テレアポからクロージングまでの標準フローを習得し、安定した受注を継続してきました。

check_circle改善後

医療機関向け新規事業ラインの立ち上げで、既存の営業プロセスが機能しないと判断し標準フローを捨てる決断をした。医師・研究者の意思決定プロセスをヒアリングで可視化した上でボトムアップ型の拡大モデルを設計・実行し、18ヶ月でARR1.2億円を達成した。

キャリアステージ別アドバイス

経験3〜5年(プレイヤーフェーズ)

DeepTech企業の初期フェーズでは「自分でゼロから動ける」プレイヤーが求められます。チームを管理した経験がなくても、「自分が考えて自分で動いた」経験を1〜2件、思考プロセスつきで書くことが最も重要です。また、技術的な興味・学習への姿勢(業界勉強・論文読み・技術系コミュニティへの参加)を書いておくと、代表やCTOと一緒に働けそうな人という印象につながります。

ただし、SaaS営業の「四半期達成サイクル」に慣れた方には正直に伝えておきたいことがあります。DeepTechのプロダクトは「すぐ売れる状態」にないことが多く、PoCや実証実験が数ヶ月〜1年以上続くケースも珍しくありません。DeepTechへの転職で活躍しにくいのは、技術を知らない人ではなく、短期間での成果が出ない状況にフラストレーションを感じやすい人です。自己PR欄に「なぜ長期的な視点でこの技術・ミッションに関わりたいのか」を書けるかどうかが、採用を担う経営陣にとって重要な判断材料になっています。

経験7〜10年(シニアプレイヤーフェーズ)

技術系顧客(製造業・医療・研究機関)への提案経験がある場合はそれを前面に出してください。DeepTech企業の顧客は技術リテラシーが高いケースが多く、その経験は直接的な差別化ポイントになります。また「PoCや実証実験の設計・推進経験」があれば必ず書きましょう。DeepTechのプロダクトはPoC〜本採用への転換がビジネスの最大のボトルネックであり、そこの経験は採用を担う経営陣の目を引きます。

lightbulb「技術系の顧客を担当したことがない」という方へ

SaaS営業で「新規プロダクトの最初の10社を獲得する経験」「まだ市場に認知されていない課題を顧客に言語化してもらう経験」「競合製品がない商材の提案経験」があれば、それはDeepTech文脈で代替できる経験です。「型のない状況での営業」という共通点で整理して書いてください。

マネージャー経験あり(チームリードフェーズ)

DeepTechの成長フェーズ(シリーズA〜B)では「ゼロから営業組織を作れる人材」への需要が高い傾向があります。「新規事業ラインの立ち上げ経験」「PoCから商用化への移行を設計した経験」「代表やCTOと議論しながら営業戦略を変えた経験」は積極的に書いてください。チームのヘッドカウントや予算規模だけでなく「どんな設計で組織を作ったか・なぜそう設計したか」のプロセスを書くことが、DeepTech採用文脈では評価の中心になります。

よくある質問

Q. SaaS営業の経験はDeepTech企業で評価されますか?

評価されます。ただし「どんな実績があるか」よりも「どんな思考プロセスで動いてきたか」のほうが採用を担う経営陣には重要です。SaaS営業で培った仮説検証・課題設定・技術系顧客への提案経験は、書き方次第でDeepTech採用に直結する評価軸です。

Q. 技術的な知識がなくても応募できますか?

募集要項によりますが、技術的な専門知識を必須としていないビジネス職のポジションであれば、深い技術知識がなくても応募できるケースが多いです。ただし応募する企業の技術・ミッションを自分の言葉で説明できる最低限の理解は必要です。代表インタビュー・プレスリリース・技術ブログを事前に読み込んでから書類を作成してください。

Q. 職務経歴書の適切な枚数は何枚ですか?

A4で2〜3枚が目安です。DeepTechスタートアップは採用を代表やCTOが直接担うことが多く、読む時間が限られます。実績の羅列より「1〜2つのプロジェクトを深く書く」構成にすることで、思考プロセスが伝わりやすくなります。

Q. どんなDeepTech企業が転職先として現実的ですか?

シリーズA以降の段階で、ビジネス職のポジションが公開されている企業が現実的な選択肢です。国内では医療・ヘルスケア、ロボティクス、材料科学、バイオテクノロジー領域のDeepTechスタートアップでビジネス人材の採用が活発になっています。

まとめ

  • DeepTechの採用を担う代表やCTOは「達成率」より「課題設定と思考プロセス」を見ている
  • SaaS営業の職務経歴書をそのまま出すことが書類通過率が低い原因であることも多い
  • 「実績の数字+課題設定→仮説→検証→成果のプロセス」をセットで書くことが最重要
  • 技術系顧客・PoCへの関与・ゼロから立ち上げた経験をDeepTech文脈での差別化ポイントとして前面に出す
  • 自己PR欄に「なぜDeepTechか・なぜこの会社か」の企業固有のミッション適合を必ず入れる
  • 「型のない状況での営業経験」がSaaS営業からDeepTechへの最大の接続点になる

SaaS営業で培った課題設定力・仮説検証のアプローチは、DeepTech企業が必要としているビジネス力です。書き方を変えるだけで、評価は変わります。まず「主な取り組み」ブロックを「何をしたか」から「どう考えて動いたか」に書き直すところから始めてみてください。

この記事の作者

ショクレキ代行

ショクレキでは、ヒアリングをもとに職務経歴書を一緒に作成するサービスを提供しています。「DeepTech企業への応募書類をどう書けばいいかわからない」「書類選考が通らない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

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