株式会社マップフォーは自動運転とインフラ点検を支える3次元地図を作成する名古屋大学発スタートアップ

株式会社マップフォー(MAP IV)

マップフォー|研究領域=道路や線路の形を点で記録する地図/強み=背負っても車載でも正確に位置を推定/将来性=鉄道や道路の点検、自動運転にも応用

企業紹介|株式会社マップフォーとは?

道路や線路の形を点の集まりとして記録し、点検にも自動運転にも使えるデータにする技術として、注目を集める「3次元地図」。株式会社マップフォーは、その「3次元地図」の社会実装を目指す、名古屋大学発のディープテック企業です。計測システム「SEAMS」と点群作成ソフトウェア「MAP IV Engine」を、測量や鉄道、自動運転の現場へ提供しています。

キーワード「3次元地図」

3次元地図」は、レーザーで測った無数の点の集まりとして、道路や建物の形を記録した地図です。特徴は、平面の地図では表せない高さと奥行きを、座標を持つ点の集まりとして扱える点にあります。道路の点検や自動運転では、この地図と車両のセンサーが捉えた形を突き合わせ、自車の位置を推定します。

市場課題|点検対象の増加と計測の制約

現状の3次元計測の課題|50年以上の施設が増加し点検の負担/計測は専用車両と夜間作業に依存(現状は、車両と夜間の制約で計測が限られる)

点検すべきインフラが急増

点検の対象となる社会インフラは、今後10年で大きく増加します。国土交通省の白書によると、建設後50年以上が経過する施設は、2033年3月に道路橋で約63%トンネルで約42%へ達する見込みです。一方、点検や測量の担い手は高齢化と若手の減少で細っているため、人手による確認は増加に追いつきにくくなります。

計測は専用車両と夜間に依存

現場を3次元で記録する作業には、専用の車両と限られた作業時間という制約が伴います。従来の計測は、レーザーとカメラを積んだ車両によるモービルマッピングシステム(MMS)が基本で、車両の手配と扱える人材が欠かせません。鉄道では線路内の点群の取得を夜間に行うため、計測の機会は限定的です。

負担は計測の現場だけに留まりません。他にも、取得後に点を人手で分類する手間、大容量データを扱える技術者の不足、現場ごとの機材費用、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 点群レーザー計測で得た多数の点の集まり。点の一つひとつが三次元の座標を持ち、面や線ではなく点の集合として形を記録するため、構造物の凹凸や寸法を後から測れる。

マップフォーの強み|独自のSLAM技術

マップフォーが「3次元地図」を開発|センサーを1台にまとめ背負って歩き計測/センサーの統合でトンネルでも計測

背負って歩いても計測できる

従来の計測は、機材を積んだ専用車両で走れる場所に限られ、屋内や階段のある場所では実施しにくいという弱点がありました。

マップフォーの「SEAMS」(Small, Easy and All-around Mapping System)は、点群の作成に必要なセンサーを1台にまとめた計測機です。ウェアラブル型の「SEAMS ME」と車載型の「SEAMS LX」があり、背負えば屋内や階段、車載なら市街地でも計測できます。搭載するのは、距離を測る3D LiDAR、衛星測位のGNSS(全球測位衛星システム)、傾きと加速度のIMU(慣性計測装置)、車速センサーです。専門知識がなくてもスマートフォンでSEAMSを操作できます。

特徴が乏しい地形でも計測

一般的なSLAMは、周囲の形を手がかりに自らの位置を推定します。そのため、特徴が少ない平原や、トンネル・階段のように似た形が続く場所では、推定の精度が落ちやすくなります。

MAP IV Engine」は、独自のSLAMアルゴリズムで3D LiDARの計測データを解析し、実世界の形状を3次元点群としてデータ化するソフトウェアです。同社はGNSS、IMU、車速センサーの情報を統合しており、こうした場所でも計測データと実世界の形状を正確に照合できます。作成した点群が準拠するのは、地図情報レベル250(水平位置の標準偏差0.12m以内)の精度です。誤差を補正するRTK-GNSS(相対測位方式の衛星測位)と組み合わせれば、公共測量にも活用できます。

FrontJournalの解説
  • SLAM移動しながらセンサーで周囲を測り、自分の位置の推定と地図の作成を同時に進める技術。事前の地図がない環境でも、移動体が自らの位置を把握しながら周囲の形を記録できる。

3次元地図の未来|点検から自動運転へ

高精度な3次元地図が変える未来|営業列車から線路の点群を取得/提携で道路のインフラ調査へ/業界を横断する空間知能を目指す

営業列車から線路を計測

鉄道の点検では、日中の営業列車から線路内の点群を取得できるようになりました。マップフォーはCalTaと共同で、車両を改造せずに機材を取り付ける器具を開発しました。これにより、CalTaが提供する点群取得サービス「CalTa M42」の適用範囲が、2025年11月に鉄道へ広がっています。取得した点群と写真は地図上に重ねて表示され、専門知識や高機能なパソコンは不要です。

道路インフラ調査へ展開

道路インフラの調査にも、3次元計測技術の適用が広がっています。マップフォーは2026年1月27日、建設コンサルタントの中央コンサルタンツと業務提携契約を締結しました。中央コンサルタンツが持つ道路の企画・調査・設計の知見と、マップフォーの3次元計測技術を組み合わせ、道路調査の効率化と高度化を進めます。この提携は、「事故ゼロ社会」に向けたインフラ側からの取り組みとされています。

産業横断の空間知能を目指す

マップフォーが目指すのは、「特定の業界に留まらず、様々な業界の現場にある課題を空間知能によって解決し続けること」です。空間知能は、実世界の3次元空間情報を認識する技術の総称です。同社はこの技術を、自動運転や測量、ロボティクスに加え、社会インフラや製造・物流、建設・土木の各分野へ提供しています。同社は開発から計測、データの提供、業務への組み込みまでを一貫して手がけ、扱える人が限られてきた3次元計測を、各業界が業務で使える技術にすることを目指します。

会社概要|マップフォーの事業内容と沿革

名古屋大学の研究から創業

株式会社マップフォーは、名古屋大学の研究成果を基盤に、2016年9月1日に名古屋市で設立されました。3次元地図と環境認識技術の社会実装を目的に創業した、名古屋大学発のスタートアップです。2020年10月には、「名古屋大学発学生ベンチャー」の称号を取得しています。2026年9月1日には創業10周年を機に経営体制を刷新し、代表取締役CEOに佐藤友哉が就任しています。佐藤氏は2017年6月に学生として同社へ加わり、位置推定とSLAMの開発に従事し、2026年1月からCTOを務めてきました。

測量と自動運転の企業と連携

マップフォーは、測量・地図・自動運転の各分野の企業と連携しています。株主に名を連ねるのは、アイサンテクノロジー、アジア航測、岡谷鋼機、ティアフォー、ゼンリンフューチャーパートナーズなどです。このうちティアフォーは、自動運転ソフトウェア「Autoware」を基盤とする企業です。マップフォーはそのグループの一員として事業を進めます。2025年11月にはCalTaと共同で、鉄道向けの点群取得の活用範囲を広げました。

開発から実装まで一貫提供

同社の事業は、ソフトウェアとハードウェアの提供に加え、計測やデータ作成の受託も含みます。製品は、計測システム「SEAMS」、点群作成ソフトウェア「MAP IV Engine」、点群クラス分類ソフトウェア「Mapfourmer」などです。「Mapfourmer」は、定義した分類にもとづき点群を仕分けるソフトウェアで、従来は手作業だった工程を担います。3次元地図データの計測・作成や、自動運転技術の導入・運用支援も手がけています。

会社情報

会社名株式会社マップフォー(MAP Ⅳ, Inc.)
所在地愛知県名古屋市中区錦二丁目8番1号 I-FOREST名古屋伏見5F。東京オフィス:東京都港区浜松町2-7-13 VISTA浜松町ビル5階
設立2016年9月1日
代表代表取締役CEO 佐藤 友哉(2026年9月1日就任)
事業高精度3次元地図データ作成に係る計測システム及びソフトウェアの提供。物体認識ソフトウェアの提供。位置推定ソフトウェアの提供。自動運転システムのインテグレーション
技術領域3次元地図、3次元点群作成、SLAM、自己位置推定、環境認識、空間知能
連携株主:アイサンテクノロジー株式会社/アジア航測株式会社/岡谷鋼機株式会社/株式会社ティアフォー/株式会社ゼンリンフューチャーパートナーズ。業務提携:中央コンサルタンツ株式会社(2026年1月27日)。共同開発:CalTa株式会社(2025年11月)
採択名古屋大学発学生ベンチャー称号(2020年10月1日)。総務省「地域社会DXナビ」で「SEAMS」の展示が紹介(2026年7月)
URLhttps://www.map4.jp

編集後記|FrontJournal編集部より

3次元地図は、これまで専用の計測車両と限られた作業時間の中で作成されてきました。マップフォーが取り組む「空間知能」は、その制約を計測機材とソフトウェアの両側から解く試みです。背負って歩ける計測システムと、形の手がかりが乏しい場所でも位置を推定し続けるSLAMは、測量の現場を身軽にする組み合わせだといえます。

同社の技術は、単なる地図の作成にとどまらず、現場の業務そのものを組み替える基盤になり得ます。夜間に限られていた線路の計測が、日中の営業列車で行えるようになった変化は、その一例です。計測の手間が下がるほど、点検の頻度と範囲は広げやすくなります。

創業10年の節目に経営体制を刷新した名古屋大学発の技術が、点検と自動運転の現場をどこまで変えていくのか。次の10年に期待が集まります。

フロントジャーナル編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

この企業の方へ

内容に誤り・更新が必要な点があれば、可能な限り速やかに修正します。お気づきの点はお問い合わせまでご連絡ください。

掲載情報の修正・写真の追加・更新はこちら

この企業について、
もっと深く知りたい方へ

パートナーシップ・お問い合わせはこちらから。