株式会社リモハブ|自宅と医療機関をクラウドでつなぐ遠隔心臓リハビリのシステムを開発する大阪大学発のディープテック企業

株式会社リモハブ(Remohab)

リモハブ「遠隔心臓リハビリ」を研究|研究領域=在宅の運動療法を医療機関が管理/強み=心電図を見て医療者が負荷を調節/将来性=通院の負担を減らし対象を広げる

企業紹介|リモハブとは?

心臓の病気からの回復を自宅で続ける方法として、実用化が進む「遠隔心臓リハビリ」。リモハブは、その「遠隔心臓リハビリ」の社会実装を目指す、大阪大学発のライフサイエンス系ディープテック企業です。解析ソフトウェア「リモハブ CR U」やウェアラブル心電計「リモハブ rhythm+」など、医療機関へ向けた製品を開発しています。

キーワード「遠隔心臓リハビリ」

「遠隔心臓リハビリ」は、心疾患の治療を受けた人が自宅で運動療法を続け、その様子を通信でつないだ医療機関が管理する仕組みです。特徴は、ウェアラブル心電計が測った心電図を医療者が運動の最中に確かめ、運動の強さを調節できる点にあります。退院した患者は、通院の予定を立てずに自宅の居間で運動療法を受けられます。

市場課題|心臓リハビリテーションが続けにくい

現状の心臓リハビリの課題|現状は、運動も管理も医療機関に限られる/週3回の通院が高齢の患者に重い/自宅の運動は状態を掴みにくい

週3回の通院が負担になる

心臓リハビリテーションは、効果が確かめられている一方で、退院した患者が受け続けにくい治療です。外来の運動療法は、1回1時間を週3回、150日ほどの期間にわたって続けるのが標準とされ、高齢の患者にとっては通院そのものが重い負担になります。急性心不全で初めて入院した患者で、退院後に外来の心臓リハビリへ参加したのは7.1%だったと報告されています。

自宅の運動は状態を掴みにくい

患者が自宅で運動する場合、医療者はその最中の心拍や不整脈を確かめることが難しくなります。心疾患の運動療法で欠かせないのは、脈の乱れを見て強さを決める判断です。医療者が安全を確かめられる範囲は限られ、運動の強さは低めになり、患者は回復に必要な強さに届きにくくなります。

他にも、医療機関に要る専用の運動施設と人員、通院時の交通手段や付き添いの確保、退院直後の運動への不安、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 心臓リハビリテーション心疾患の治療を受けた人が、運動療法や生活指導を通じて体力と生活の質を取り戻す医療プログラムを指す。再発や再入院を減らす効果が報告されている。

リモハブの強み|遠隔心臓リハビリ

リモハブが「遠隔心臓リハビリ」を開発|今後は、心電図の送信で在宅の管理が可能に/自宅と医療機関をクラウドで接続/運動の負荷を離れた場所から調節

自宅と医療機関をつなぐ

従来の心臓リハビリテーションは、運動の機器と監視の体制が医療機関に集まっており、通えなくなると監視のもとでの運動療法は途切れます。

リモハブシステム」は、患者の自宅と医療機関をクラウド経由でつなぐ仕組みです。患者は自宅に置いたサイクルエルゴメータ(ペダルの重さを数値で設定できる運動装置)「リモハブ cycle+」に乗り、ウェアラブル心電計「リモハブ rhythm+」を身に着けます。運動している最中の心電図は無線で送られ、医療機関側の画面に表示される流れです。医療者は専用のアプリを通して患者の様子を見ながら、通話で声をかけられます。

心電図を見て負荷を調節

従来の在宅での運動は、医療者がその場で心拍や不整脈を確かめにくいため、患者があらかじめ決められた強さで行うのが一般的でした。

リモハブ CR U」は、送られた心電図を解析し、離れた場所にいる医療者が運動の負荷を決めるための判断を支えるソフトウェアです。患者が運動している最中、このソフトウェアは心電図を絶え間なく受け取り、心拍数とともに医療機関側の画面へ波形として映し出します。血圧や本人が感じる運動のきつさは別途、手入力で登録され、医療者はこれらを心電図と重ねて確かめながら、音声と映像のやり取りで患者の様子を見守ります。「リモハブ CR U」はソフトウェア自体が審査対象となる医療機器プログラムにあたり、心疾患の患者を対象とする多施設共同の無作為化比較試験(患者を無作為に振り分けて比べる試験)を経て、2025年6月23日に製造販売承認(国が販売を認める手続き)を受けました。リハビリテーションを遠隔で支える医療機器プログラムとしては、国内で初めての承認といわれています。

FrontJournalの解説
  • 医療機器プログラムソフトウェア単体で医療機器として国の審査を受けるものを指す。装置ではなく計算の手順そのものが承認の対象になる。

遠隔心臓リハビリの未来|在宅医療への応用

在宅で続く遠隔心臓リハビリが変える未来|負担が減り、心臓リハビリが自宅へ広がる/心疾患の患者が自宅で運動療法/保険の適用を次の目標に/呼吸器や手術後へ対象を広げる

心疾患の患者へ適用

「遠隔心臓リハビリ」がまず届く相手は、心筋梗塞や心不全の治療を終えて自宅に戻った患者です。退院した後に外来で運動療法を続けた患者ほど、死亡と再入院のリスクが低かったと報告されていますが、在宅でも同じ効果が得られるかはこれから確かめられる段階です。同社の仕組みでは、患者が自宅でサイクルエルゴメータをこぐあいだ、医療者が心電図を見て運動の強さを決めます。通院の予定に合わせる必要がないため、仕事や介護と両立させやすくなります。

保険の適用が次の関門

同社が次に見据えるのは、保険の適用と製品の発売です。「リモハブ CR U」は製造販売承認を受けた段階で、公的医療保険の対象にはまだ収載されていません。収載されれば患者の自己負担が抑えられ、導入する医療機関の側でも費用の見通しを立てやすくなります。同社は2025年の承認の取得に続けて、保険適用と発売へ向けた準備を進めているとしています。

対象の広がりを目指す

リモハブが目指すのは、「遠隔での運動療法を心疾患以外の領域へも広げること」です。運動療法は、心疾患だけでなく、呼吸器の病気や手術後の体力の回復にも使われる方法です。離れた場所から体の情報を受け取り、運動の強さを決める枠組みそのものは、こうした場面にも応用しやすいとされています。同社は「世界のヘルスケアを前に進める」を掲げ、在宅で受けられる医療の幅を広げることを目指しています。

会社概要|株式会社リモハブの事業内容

大阪大学の臨床医が創業

リモハブを2017年3月に大阪で創業したのは、大阪大学大学院医学系研究科の循環器内科で診療にあたってきた谷口達典氏です。同氏は、医療機器の開発人材を育てる「ジャパン・バイオデザイン」(スタンフォード大学で始まった育成プログラムの日本版)の第1期に参加し、心臓リハビリテーションの継続率が低いという課題に着目しました。リモハブは同プログラムから生まれた最初の企業で、現在も同氏が代表取締役CEOを務めています。

エア・ウォーターの子会社に

開発は、事業会社との連携を通じて進んでいます。産業ガスと医療の事業を手がけるエア・ウォーターは、2022年3月にリモハブの発行済株式総数の63.2%を取得し、在宅医療の事業を広げる目的で子会社としました。2025年には、両社が「リモハブ CR U」の承認の取得を共同で公表しています。

累計約4億円を調達

資金面では、2020年4月の時点で創業からの累計が約4億円に達したと公表しています。同社は同年1月に、大阪大学ベンチャーキャピタルをリード投資家として約2億7,000万円第三者割当増資(特定の投資家へ新しい株式を割り当てて行う資金調達)を実施しました。同年4月にはGolden Asia Fund VenturesとSMBCベンチャーキャピタルからの約8,000万円を加え、この一連の増資を総額約3億5,000万円で終えています。調達した資金は、多施設での治験の費用と、医療機器システムの開発および改良に充てるとされています。

会社情報

会社名株式会社リモハブ(Remohab Inc.)
所在地大阪府大阪市淀川区西中島4丁目3-24 GATE TERRACE SHIN OSAKA 3F
設立2017年3月
代表谷口 達典(創業者・代表取締役CEO/大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
資本金1億円
調達累計 約4億円(2020年4月時点の公表値)。2020年1月に大阪大学ベンチャーキャピタルがリードした2.7億円の第三者割当増資。2020年4月にGolden Asia Fund Ventures およびSMBCベンチャーキャピタルから8千万円を追加し、総額3億5,000万円でラウンドを完了。2022年3月にエア・ウォーターが発行済株式総数の63.2%を取得
事業遠隔心臓リハビリのシステムの開発・製造・販売。医療機器プログラム「リモハブ CR U」(一般的名称 解析機能付き心臓運動負荷モニタリングシステム用プログラム。2025年6月23日承認・承認番号 30700BZX00131000)。ウェアラブル心電計「リモハブ rhythm+」。サイクルエルゴメータ「リモハブ cycle+」。第一種医療機器製造販売業(許可番号 27B1X00148)
技術領域遠隔心臓リハビリ、心臓リハビリテーション、医療機器プログラム、ウェアラブル心電計、遠隔モニタリング、運動療法
連携エア・ウォーター(親会社。「リモハブ CR U」の承認取得を共同で公表)。大阪大学医学部附属病院ほか多施設での治験(jRCT2052200064)
採択ジャパン・バイオデザイン 第1期プログラム発の第1号企業。ISMS認証(JIS Q 27001:2023)。プライバシーマーク
URLhttps://www.remohab.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

心疾患は、治療を終えたところで区切りがつくわけではありません。運動療法を続けられるかどうかが、その後の体力と暮らしを分けます。ところが、その続きを支える場所は医療機関の中だけに置かれてきました。

リモハブが取り組むのは、装置の性能を競うことではなく、医療者の目を患者の自宅まで届けることです。心電図という客観的な手がかりがあるからこそ、離れていても運動の強さを判断できます。離れた場所から様子を尋ねるだけでなく、治療そのものを自宅で成り立たせる点に価値があると考えます。

臨床の現場で課題を見つけた医師が、そのまま会社を興して承認まで届けた歩みに、これからの医療機器の作られ方が見えます。

フロントジャーナル編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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