2026.06.12科学技術振興機構(JST)

名古屋市立大学らが記憶の想起を左右する脳内ヒスタミン神経の仕組みを解明(FrontJournal解説)

ニュース紹介

「記憶が「ある」のに思い出せない仕組みを解明~脳内ヒスタミン神経のゆらぎが記憶へのアクセスを左右する~」

名古屋市立大学 大学院医学研究科 脳神経科学研究所の野村 洋 寄附講座教授らの研究グループは、北海道大学、熊本大学との共同研究で、この「記憶へのアクセスのゆらぎ」が、脳内ヒスタミン神経のゆっくりとした活動変動によって左右されることを明らかにしました。同じことを思い出そうとしても、すぐ思い出せることもあれば、なかなか思い出せないこともあります。

出典:科学技術振興機構(JST) 2026年6月12日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260612-2/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

この研究は脳科学・神経科学(脳の働きの仕組みを解き明かす学問)の分野です。私たちは覚えているはずのことを「思い出せない」経験をします。記憶そのものが消えたわけではなく、記憶を引き出す(想起する)過程に「ゆらぎ」があるためです。研究者は、このゆらぎが脳のどの仕組みで生じるのかを明らかにし、加齢や認知症による記憶機能の変化の理解につなげようとしています。

①記憶・認知機能の市場は2026年に389億ドル

認知・記憶機能の強化に関わる市場は、神経疾患の増加を背景に年平均約11%で成長し、2026年に389億ドル規模に達すると予測されています。2026年はアルツハイマー病の臨床試験結果が相次いで公表される見込みで、記憶の基礎研究への関心が高まっています。

②「ヒスタミン神経のゆらぎ」が鍵

研究グループは、記憶の手掛かりが提示される直前のヒスタミン神経(覚醒状態を調整する脳内の神経)の活動レベルが高いほど、記憶に基づく行動が約40%増えることを実証しました。記憶の「ある/なし」ではなく「引き出しやすさ」を左右する神経メカニズムの解明は、認知機能のゆらぎを理解する手がかりになります。

編集部からひとこと

「覚えているのに思い出せない」という日常的な現象を、特定の神経活動と結びつけて定量的に示した点が注目されます。加齢や認知症に伴う記憶のゆらぎのメカニズム解明は、将来の認知機能サポートの基礎研究として意義が大きいと考えられます。

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