2026.06.12科学技術振興機構(JST)

慶應義塾大学が小腸がんの新原因遺伝子「COPA」を発見、新たな診断・治療法に期待(FrontJournal解説)

ニュース紹介

「未知の小腸がん遺伝子「COPA」を発見~新たな発がん経路を解明~」

慶應義塾大学 医学部 医化学教室の藤井 正幸 准教授、佐藤 俊朗 教授、同 病理学教室の阿部都 尚子 助教、関根 茂樹 教授らの研究グループは、小腸腫瘍の新たな原因となるCOPA遺伝子変異を発見しました。これまで小腸腫瘍の多くは、比較的平坦な形をした腫瘍として知られてきました。

出典:科学技術振興機構(JST) 2026年6月12日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260612-4/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

この研究はがんゲノム医療(がんを引き起こす遺伝子の変異を調べて診断・治療に役立てる医療)の分野です。がんは、細胞の設計図である遺伝子に変異が積み重なることで発生します。どの遺伝子の変異が原因かを特定できれば、その人に合った薬の選択(精密医療)や早期発見につながります。今回の研究は、これまで原因が十分にわかっていなかった小腸のがんについて、新たな原因遺伝子を突き止めたものです。

①がんゲノム医療は年15%成長の領域

がん治療におけるゲノミクス(遺伝子情報を活用した医療)の世界市場は、2025年の約537億ドルから年平均15%で成長すると予測されています。日本でも、がん遺伝子パネル検査が2019年に保険適用され、2023年には約263億円規模に拡大しました。原因遺伝子の発見は、この精密医療を支える基盤になります。

②「COPA」発見が開く新たな発がん経路

研究グループは、細胞内のタンパク質輸送を担うCOPA遺伝子の変異が小腸腫瘍の原因となることを発見しました。従来知られていた平坦な腫瘍とは異なり、高く隆起した形の腫瘍を形成し、小腸がんへ進行しやすいことも示されました。新たな発がん経路の解明は、診断マーカーや治療標的の候補につながります。

編集部からひとこと

小腸がんは消化管のがんの中でも症例が少なく、原因遺伝子の研究が進みにくい領域でした。今回のように特定のがん種で新たな原因遺伝子が明らかになることは、がんゲノム医療が対象とするがん種を着実に広げていく動きの一つといえます。臨床応用に向けた今後の検証に注目しています。

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