市場課題|ヒト心筋細胞の確保が壁

心毒性の評価にヒト細胞が要る
医薬品の開発では、心臓への副作用である心毒性を早く見極めます。国際的な合意文書ICH E14/S7Bの質疑応答集は2022年に、ヒトの心筋細胞を用いた試験管内評価(生体の外で調べる方法)の進め方を示しました。同じ文書は3R原則(動物実験の削減・置換・改善)にも触れており、ヒトの細胞で調べる場面が増えるほど、安定供給が課題です。
培養に高価なタンパク質を要する
細胞を目的の種類へ分化させる培地には、組換えタンパク質が要ります。これらの成分はサイトカイン(細胞へ指示を伝える物質)などと呼ばれ、製造工程が複雑なため価格が高く、ロットごとに品質の差も出ます。そのため培地の費用と品質のばらつきが、研究や製造の負担です。
他にも、動物由来の成分を避けるゼノフリー化への対応、細胞の種類ごとに培地を作り分ける手間、品質を保つ管理の負担、といった課題があるといわれています。
- 心毒性医薬品が心臓の拍動やリズムに与える悪影響を指す。開発の初期に見極められれば、後の工程での中止を避けやすい。
- サイトカイン細胞どうしが情報を伝えるために出すタンパク質の総称。細胞を目的の種類へ導く培地に使われるが、製造費が高い。


