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マイキューテック株式会社

マイキューテック株式会社「ケラチンマイクロ球体」を開発

企業紹介|マイキューテック株式会社とは?

毛髪の主成分であるケラチンを、塗って使える微粒子にした「ケラチンマイクロ球体」。マイキューテック株式会社は、その事業化を進める、筑波大学発の素材系ディープテック企業です。ヘアケア・頭皮ケア化粧品「Q-more.」を、オンラインストアで販売しています。

キーワード「ケラチンマイクロ球体」

「ケラチンマイクロ球体」は、羊毛由来の水溶性ケラチンを、粒径数ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリメートル)の球に加工した微粒子です。特徴は、水に再び混ぜ合わせてゲルにでき(ゲルは、水を含んでゼリーのようになった物質)、皮膚に塗って使える点にあります。「Q-more.」は、マイクロケラチン球体ゲルを配合した頭皮ケア化粧品です。

市場課題|発毛・育毛成分の効果と届けにくさ

現状の発毛成分の課題

既存の発毛成分は効果が部分的

発毛・育毛の成分には、米国食品医薬品局(FDA)が承認した、ミノキシジル(発毛の有効成分として知られる成分)などがありますが、効果は部分的にとどまるのが実情です。筑波大学の発表資料によると、ミノキシジルなどは副作用が大きな課題で、女性や子どもへの投与も大きく制限されています。そのため、新しい成分の研究が進められています。

毛包へ届けることが重要

発毛・育毛を促すには、有効成分を毛包まで届けることが重要とされています。毛包は、毛根を包む皮膚組織で、物質が皮膚のより深い層に入る経路の一つです。毛包へは、粒子を小さくすることで送達できるとされています。

他にも、水に溶けないケラチン粉末では効果がほとんど観測されないこと、皮膚のバリア機能が粒子を通りにくくすること、女性や子どもへの投与が制限されること、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 毛包頭皮の内側で毛根を包んでいる皮膚組織である。毛根を生成し、抜けないように支えるなど、毛髪が育つ上で重要な役割を担う。

マイキューテック株式会社の強み|「ケラチンマイクロ球体」を開発

マイキューテック株式会社が「ケラチンマイクロ球体」を開発

ケラチンを球にして有効成分へ

水に溶けないケラチン粉末は、水に分散して塗っても、マウスの発毛・育毛の効果がほとんど観測されませんでした。

羊毛由来の水溶性酸化ケラチン(水に溶けるよう処理したケラチン)を、霧状に吹き付けて乾かすスプレーミスト法で、粒径数ミクロンの球体にします。これを水中に再び混ぜ合わせたものが、マイクロ球体ゲルで、球状のハイドロゲルとして存在することが示唆されています。剃毛したマウスの背中に1%のゲルを塗ると、塗布2日目から発毛が見られ、約2週間でほぼ毛が生えそろいました。発毛のペースは、ミノキシジル水溶液とほぼ同等でした。毛髪や皮膚の主成分を使えるようになる可能性があり、発毛・育毛への応用が期待されています。

培養皮膚モデルで毛乳頭を活性化

皮膚には、粒子の浸潤や外部からの攻撃を制限するバリア機能があり、粒子を小さくすることで毛包へ送達できるとされています。

ケラチンマイクロ球体は、粒径が数ミクロンです。ヒトの表皮細胞を培養した皮膚モデルを上側、ヒトの毛乳頭細胞(毛根の根元にあり、毛髪の成長を保つ細胞)を下側に置いたモデルでは、球体ゲルが透過し、毛乳頭細胞が活性化することが、遺伝子発現の解析で確認されました。マウスの皮膚組織でも、毛周期の調節や皮膚の状態を保つ働きに関わる遺伝子の発現が増えました。毛包へ有効成分を届けられる可能性が示唆され、塗って使う発毛・育毛成分への応用が期待されています。

FrontJournalの解説
  • ハイドロゲルゲルのうち、液体が水であるものである。三次元の網目構造をもつ高分子物質が、水を含んで膨らんだ状態を指す。

ケラチンマイクロ球体の未来|頭皮ケアから光学材料へ

ケラチンマイクロ球体が変える未来

頭皮ケア化粧品を販売

ヘアケア・頭皮ケア化粧品「Q-more.」は、2026年2月にShopifyで、2026年7月に楽天市場で販売が始まりました。2025年9月から11月には、応援購入サービスのMakuakeで、先行予約販売が行われました。Makuakeのページでは、配合する「高濃度マイクロケラチン球体ゲル」が、時間をかけて角質層まで浸透すると説明されています。これは製品の説明で、研究で調べた毛乳頭細胞への作用とは別の内容です。化粧品のため治療目的ではなく、毎日の頭皮ケアに取り入れる製品です。

化粧品・日用品の原料へ展開

公式サイトの製品紹介には、ケラチン球体「KeraQ」とシルク球体「SilQ」が、化粧品・日用品の原料として載っています。事業には、微粒子化した材料の製造と販売が含まれます。材料の機能化や、応用製品の開発と販売も、事業の内容です。新しい材料の微粒子化に関する相談や、共同開発の問い合わせも受け付けています。

光学材料への展開を目指す

ケラチンやシルクに加えて、発光性ポリマーなどの様々な素材もマイクロ球体にし、健康・美容と光学材料への応用を進めています。発光性ポリマー球体の用途は、レーザー、レンズ、反射剤、蛍光剤などです。環境や生体に優しいバイオポリマーにも球体化技術を適用し、マイクロプラスチック問題の解決や、持続可能な社会、健康社会への貢献を掲げています。医療、光学、電子技術への応用を探っており、暮らしの中の製品を支える素材の選択肢を増やすことを目指しています。

会社概要|マイキューテック株式会社の事業内容・設立背景

筑波大学の研究室から設立

マイキューテック株式会社は、2022年1月4日に設立された、茨城県つくば市の企業です。筑波大学の研究室を起点とする、大学発ベンチャーとされています。経済産業省の大学発ベンチャーデータベース2026の掲載企業の一つです。代表取締役の山本洋平は、2018年2月から筑波大学の教授を務め、2022年1月から代表取締役を務めています。

共同発表と研究の支援

2024年2月の発表は、筑波大学、MED R&D株式会社、マイキューテック株式会社の3者によるものです。この研究は、JST(科学技術振興機構)の事業化プロジェクト(SCORE)の支援を受け、筑波大学と各社との共同研究契約に基づいて行われました。研究成果は、学術誌『ACS Applied Bio Materials』に掲載されています。公式サイトの沿革には、山本洋平が、筑波大学国際産学連携本部で採択されたSCORE「大学推進型」事業に参加したことも載っています。

事業内容と体制

事業は、合成・天然の有機分子や高分子の微粒子化技術の開発と、マイクロ球体の機能化、製造、販売、ライセンス化です。取締役のHeah Wey Yihは天然ポリマー材料の開発を、岡田大地は光学材料の開発を担当しています。資本金は、設立時の100万円から、2025年1月に2000万円へ増資されました。2026年1月には、ヘアモデルの西原英理子が、「Q-more.」のアンバサダーに就任しました。

会社情報

会社名マイキューテック株式会社(MyQtech Inc.)
所在地茨城県つくば市天王台1-1-1
設立2022年1月4日
代表山本洋平(代表取締役)
資本金2000万円
事業マイクロ球体の機能化、製造、販売、ライセンス化。化粧品「Q-more.」、原料「KeraQ」「SilQ」を展開
技術領域ケラチンマイクロ球体、シルク球体、発光性ポリマー球体
連携筑波大学、MED R&D株式会社(共同研究契約)
URLhttps://www.myqtech.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

同社の「ケラチンマイクロ球体」は、水に溶けるケラチンを球にして、塗って使える形にした点が特徴です。粉末の水分散液では効果がほとんど観測されず、球体のゲルで発毛・育毛が観測された点に、素材の形を変えるという発想が表れています。同じ技術は、シルクや発光性ポリマーの球体にも使われています。

とくに注目したのは、研究成果を化粧品の販売までつなげている点です。筑波大学の発表はマウスと培養細胞を用いた実験の結果で、販売する「Q-more.」は化粧品です。研究フェーズからプロダクト開発・販売フェーズに移行中の段階で、素材を球にする技術の広がりを、見守りたいと思います。

FrontJournal編集部

出典:筑波大学「ケラチンマイクロ球体ゲルによる発毛・育毛効果をマウスで実証」(PDF・2024年2月16日)、マイキューテック株式会社 公式サイト、同社 会社概要、同社 製品紹介、Makuake「Q-more.」プロジェクトページ

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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