2026.09.22 中央大学ら 元発表:2026.09.08

中央大学ら、食品添加物由来の均一ポリマーカプセルをマイクロ流体で作製

ニュース紹介

「マイクロ流体デバイスを用いて食品添加物由来の均一ポリマーカプセルを作製 ~PCRや細菌培養に利用可能な微小バイオリアクターを実現~」

中央大学理工学術院の鈴木宏明教授、東京大学大学院総合文化研究科・生物普遍性研究機構の豊田太郎准教授らの研究グループは、食品添加物として使われるTGPRテトラグリセリン縮合リシノレート)から、大きさのそろったポリマーカプセルマイクロ流体デバイスで作製したと発表しました。1秒あたり約160個の速さで、平均粒径は約20〜35マイクロメートルです。カプセルの内部でPCRによるDNA増幅ができることと、大腸菌が24時間後に顕著に増殖することを確認しました。成果は学術誌Dropletに2026年9月2日に掲載されました。

出典:東京大学大学院総合文化研究科 2026年9月8日 プレスリリース/掲載誌:Droplet(DOI:10.1002/dro2.70086)
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/20260908140000.html

FrontJournalの解説

油滴でも脂質カプセルでもない容器

細胞サイズの微小な反応容器は、人工細胞バイオリアクターとして、創薬、分子診断、微生物スクリーニングなどへの利用が期待されています。従来の油中水滴は並列処理に優れますが、周囲が油であるため、フローサイトメーターなど一般的な分析装置との互換性や操作性に課題がありました。リポソームなどの脂質カプセルは温度や環境の変化で壊れやすく、合成ポリマーカプセルは特殊な材料の合成コストが普及を妨げていました。

①食品添加物TGPRを流路内でカプセルに

TGPRは、チョコレートやマーガリンの製造で乳化剤として使われる界面活性剤の一種で、安全性が高く安価とされています。研究グループは、人工細胞の製造用に開発してきたマイクロ流体デバイスを応用しました。流路内で均一な水中油滴をつくり、油と水の界面を通過させてポリマーカプセルに変換します。流路表面のコーティングは要りません。流路の高さや圧力条件の最適化により、1秒あたり約160個の生成速度を達成しました。

②PCRと大腸菌の培養で確認

95℃の熱サイクルを40回行っても、カプセル内部でPCRによるDNA増幅ができました。大腸菌とLB培地を封入すると、24時間後にカプセル内部で顕著な増殖が観察されました。保存安定性では、脂質膜ベシクルが3日後に多くが崩壊した一方、TGPRカプセルは80%以上が形態を維持しました。95℃の熱サイクル40回では、脂質膜ベシクルはほぼ崩壊し、TGPRカプセルの大部分は構造を維持しました。水相中に分散しているため、市販のフローサイトメーターで解析できます。

編集部からひとこと

今回の成果は、装置と実験室での実証の段階です。原文は、単一細胞解析微生物スクリーニング分子進化実験、人工細胞研究などへの応用を予定し、フローサイトメーターやセルソーターとの組み合わせによる高スループット解析に期待を示しています。食品・医薬・診断分野の微小反応容器としての利用も挙げています。詳細は東京大学の公式発表および掲載論文をご参照ください。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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