市場課題|ゲノム編集の産業利用は特許と安全性が壁

海外特許の使用料が開発を圧迫
ゲノム編集で広く使われるCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)は、米国の大学などが基本特許を持ち、創薬領域での使用料が数百億円に達する場合があるとされます。基本特許の権利をめぐる訴訟もあり、支払う相手と金額の見通しが立ちにくい状況です。資金の少ない企業ほど、製品開発に踏み出しにくくなります。
狙い以外の切断が安全性の懸念
オフターゲット(狙った場所以外のDNAを切断してしまう現象)は、ゲノム編集の安全性を左右する問題です。CRISPR-Cas9は、ガイドRNA(標的へ案内する短いRNA)が読む約20塩基の配列から、数塩基だけ違う場所も切ることがあり、オフターゲットが起きやすいとされます。食品や医薬品では意図しない変化の有無を確かめる必要があり、開発が長期化する恐れがあります。
他にも、編集の成否を調べる解析の手間、品種改良に使うゲノムデータの不足、切断酵素を安定して精製する難しさ、といった課題があるといわれています。
- CRISPR-Cas9RNAを目印にして、狙ったDNAの場所へ切断酵素を運ぶゲノム編集ツールを指す。設計が簡単で研究に広く使われる一方、基本特許をめぐる争いがあり、産業利用では使用料が課題になる。


