2026.08.10 SyntheticGestalt 元発表:2026.08.07

SyntheticGestalt、100種のAI創薬実測データを構築へ

ニュース紹介

「EnamineとSyntheticGestalt、世界最大規模のAI創薬データ構築に向けた協業を発表」

SyntheticGestalt株式会社(東京都港区、代表取締役:島田幸輝)は、2026年8月7日、Enamine Ltd.(ウクライナ・キーウ、CEO:Andrey Tolmachov)との協業を発表した。発表によると、産業上重要な100種類のタンパク質ターゲットを解析し、数十万件規模のin vitro実測データを生成して、前例のないスケールと範囲を有するデータセットを構築する。SyntheticGestaltは分子AIの開発・展開を手がけ、学習データ規模100億化合物の分子基盤モデルZAOを持つとしている。Enamineは数十億規模のREAL Compounds、並列合成能力、タンパク質生産、活性アッセイ、B-REALディスカバリープラットフォームを有する。データセットは2027年に公開予定とされている。

出典:PR TIMES(SyntheticGestalt株式会社) 2026年8月7日 プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000123750.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

創薬にAIを使う取り組みは広がっていますが、学習に使えるデータの偏りが課題として指摘されてきました。論文や公開データベースに載る実験結果は、うまくいった組み合わせに寄りがちです。効かなかったという結果は発表されにくく、データとして残りません。またAIが化合物の構造を大量に生成できるようになった一方で、それが実際にタンパク質に結合するかどうかは、試験管の中で測って初めて分かります。予測の材料になる実測データを、偏りを抑えた形でどれだけ揃えられるかが、この分野の性能を左右する要素になっています。

①計算側と合成・測定側の組み合わせ

今回の協業は、役割がはっきり分かれています。SyntheticGestaltは分子AIの開発・展開を手がける日本の企業で、学習データ規模100億化合物という分子基盤モデルZAOを持つとしています。一方のEnamineはウクライナ・キーウの企業で、数十億規模のREAL Compoundsという化合物ライブラリに加え、並列合成能力、タンパク質の生産、活性アッセイまでを自社で持ちます。つまり予測する側と、実際に作って測る側の組み合わせです。AIが候補を出しても検証できなければ前に進まず、逆に測定能力があっても何を測るかを絞れなければ数が足りません。両者を噛み合わせる構成になっています。

②2027年に公開予定という点

規模は、産業上重要な100種類のタンパク質ターゲットについて数十万件規模のin vitro実測データとされています。in vitroは試験管内という意味で、細胞や生体ではなく、精製したタンパク質などを使った実験を指します。注目したいのは、このデータセットを2027年に公開する予定だとしている点です。自社の学習用に囲い込むのではなく外部に出す形を取れば、他の研究機関や企業のモデルも同じデータで評価できるようになります。AI創薬では、モデルの良し悪しを比べる共通の物差しが不足しているとしばしば指摘されてきました。公開の条件や範囲は今後の発表を待つ必要がありますが、方向としてはそこに効く話です。

編集部からひとこと

AI創薬のニュースは、モデルの性能や資金調達の額が中心になりがちです。今回は、その手前にあるデータを作るという地味な部分の話でした。しかも作るのは成功例だけを集めたものではなく、100種類のターゲットに対して網羅的に測るという設計です。ウクライナの企業が合成と測定を担う点も、この分野の供給網が実際にどう組まれているかを示しています。2027年公開という時間軸は決して短くありませんが、データが揃ってから何が起きるかを含めて追いたい発表でした。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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