2026.08.20
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科学技術振興機構(JST)
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元発表:2026.08.20
山口大学ら、光触媒で分解できる循環性プラスチックを開発
ニュース紹介
「光触媒分解性コアを搭載した新しい循環性プラスチックを開発」
山口大学大学院創成科学研究科の西形孝司教授、産業技術総合研究所触媒化学融合研究センターの谷口拓無上級主任研究員、日本工業大学基幹工学部の小池尚志准教授らの共同研究グループは、複数種類のプラスチックに共通して導入できる「汎用的な分解コア」の設計を報告しました。第三級アルキルエステル構造を分子鎖に組み込み、365ナノメートルのLED光と光触媒による触媒反応で、常温・常圧の条件下で分解します。ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタンの3種類のプラスチックへ導入しても、元のプラスチックが持つ強度や耐熱性を保ったまま分解性を付与でき、分解後は原料モノマーを回収して再重合できたと報告しています。研究成果は「Angewandte Chemie International Edition」に掲載されました。
出典:科学技術振興機構(JST) 2026年8月20日 プレスリリース(掲載誌:Angewandte Chemie International Edition/DOI: 10.1002/anie.4234620)
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260820/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
プラスチックは軽くて丈夫で加工しやすい素材として、包装や自動車部品、電気製品まで幅広く使われています。一方で、使い終わったあとにどのように処理するかが長年の課題となっており、燃やしてしまえば二酸化炭素が出て、埋め立てても分解までに長い時間がかかります。
そこで注目されているのが、使い終わったプラスチックを化学反応で分解し、もう一度原料に戻して作り直す「ケミカルリサイクル」という手法です。ただしプラスチックの種類ごとに分解しやすい構造や条件が異なるため、種類ごとに専用の分解技術を開発する必要があり、開発負担が大きい状態が続いてきました。
①異なる樹脂に共通して入れられる「分解コア」
研究グループは、分子の中に組み込むだけで分解性を後付けできる「汎用的な分解コア」を設計しました。第三級アルキルエステルという構造を短い骨格として設計し、これを分子鎖の一部として組み込むことで、プラスチックの種類が変わっても同じ分解経路を使えるようにしています。
報告では、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタンの3種類に分解コアを組み込んで実証しました。いずれも元のプラスチックが持つ強度や耐熱性は保たれたと説明されています。1つの分解技術を複数の樹脂へ横展開できれば、材料ごとに専用のリサイクル工程を組む必要が減り、リサイクル体系の設計が単純になります。
②LEDの光と光触媒だけで進む温和な分解
分解の駆動力には、波長365ナノメートルのLED光と光触媒による触媒反応を使います。反応は室温・常圧で進むため、加熱や高圧、強い薬剤を必要とせず、装置構成もシンプルにできる点が特徴です。分解後には原料となるモノマーが回収でき、再びプラスチックへ重合できたことも確認されています。
本成果はJSTの戦略的創造研究推進事業「ALCA-Next」の支援を受けており、山口大学、産業技術総合研究所、日本工業大学の3機関による共同研究として実施されました。今回は基礎研究段階の報告で、実装や量産化に関する具体的な時期は示されていません。
編集部からひとこと
プラスチックの循環利用は、素材ごとに個別の解決策を積み重ねてきた分野で、樹脂横断で使える設計思想が示された点が興味深い成果です。強度・耐熱性を保ったまま分解性を付与できるかは実プロセスでの検証が必要ですが、LED光と常温・常圧という条件はエネルギー負荷が小さく、既存の生産工程との親和性を検討しやすい方向性と言えます。詳細な実験条件はJST公式ページおよびAngewandte Chemie International Edition掲載論文をご参照ください。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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