2026.07.28
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横浜市立大学・東京科学大学・北海道大学・科学技術振興機構(JST)
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元発表:2026.07.28
横浜市大・東京科学大ら、細胞が自らの膜を「安全に壊す」仕組みを解明(FrontJournal解説)
ニュース紹介
「細胞内の膜を「安全に壊す」仕組みを解明~オートファジーを支える脂質分解酵素Atg15の活性化と膜曲率認識~」
横浜市立大学、東京科学大学、北海道大学、科学技術振興機構(JST)の研究グループは、細胞の自己浄化のしくみ「オートファジー」で働く脂質分解酵素Atg15が、普段は活性中心を閉じた状態にあり、酵素の一部が切断されて膜に結合することで活性中心が開いて働き始めることを発見しました。さらにこの酵素が、小さく強く湾曲した膜に結合しやすい性質を持つことも確認しました。これにより、細胞にとって危険な分解酵素が、分解すべき膜だけを選んで処理する仕組みが明らかになりました。研究成果は米国科学アカデミー紀要(PNAS)に2026年7月23日付で掲載されました。
出典:科学技術振興機構(JST) 2026年7月28日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260728-2/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
オートファジーは、細胞が自らの内部にある不要なタンパク質や古くなった構造物を包み込み、分解して再利用する「細胞のリサイクル機構」です。1988年ごろにこの現象と関連遺伝子を解明した大隅良典栄誉教授は、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞し、以後この分野は世界中で研究が進んでいます。オートファジーの異常は、がんや神経変性疾患など多くの病気と関わることが分かっており、創薬の標的としても注目されています。
オートファジーでは、分解対象を包んだ袋状の膜が細胞内で分解されます。このとき膜を溶かす分解酵素は、扱いを誤れば細胞自身の大切な膜まで傷つけかねません。細胞がどうやってこの「危険な酵素」を安全に制御しているのかは、長く未解明の課題でした。
①酵素は「切断」と「膜結合」で初めて働き出す
研究グループは、脂質分解酵素Atg15が普段は活性中心を閉じており、酵素として働かない状態にあることを突き止めました。酵素の一部が切り離され、分解対象の膜に結合すると、閉じていた活性中心が開いて分解活性を発揮します。つまり、必要な場所・必要なタイミングでのみスイッチが入る安全装置が備わっているということです。強力な分解酵素を細胞質にそのまま漂わせず、膜と出会って初めて活性化させる設計が、細胞の自己防御につながっています。
②「膜の曲がり具合」を目印に分解対象を選ぶ
さらにAtg15は、小さく強く湾曲した膜に結合しやすいことが分かりました。オートファジーで分解される袋の内側の膜は強く湾曲しているのに対し、細胞が守るべき膜の多くはなだらかです。Atg15はこの曲率の違いを手がかりに、壊してよい膜と守るべき膜を見分けていると考えられます。膜の物理的な形状を認識して働く酵素の姿は、生体がもつ精密な品質管理の一例といえます。オートファジーの分子メカニズムの理解が進むことは、関連疾患の治療法を考えるうえでの基礎になります。
編集部からひとこと
強い分解力を持つ酵素を「普段は閉じておき、正しい相手と出会ったときだけ開く」という設計は、細胞が長い進化の中で獲得した安全策のように見えます。オートファジーは基礎研究として深められてきた分野ですが、がんや神経変性疾患との関わりから応用への期待も大きい領域です。今回のように一つひとつの分子の働きが丁寧に解かれていくことが、将来の創薬の土台を静かに広げていくのだと感じます。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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