2026.09.09 科学技術振興機構(JST) 元発表:2026.09.04

JST、国際展開を目指すディープテック3件をD-Globalで採択

ニュース紹介

大学発新産業創出基金事業 ディープテックスタートアップ国際展開プログラム(D-Global) 第5回公募 新規採択課題の決定について」

科学技術振興機構(JST)は、大学発新産業創出基金事業「ディープテック・スタートアップ国際展開プログラム(D-Global)」における第5回公募の新規採択課題3件を決定したと発表しました。

本プログラムは、大学などの技術シーズを核にして、社会・経済に大きなインパクトを生み、国際展開を含め大きく事業成長するポテンシャルのあるディープテック・スタートアップの創出を目的とします。技術シーズの事業開発に責任を有する事業化推進機関と、研究開発に責任を有する研究代表者が共同代表者となり、事業化推進機関のプロジェクトマネジメントのもとで事業化マイルストンと研究開発マイルストンを設定し、両者が一体的に課題を推進します。研究開発期間は最長3年程度(2029年9月末まで)、研究開発費は研究開発期間総額の直接経費で原則3億円程度までとされています。

今回の募集は2026年2月26日から4月15日まで行われ、40件の応募がありました。外部専門家で構成された委員会による書類審査と面接審査を実施し、その結果を基に3件が採択されています。採択されたのは、理化学研究所 生命医科学研究センターの宮井智浩研究員による「アトピー性皮膚炎の炎症と掻痒を抑制するファーストインクラスの外用剤開発」、慶應義塾大学の柚﨑通介特任教授による「ドーパミンシナプス再建による運動機能回復と病勢進行抑制を目指すパーキンソン病治療薬の開発」、九州大学 総合理工学研究院の濱口達史教授による「光パラメータ制御機構を内在するレーザー素子の実現と、時空計測用途に向けた社会実装」の3件です。今後、契約などの条件が整い次第、研究開発を開始する予定としています。

出典:科学技術振興機構(JST) 2026年9月4日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1867/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

大学研究室で生まれた技術が、そのまま製品になることはほとんどありません。論文になった段階の技術は、材料も工程も研究用の規模でしか確かめられておらず、量産や販売の道筋はまだ描かれていないためです。

この間を埋めるために、日本では大学発のスタートアップに公的な資金を入れる仕組みが整えられてきました。D-Globalはその一つで、国内市場だけでなく最初から海外での事業展開を見据えた企業を対象にしています。

①技術を持つ人と事業を作る人を組ませる

研究者が自分で会社を立ち上げる形では、資金調達や販路づくりといった事業側の作業が本人に集中します。研究に充てられる時間は減り、開発が止まりやすくなります。

D-Globalは、事業開発に責任を持つ事業化推進機関と、研究開発に責任を持つ研究代表者を共同代表者として組ませる形をとります。事業化推進機関がプロジェクト管理を担い、事業化と研究開発の到達点をそれぞれ設定して一体で進めます。今回の3件では、ジャフコ グループ、慶應イノベーション・イニシアティブみらい創造インベストメンツが事業化推進機関に入りました。

②採択されたのは創薬2件と光源1件

1件目は、理化学研究所宮井智浩研究員による、アトピー性皮膚炎の炎症とかゆみを抑える外用剤の開発です。これまでにない作用の仕方をする特殊環状ペプチドを塗り薬として開発し、速効性のある抗炎症・抗掻痒薬の商用化を目指します。

2件目は、慶應義塾大学の柚﨑通介特任教授による、パーキンソン病の治療薬です。ドーパミンを受け渡すシナプスを作り直して神経回路を修復し、運動機能の回復と病気の進行抑制を同時にねらいます。3件目は、九州大学の濱口達史教授による、波長と位相をそろえる仕組みを内蔵した垂直共振器型面発光レーザーVCSEL)です。原子時計向けの安定した光源から始め、位相をそろえて並べることでLiDARなどの空間センシングや加工分野へ広げる計画です。

編集部からひとこと

応募40件に対して採択は3件で、通ったのは基礎研究の段階を越えて、どこで売るかまで説明できた課題だったといえます。3件のうち2件が創薬、1件が光デバイスという内訳も、公的資金が入りにくい長期開発の分野に絞られている点で読み取りやすい結果です。研究開発期間は最長で2029年9月末まで残されています。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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