2026.08.11
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東北大学・三重大学・株式会社FOX・株式会社C&A
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元発表:2026.07.28
東北大、貴金属を使わず3.5インチ酸化ガリウム単結晶を実現
ニュース紹介
「貴金属オールフリーなバルク結晶育成装置での3.5インチ級酸化ガリウム単結晶を実現」
東北大学金属材料研究所の吉川彰教授、同大学未来科学技術共同研究センター、株式会社FOXの小野寺晃代表取締役、株式会社C&Aの鎌田圭代表取締役、三重大学半導体・デジタル未来創造センターの姚永昭教授らの研究グループは、貴金属を全く使用しない新規結晶育成手法により、3.5インチ径の酸化ガリウム単結晶を製造したと発表しました。従来の結晶育成では、るつぼにイリジウム(2026年6月相場で約4万円/g)などの貴金属を使用するため、結晶コストの低減が難しく、低酸素分圧に由来する欠陥も生じていました。研究グループは、OCCC法(Oxide Crystal growth from Cold Crucible method)と自動結晶形状制御ソフトウェアを開発し、高酸素分圧の雰囲気で単結晶を製造しました。2029年の量産化を目指し、データセンター、再生可能エネルギー、送配電機器などの電力変換効率の向上への貢献を掲げています。成果は2026年8月4日、国際会議 International Workshop on Gallium Oxide and Related Materials(IWGO2026)で発表されました。
出典:東北大学 2026年7月28日 プレスリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/07/press20260728-01-occc.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
パワー半導体は、電気の電圧や周波数を変換する部品です。データセンターのサーバー電源、電気自動車、太陽光発電のパワーコンディショナーなど、電気を扱う機器のほぼすべてに入っています。変換のたびに一部が熱として失われるため、変換効率の改善は消費電力の削減に直結します。
その効率を左右するのが材料です。長くシリコンが使われてきましたが、より高い電圧に耐える材料としてSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)の実用化が進みました。酸化ガリウムはその次の候補として研究されている材料で、日本発の技術として開発が続いています。
①貴金属るつぼがコストの壁だった
結晶を育てる工程では、原料を高温で溶かす容器(るつぼ)が必要です。酸化ガリウムは融点が高く、また育成に酸素を含む雰囲気を使うため、容器自体が酸化しない材料に限られます。この条件を満たすのがイリジウムなどの貴金属で、発表では2026年6月相場で約4万円/gと説明されています。
容器のコストがそのまま結晶の価格に乗るうえ、貴金属るつぼを守るために酸素の濃度を下げる必要があり、低酸素分圧に由来する欠陥が生じるという指摘も発表に記載されています。今回のOCCC法は貴金属を使わない構成で、高い酸素分圧の雰囲気で育成できる点が要点です。
②3.5インチという口径の意味
半導体は円板状の基板(ウエハ)に回路をつくり、切り出して製品にします。ウエハの直径が大きいほど1枚から取れるチップが増え、1個あたりの製造コストが下がります。既存の製造装置が扱えるサイズに近づくという意味もあります。
今回発表された3.5インチ径は、研究段階の小さな結晶から量産を見据えた口径へ進んだことを示す数値です。発表では2029年の量産化を目標に掲げ、用途としてデータセンター、再生可能エネルギー、送配電機器を挙げています。
編集部からひとこと
次世代パワー半導体の話題は材料の性能値で語られがちですが、今回の発表は容器という製造装置側の課題に踏み込んでいます。材料が優れていても、つくる工程が高価なままでは普及しません。量産目標として2029年という年が明示された点も、実用化の時間軸を測るうえで参考になります。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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