2026.06.18科学技術振興機構(JST)

東京科学大らが負熱膨張材料の安全・クリーンな合成法を開発(FrontJournal解説)

ニュース紹介

「負熱膨張材料の安全でクリーンな合成法を開発~環境負荷の低減、精密機器の熱制御に適した微粒子化に成功~」

東京科学大学の西久保 匠 特定助教、東 正樹 教授らの研究グループは、神奈川県立産業技術総合研究所、大阪公立大学、京都大学と共同で、加熱すると体積が縮む「負熱膨張材料」(ペロブスカイト型酸化物 BiNi₁₋ₓFeₓO₃)を、危険な酸化剤を使わずに安全かつクリーンに合成し、微粒子化する新手法を開発しました。従来は有害な窒素酸化物の排出や爆発のリスクを伴う酸化剤の使用が避けられませんでしたが、新手法はこれを解消します。

出典:科学技術振興機構(JST) 2026年6月18日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260618-3/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

多くの物質は加熱すると膨張するのに対し、負熱膨張材料は逆に加熱すると縮む性質を持ちます。これを普通の材料と組み合わせると、温度が変わっても全体の寸法がほとんど変わらない部材をつくれます。半導体製造装置や光学機器など、わずかな熱による寸法変化が性能を左右する精密機器で重要になる材料です。

①従来は「危険な酸化剤」が必要だった

この材料を合成するには、これまで有害な窒素酸化物の排出や爆発のリスクを伴う酸化剤の使用が避けられませんでした。安全面・環境面の負荷が、実用化に向けた課題のひとつになっていました。

②危険な酸化剤を使わず低温・短時間で微粒子化

研究グループは、逆共沈法と次亜塩素酸イオンによる酸化を同時に行う「共沈酸化同時プロセス」を開発。危険な酸化剤を使わずに、低温・短時間で合成でき、さらに材料を微粒子化することにも成功しました。微粒子化により、樹脂などに混ぜて使いやすくなります。

編集部からひとこと

負熱膨張材料は、精密機器の熱対策を支える縁の下の材料です。性能だけでなく、合成時の安全性と環境負荷まで踏み込んで改善した点に実用志向が表れています。半導体製造装置や光学機器の高性能化に向けて、量産時のコストや品質の安定がどこまで詰められるかが次の焦点になりそうです。

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