2026.06.16科学技術振興機構(JST)

京都工芸繊維大・東大が機械学習で生分解性ポリマーの物性を高精度予測(FrontJournal解説)

ニュース紹介

「アンサンブル機械学習によって生分解性ポリマーの物性を予測~不確実性の可視化によりカーボンニュートラル材料の設計を加速~」

京都工芸繊維大学の福島 和樹 教授、伊藤 琉乃介 博士前期課程学生、東京大学 大学院新領域創成科学研究科の天本 義史 特任准教授、伊藤 耕三 特別教授らの研究グループは、アンサンブル機械学習を活用し、低環境負荷材料として期待される脂肪族ポリカーボネート(APC)のガラス転移温度(Tg)を高精度に予測するとともに、その予測値の信頼性を「不確実性」として定量化することに成功しました。ポリマーの物性は化学構造だけでなく、分子量分布や熱履歴など多くの要因に左右されるため、単一の予測値を得るだけでは不十分でした。

出典:科学技術振興機構(JST) 2026年6月16日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260616/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

この研究はマテリアルズインフォマティクス(AIやデータ科学を使って材料開発を加速する分野)です。新しいプラスチックを開発するには、何度も試作・測定を繰り返す必要があり時間がかかります。AIで材料の性質を事前に予測できれば開発が大幅に速まりますが、予測が「どれだけ信頼できるか」まで分からないと実用には不十分でした。

①生分解性プラスチックは年17%成長市場

生分解性プラスチックの世界市場は2030年に約173億ドル、年平均約17%で成長すると予測されています。カーボンニュートラル実現に向け、性能の良い生分解性材料を効率よく設計する技術の需要が高まっています。

②予測値+「不確実性」を同時に提示

研究グループは複数の機械学習モデルを組み合わせるアンサンブル機械学習で、脂肪族ポリカーボネート(生分解性プラスチックの一種)のガラス転移温度(材料が硬い状態から柔らかくなる温度)を高精度に予測。さらに予測の信頼性を「不確実性」として数値化し、どの予測が信頼できるかを判断できるようにしました。

編集部からひとこと

AIによる材料設計(マテリアルズインフォマティクス)は、開発期間の短縮に直結する有望分野です。予測値だけでなくその確からしさまで示すアプローチは、研究者がAIの結果を実際の材料設計に使ううえで実務的な価値があります。カーボンニュートラル材料開発の加速に注目しています。

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