2026.08.21
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理化学研究所
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元発表:2026.08.20
理化学研究所、水や体液に強い透明導電膜の開発に成功
ニュース紹介
「水や体液に強い透明導電膜の開発に成功」
理化学研究所開拓研究所染谷薄膜素子研究室のスン・ルル研究員、染谷隆夫主任研究員、福田憲二郎客員研究員らの国際共同研究グループは、雨水・海水・体液などの水系環境でも安定して動作する、溶液プロセスによる透明導電ナノ膜を開発したと発表しました。従来の透明導電膜は水やイオンにより剝離や腐食が起きやすく、追加の封止膜を使うと厚く硬くなる課題があったとしています。今回開発したのは厚さ約200ナノメートルの透明導電ナノ膜「二相パーコレーションネットワーク(BIPIN)」です。銀ナノワイヤを基板上に塗布して導電ネットワークを形成し、その後に導電性高分子とフッ素系イオノマーから成るポリマー相を塗布する手順で作製します。ポリマー相が金属ナノワイヤの隙間に入り込み、電気を通すネットワークを保ちながら水やイオンの侵入を抑えるとしています。水接触角はBIPINが94.6度で、多層カーボンナノチューブの16.5度、導電性高分子(PEDOT:PSS)の35.1度、銀ナノワイヤ膜の32.4度より大きい値でした。雨水、リン酸緩衝生理食塩水、海水へ600分浸した後の電気抵抗増加はBIPINが15.8±5.1%だったのに対し、PEDOT:PSSや銀ナノワイヤ膜は200%以上、多層カーボンナノチューブは5,000%以上増加したとしています。皮膚上に直接成膜して水中で筋電図を計測しながら血管像を取得できること、9チャンネルの透明な脳表面電極としてマウス皮質脳波の計測と2光子励起顕微鏡による脳血管イメージングを同時に行えることを示しました。成果は科学雑誌Nature Communicationsオンライン版に8月7日付で掲載されました。
出典:理化学研究所 2026年8月20日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260820_2/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
体に貼って生体信号を測る電極には、密着性・電気の通しやすさ・光の透過性が求められます。透明であれば、電気を測りながら同じ場所を光で観察できます。
課題は水への耐久性でした。汗や雨、体液にさらされると、電極の材料が剝がれたり腐食したりします。防ぐために封止膜を足すと厚く硬くなり、密着性と透明性が落ちてしまいます。
①水に弱いという構造上の弱点
透明導電膜に使われる金属ナノワイヤや導電性高分子は、水やイオンにさらされると腐食・膨潤・基板からの剝離を起こしやすく、電気抵抗の増加や信号品質の低下につながります。
封止で守ろうとすると厚みが増します。薄さと耐水性を同時に満たすことが課題でした。
②隙間をポリマーで埋める二相構造
開発した「BIPIN」は厚さ約200ナノメートルです。銀ナノワイヤで導電ネットワークを作った後、導電性高分子とフッ素系イオノマーのポリマー相を塗り、ナノワイヤの隙間を埋めます。
水接触角は94.6度で、従来材料の16.5〜35.1度より大きい値です。雨水・生理食塩水・海水に600分浸した後の電気抵抗の増加は15.8±5.1%にとどまりました。従来材料は200%以上、多層カーボンナノチューブは5,000%以上増えています。
編集部からひとこと
耐水性は数字で比べにくい性質ですが、今回は600分浸した後の抵抗変化という共通の条件で従来材料と並べています。15.8%と200%以上という差は、用途が変わる水準です。水中での筋電図計測と脳表面電極という2つの実証まで示されており、応用の当てが具体的です。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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