2026.07.20
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理化学研究所
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元発表:2026.07.14
理研とJASRI、次世代放射光SPring-8-Ⅱ向けビーム入射用真空チェンバを開発(FrontJournal解説)
ニュース紹介
「次世代放射光源のためのビーム入射用真空チェンバを開発」
理化学研究所放射光科学研究センターの田中均副センター長と、高輝度光科学研究センター(JASRI)加速器部門の田島美典研究員らの共同研究グループは2026年7月14日、次世代放射光施設SPring-8-Ⅱに向けたビーム入射用の真空チェンバ(装置内部を真空に保つ容器)を開発したと発表しました。
開発したのは、ビーム入射用パルス磁石の性能を渦電流によって乱さない高性能の真空チェンバです。プロトタイプを製作して磁場を測定した結果、SPring-8-Ⅱにおいて「利用者にとって透明なトップアップ入射」を実現できる性能を確認しました。次世代の光源では入射の頻度が高く、ビームの断面が大幅に小さくなるため、入射時に蓄積ビームが一時的に振動することが課題となっていました(DOI: 10.1103/vml2-pycy)。
出典:理化学研究所 2026年7月14日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260714_2/index.html
FrontJournalの解説
放射光とは何か、なぜ産業に重要なのか
放射光は、電子を光の速さ近くまで加速し、磁石で進路を曲げたときに発生する非常に明るい光です。この光を当てると、物質の内部を原子のレベルで観察できます。実際に、低燃費タイヤのゴムの内部構造の解析や、医薬品のもとになるタンパク質の立体構造の解明などに使われてきました。研究機関だけでなく、企業の材料開発にも使われる産業インフラです。
①「トップアップ入射」と今回の課題
放射光施設では、リング内を回る電子が時間とともに少しずつ失われます。そこで減った分を継ぎ足し、光の強さを一定に保つ運転方法がトップアップ入射です。ただし電子を補充する瞬間、既に回っているビームが揺れてしまい、実験中の利用者に影響が出る可能性があります。次世代機ではビームがさらに細くなるため、この揺れの影響がより深刻になります。
②「利用者に気づかれない」ことが技術目標
今回開発された真空チェンバは、パルス磁石の働きを渦電流で乱さない構造にすることで、この揺れを抑えるものです。目標は「利用者にとって透明」、つまり実験している人が補充に気づかない状態をつくることです。地味に見えますが、こうした装置の積み重ねが、企業や研究者が安定して使える施設を支えています。SPring-8-Ⅱは現行機を大きく上回る性能を目指しており、その実現に向けた要素技術のひとつです。
編集部からひとこと
新素材や次世代半導体の開発では、物質を原子のレベルで「見る」ことが欠かせません。その目となるのが放射光施設です。今回の真空チェンバは主役ではありませんが、施設を安定して使えるようにする縁の下の技術です。日本の材料・製造業の競争力を支える基盤として、SPring-8-Ⅱの整備がどう進むか、今後の展開が注目されます。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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