2026.08.27
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理化学研究所・名古屋大学
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元発表:2026.08.26
理化学研究所ら、複雑なナノグラフェンを2段階で合成する手法を開発
ニュース紹介
「複雑なナノグラフェンをわずか2段階で合成」
理化学研究所開拓研究所 伊丹分子創造研究室の伊丹健一郎主任研究員と、名古屋大学大学院理学研究科の伊藤英人准教授らの共同研究チームは、多環芳香族炭化水素(PAH)から多様なナノグラフェンを短い工程で合成する新手法を開発しました。
共同研究チームは、未修飾のPAHにさまざまな構造のナフタレン骨格をパラジウム触媒で直接つないだ後、酸化的に環を閉じる「二段階縮環π拡張(二段階APEX)法」を確立しました。従来のAPEX法では利用できるπ拡張剤が限られ、合成できるナノグラフェンの構造多様性に制約がありました。本手法では立体的に混み合った芳香環部位も導入でき、8〜10個の環が縮環した平面型および湾曲型のナノグラフェンを合成しています。特に、五員環・六員環・七員環が組み合わさった、負の曲率をもつ大きく湾曲したナノグラフェンの創製に成功し、その立体構造、芳香族性、吸収・発光特性を明らかにしました。
本研究は、科学雑誌『Angewandte Chemie International Edition』オンライン版に8月25日付で掲載されました。
出典:理化学研究所 2026年8月26日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260826_1/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
ナノグラフェンは、炭素が蜂の巣状に結合したシート状物質であるグラフェンの一部を、分子として切り出したような化合物です。原子の並び方がはっきり決まっているため、分子の大きさや形、環のつながり方によって電子状態や光の吸収・発光の性質が大きく変わります。
この性質から、有機発光ダイオード(画面などに使う発光素子)や有機太陽電池、有機電界効果トランジスタへの応用が期待されています。研究者が目指しているのは、狙った形のナノグラフェンを自在に作り分け、まだ知られていない光・電子機能を引き出すことです。
①従来は工程が長く、作れる形が限られた
狙った構造のナノグラフェンを作るには、あらかじめ原料に反応点を導入し、クロスカップリング反応で骨格を組み立て、最後に環を閉じるという多段階の工程が必要でした。
工程が長いほど、試せる構造の数は限られます。従来のAPEX法でも、使えるπ拡張剤の種類が限られていたため、到達できる構造の範囲に制約がありました。
②2段階に短縮し、湾曲した構造まで届いた
共同研究チームは、未修飾の多環芳香族炭化水素にナフタレン骨格をパラジウム触媒で直接つなぎ、そのうえで酸化的に環を閉じる二段階APEX法を確立しました。立体的に混み合った部位も導入できます。
この手法で、8〜10個の環が縮環した平面型と湾曲型のナノグラフェンを合成しました。なかでも五員環・六員環・七員環が組み合わさった、負の曲率をもつ大きく湾曲した分子の創製に成功しています。
編集部からひとこと
材料研究では、作れる形の数がそのまま探索できる機能の幅になります。工程が2段階に収まると、1つの構造を作るのに要する手間が下がり、比べられる分子の種類が増えます。負の曲率をもつ構造は平らなグラフェンには無い性質が現れる余地があり、合成の入口が広がった意味は小さくありません。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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