2026.07.27 理化学研究所・新潟大学 元発表:2026.07.23

理研・新潟大、脳が活発に働くときにつくられる新しいペプチドを発見(FrontJournal解説)

ニュース紹介

「脳が活発に働くときにつくられるタンパク質を発見」

理化学研究所 脳神経科学研究センターと新潟大学脳研究所の研究グループ(田中元雅チームディレクター、ナヤン・スーリャワンシー特別研究員、三國貴康教授ら)は、脳の神経活動に応じて合成される短いペプチド「Egr1-uORF」を発見したと発表した。これは、これまでタンパク質をつくらないと考えられていた領域(上流ORF)から生成されるもので、そのカルボキシル末端には、ペルオキシソームという細胞内小器官へ運ばれるための目印(三つのアミノ酸)が備わっている。研究では、神経活動によって399種類のタンパク質合成が増加し、約30個の上流ORFや約100個の非コードRNA領域で翻訳が起きていることを見いだした。記憶形成のメカニズムの解明や、認知症などの記憶障害を伴う神経疾患の新しい治療法開発への貢献が期待されるとしている。研究成果は科学誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載された。

出典:理化学研究所 2026年7月23日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260723_1/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

私たちの脳は、神経細胞が活発に働くときに新しいタンパク質を合成し、それが記憶の形成などに関わると考えられています。タンパク質は、遺伝情報(mRNA)を設計図として、リボソームという分子機械が読み取ってつくられます。この読み取りの作業を「翻訳」と呼びます。

これまで、mRNAの中には「タンパク質をつくらない」と考えられてきた領域がありました。その一つが上流ORF(uORF)と呼ばれる、本来の設計図の手前にある短い読み枠です。今回の研究は、この見過ごされてきた領域から、神経活動に応じて実際に短いペプチド(小さなタンパク質)がつくられていることを突き止めたものです。

①つくらないはずの領域からできる短いペプチド

研究グループが見つけたのは、神経活動に応じて合成される「Egr1-uORF」という短いペプチドです。これは、これまでタンパク質をつくらないと考えられていた上流ORFという領域から生成されます。さらに研究では、神経活動によって399種類のタンパク質の合成が増え、約30個の上流ORFや約100個の非コードRNA領域で翻訳が起きていることも見いだしました。これまで機能が不明とされてきた領域が、脳の働きに応じて実際に使われていることを示した点が特徴です。

②ペルオキシソームへ運ばれる「目印」

見つかったEgr1-uORFには、その一方の端(カルボキシル末端)に、ペルオキシソームという細胞内の小器官へ運ばれるための目印(三つのアミノ酸)が備わっていました。この目印によって、できたペプチドが細胞内の特定の場所へ届けられる仕組みです。研究グループは、この発見が記憶が形づくられるメカニズムの解明や、認知症など記憶障害を伴う神経疾患の新しい治療法の開発につながることを期待しています。

編集部からひとこと

「タンパク質をつくらない」と長く考えられてきた領域が、実は脳の働きに応じて小さなペプチドをつくっていた——という発見は、生命の設計図の読み方がまだ奥深いことを感じさせます。399種類という具体的な数字や、ペルオキシソームへ運ぶ目印といった細かな仕組みまで示されており、記憶研究の基礎を広げる成果だと受け止めました。認知症などの治療につながるかはこれからの研究次第ですが、基礎の一歩として意義のある報告です。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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