2026.09.10 東北大学 元発表:2026.09.09

東北大学ら、機械学習でトマトの生育を促す微生物群集を設計

ニュース紹介

「微生物群集をデザインして植物を強くする -機械学習でトマト生育を促進する微生物群集を設計・実証-」

東北大学 東北メディカルメガバンク機構の青木裕一講師、山﨑真一研究員(現、理化学研究所 環境資源科学研究センター研究員)、京都大学 生存圏研究所の杉山暁史教授、中安大研究員、理化学研究所 環境資源科学研究センターの白須賢グループディレクター増田幸子研究員らの研究グループは、植物の生育を促す微生物コミュニティを予測・設計する手法を開発したと発表しました。

植物の生育を促す有用な微生物は数多く見つかっていますが、複数の微生物をどのように組み合わせれば高い効果が得られるかを効率的に予測・設計することは困難でした。研究グループは、微生物の組み合わせに加えて、微生物の遺伝子情報、植物由来成分、栽培温度などの情報を機械学習で統合しました。

設計した微生物コミュニティは、実験室での高温条件下および屋外の農地環境でトマトの生育を向上させました。さらにマルチオミクス解析により、植物の高温耐性に関連する遺伝子や微生物を見出し、作用の仕組みの一端を解明しています。本成果は国際学術誌『The ISME Journal』に8月26日付で掲載されました。

出典:理化学研究所 2026年9月9日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260909_1/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

畑の土には、目に見えない微生物が大量に住んでいます。その一部は植物の根に付き、養分吸収を助けたり、病気を起こす菌を追い払ったりします。

こうした働きを持つ微生物を選んで畑にまけば、肥料農薬を減らせると期待されてきました。実際に有用な微生物は数多く見つかっており、農業資材として売られているものもあります。

①効く1株を見つけても畑では効かない

1種類微生物を選んで施しても、畑では効果安定しないことが知られています。土の中では多数の微生物が互いに関わり合っており、外から入れた1株だけが働くわけではないためです。

そこで複数の微生物を組み合わせて使う方法が考えられますが、組み合わせの数は種類が増えるほど爆発的に増えます。どの組み合わせが高い効果を出すのかを、片端から試して確かめるのは現実的ではありませんでした。

②遺伝子と栽培条件をまとめて学習させる

研究グループは、どの微生物を組み合わせたかという情報だけでなく、微生物が持つ遺伝子の情報、植物から出る成分、栽培したときの温度までを1つのモデルに入れて機械学習にかけました。組み合わせの良し悪しを、菌の名前ではなく働きの中身から予測する形です。

この手法で設計した微生物コミュニティは、実験室高温条件でも、屋外の農地でもトマトの生育を向上させました。さらに遺伝子やタンパク質、代謝物をまとめて調べるマルチオミクス解析により、高温への耐性に関わる植物の遺伝子と微生物を特定し、なぜ効くのかの一端を示しています。

編集部からひとこと

有用微生物を探す研究は長く続いてきましたが、今回は探す対象を1株から組み合わせへ移し、その設計データに任せた点が違います。実験室だけでなく屋外農地でも効果が出たという報告は、条件がそろった環境でしか効かないという従来の課題に対する答えの1つといえます。気温の上昇が続くなかで、暑さに強い作り方を土の側から支える技術として注目されそうです。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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