2026.07.23
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科学技術振興機構(JST)
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元発表:2026.07.22
東京農工大・JSTら、ウイルス感染能を高感度で測る「マイクロフローアッセイ法」を開発(FrontJournal解説)
ニュース紹介
「マイクロ液滴を含む新流体材料を利用した「マイクロフローアッセイ法」の開発に成功~ウイルス感染能の超高感度定量測定を実現~」
東京農工大学の内田紀之特任講師、村岡貴博教授らの研究グループは、横浜市立大学、北里大学、東京大学、東北大学、徳島大学、韓国基礎科学支援研究院、国立陽明交通大学(台湾)、科学技術振興機構(JST)などと共同で、マイクロ液滴を含む新しい流体材料を利用した「マイクロフローアッセイ法」の開発に成功したと発表した。デキストランのマイクロ液滴がポリエチレングリコール水溶液中に分散した流体材料を用い、ペプチドナノファイバーによって液滴どうしの融合を長時間抑制する。この液滴内にウイルス(M13ファージ)と宿主となる大腸菌を閉じ込め、フローサイトメトリーで解析することで、ウイルスの感染能を定量的に測定できる。従来のプラークアッセイ法と比べて10倍以上高い感度と、測定時間の大幅な短縮を実現したとしている。研究成果は科学誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載された。
出典:科学技術振興機構(JST) 2026年7月22日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260722-2/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
ウイルスがどれだけ「生きて感染する力」を持っているかを調べることは、感染症対策やワクチン・治療薬の研究で欠かせない作業です。長く使われてきた代表的な方法がプラークアッセイ法で、培養した細胞にウイルスを感染させ、感染で細胞が壊れてできる斑点(プラーク)を数えて感染力を測ります。
ただしこの方法は結果が出るまでに数日かかり、感度にも限界があるとされてきました。そこで、微小な液滴(マイクロ液滴)の中で反応を起こし、その一粒ずつを高速に解析する技術が注目されています。今回の研究は、この液滴を安定してつくる材料の工夫がポイントになっています。
①液滴が混ざらないようにする材料の工夫
今回の方法の中心にあるのは、マイクロ液滴を安定してつくる新しい流体材料です。デキストランという多糖の液滴を、ポリエチレングリコール水溶液の中に分散させ、さらにペプチドナノファイバー(AzSAP)で液滴の表面を覆うことで、液滴どうしが融合してしまうのを長時間抑えます。液滴が混ざらずに独立を保てると、一粒ずつを「小さな反応容器」として使えます。この一粒の中にウイルスと宿主の大腸菌を閉じ込め、感染が起きたかどうかを一粒単位で観察できるようにしたのが特徴です。
②従来法より10倍以上の感度と時間短縮
研究グループによると、この方法は従来のプラークアッセイ法と比べて10倍以上高い感度で、測定にかかる時間も大幅に短縮できたとしています。感染を起こしたウイルスと宿主を含む液滴を、フローサイトメトリー(粒子を一つずつ高速に光で分析する装置)で解析することで、多数の液滴を短時間で調べられます。感度が高いほど、ごく少量のウイルスも検出しやすくなり、時間が短いほど検査の回転が上がります。研究グループは、感染症の拡大防止に向けたウイルス検出技術への応用を見込んでいます。
編集部からひとこと
ウイルスの感染力を測るという地味に見える作業は、実は感染症研究の土台を支える重要な工程です。今回の成果で目を引いたのは、派手な装置ではなく「液滴を混ざらないように保つ材料」という基礎的な工夫が感度と速さの向上につながっている点でした。国内外の多くの機関が名を連ねる共同研究であることからも、この分野の裾野の広さがうかがえます。実際の臨床ウイルスへの適用がどこまで広がるか、続報に注目したいところです。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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