2026.08.27 筑波大学 元発表:2026.08.26

筑波大学、40cm離れた物体を片側からの超音波で浮遊させることに成功

ニュース紹介

「物体に超音波ビームを従来の6倍の距離から照射し浮遊させることに成功」

筑波大学図書館情報メディア系の伏見龍樹助教と、同大学院人間総合科学学術院博士後期課程の頃安祐輔さんらは、微小な物体に約40センチメートルの距離から特殊な超音波ビームを片側から照射し、非接触かつ空中で安定に浮遊・搬送することに成功しました。ビーム中心の高音圧領域で物体を捕捉する方式を用いることにより、従来よりも約6倍離れた物体の浮遊を初めて実証しています。

研究グループは、中心軸に高い音圧が細く集中したまま遠くまで伝わるゼロ次ベッセルビームを用いることで、音圧の高い領域で物体を捕らえることに成功しました。この方法により、片側からの照射だけで音源から最大約40センチメートル離れた空中で直径1.5ミリメートルの発泡ポリスチレン球を安定に浮かせ、3次元的に動かすことができました。また、複数の物体や球でない物体の浮遊に加え、障害物の先でも浮遊できることを確かめています。

本研究成果は、2026年8月24日付で科学誌『Physical Review Letters』に掲載されました。

出典:科学技術振興機構(JST) 2026年8月26日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260826-3/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

超音波などの音の力で物体に触れずに浮かせる技術を音響浮遊と呼びます。物体に接触しないため、壊れやすい試料や、汚染を避けたい試料、危険な材料の操作に向いています。

これまでの主流は、向かい合う音源反射板の間に定在波を作り、その間に物体を挟み込む方式でした。装置に囲われた空間の中でしか扱えない点が制約です。研究者が目指しているのは、囲いのない開けた場所で、離れた物体を扱えるようにすることです。

①離れると物体を押し出してしまう

囲いのいらない片側照射方式もありますが、物体保持できるのは音源のすぐ近くに限られていました。この制約浮遊原理から生じます。

従来の方式はいずれも、音圧がほぼゼロの静かな点を高い音圧で囲い込み、そこに物体を捕らえます。片側から照射する場合、音源から離れるにつれて保持する力が失われ、やがて押し出す向きに転じてしまいます。

②高音圧の領域そのもので捕らえた

研究グループは、中心軸に高い音圧が細く集中したまま遠くまで伝わるゼロ次ベッセルビームを使い、音圧の高い領域で物体を捕らえることに成功しました。静かな点で捕らえる従来の考え方とは逆の発想です。

片側からの照射だけで、音源から最大約40センチメートル離れた空中に直径1.5ミリメートルの発泡ポリスチレン球を浮かせ、3次元的に動かしています。複数の物体や球でない物体、障害物の先でも浮遊を確認しました。

編集部からひとこと

理論的予測されていた浮遊が、空中で初めて実証されました。装置で囲う必要がなくなると、扱える対象と場所の制約が変わります。障害物の先でも浮かせられる点は、装置の内部に手を入れずに試料を動かす用途に向きます。実験の自動化や立体ディスプレーへの応用が挙げられています。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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