2026.08.11 東北大学・北海道大学・AZUL Energy株式会社 元発表:2026.08.04

東北大ら、青色顔料の触媒でCO2をメタンへ選択率8割で変換

ニュース紹介

「安価な青色顔料触媒でCO2をガス燃料メタンに高効率変換する手法を実現」

東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の藪浩教授、劉騰義特任助教、李昊教授、同大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター(SRIS)の小野新平教授、北海道大学電子科学研究所の松尾保孝教授、AZUL Energy株式会社らの研究グループは、安価な青色顔料である銅フタロシアニンを担持したカーボンを電極触媒とし、電気化学的なCO2電解還元によって二酸化炭素をメタンへ高選択的に変換することに成功したと発表しました。発表によると、CO2の電気化学的変換では反応選択率の向上と生成物の分離精製が大きな課題でした。今回の触媒では最大約8割の反応選択率と、約80時間の耐久性を確認したとしています。成果は学術誌 Small に掲載されました(DOI: 10.1002/smll.75041)。

出典:東北大学 2026年8月4日 プレスリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/08/press20260804-03-co2.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

回収した二酸化炭素を燃料や化学品の原料として使い直す技術は、CCU(Carbon Capture and Utilization)と呼ばれます。なかでもメタンは都市ガスの主成分で、既存のガス管やガス機器をそのまま使えるため、つくった燃料の運び先が確保しやすいという特徴があります。

再生可能エネルギーの電気で水とCO2から燃料をつくる手法は電解還元と呼ばれ、国内でもガス会社や重工メーカーが実証を進めています。研究の焦点は、目的の物質だけを狙って生成する精度と、触媒がどれだけ長く働くかに置かれています。

①選択率が低いと分離の費用がかさむ

CO2の電解還元では、一酸化炭素、ギ酸、エチレン、メタンなど複数の生成物が同時にできます。混ざったガスから目的の成分だけを取り出すには分離精製の設備と電力が必要で、この工程が費用を押し上げます。発表でも、反応選択率の向上と生成物の分離精製が大きな課題だったと説明されています。

今回報告された最大約8割の反応選択率は、生成物のうちメタンが占める割合を示す数値です。目的の成分の比率が高いほど、後段の分離にかかる負担は小さくなります。

②触媒に青色顔料を使う理由

銅フタロシアニンは、印刷インキや塗料に広く使われている青色顔料です。すでに大量生産されている工業材料であり、研究発表では安価な材料として位置づけられています。触媒に希少金属を使う場合と比べ、原料の調達という面での制約が小さくなります。

あわせて約80時間の耐久性が確認されたと発表されています。触媒は使い続けるうちに性能が落ちるため、どれだけの時間動き続けるかは実用性を判断する材料になります。実装にはさらに長時間の運転検証が必要で、今回の成果は研究段階のものです。

編集部からひとこと

CO2を使い直す研究では変換効率の数字が注目されますが、実際のコストを決めるのは分離工程です。選択率という指標に軸足を置いた発表であり、材料に汎用の顔料を選んでいる点もあわせて、量産を意識した設計に見えます。学術誌に掲載された基礎研究であり、実用化の時期は示されていません。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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