2026.08.21 神戸大学 元発表:2026.08.20

神戸大学、シリコンナノ粒子でキラル分子を可視光で検出

ニュース紹介

「分子の「右手・左手」の情報をナノ粒子に転写~キラルな低分子の新しい光学検出原理を実証~」

神戸大学大学院工学研究科の笠井大幹大学院生、新谷健斗大学院生、杉本泰准教授、藤井稔教授、エクセター大学(英国)のFrank Vollmer教授らは、シリコンナノ粒子が、右手と左手のように鏡写しの関係を持つ「キラル」な分子から利き手の情報を受け取り、その情報を観測しやすい光信号として示す「キラリティ転写」を実験的に実証したと発表しました。医薬品やアミノ酸などにはキラルな分子が数多く存在し、同じ成分でも生体内での働きや薬効が大きく異なるため、その識別は創薬や生命科学において重要だとしています。しかしキラル分子が示す光の信号は非常に弱く、多くの場合は測定が難しい深紫外領域に現れるため、高感度かつ簡便に識別することが課題となっていました。本研究では、可視光に対して強い光学共鳴を示すシリコンナノ粒子がキラル分子の特徴を写し取り、本来は深紫外領域にあるその情報を、測定しやすい可視光の信号として映し出す現象を実験で明らかにしました。研究グループは、この現象がナノ粒子を介して分子の性質を異なる波長の光で読み出す仕組みであるとし、高感度な分子識別技術への応用が期待されると説明しています。成果は2026年8月10日(現地時間)付で国際科学誌Nano Lettersに掲載されました。

出典:科学技術振興機構(JST)・神戸大学 2026年8月20日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260820-8/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

右手と左手のように、重ね合わせられない鏡写しの関係にある分子をキラル分子と呼びます。医薬品やアミノ酸に数多く存在します。

同じ成分でも右手型と左手型で体内での働きや薬効が大きく変わるため、医薬品の開発ではどちらであるかの識別が欠かせません。過去には、この違いが薬害につながった例もあります。

①測りたい信号が測りにくい波長にある

キラル分子は、光の当て方によって右回りと左回りで応答が変わります。この差を測ることで利き手を判別します。

ところがその信号は非常に弱く、多くの場合深紫外領域に現れます。この波長帯は測定装置が限られるため、高感度かつ簡便に識別することが課題でした。

②ナノ粒子が情報を写し取る

研究グループは、可視光に対して強い光学共鳴を示すシリコンナノ粒子を使いました。この粒子がキラル分子の特徴を写し取り、本来は深紫外領域にある情報を、測定しやすい可視光の信号として映し出す現象を実験で示しています。

この現象は「キラリティ転写」と呼ばれ、ナノ粒子を介して分子の性質を異なる波長の光で読み出す仕組みです。研究グループは高感度な分子識別技術への応用を挙げています。

編集部からひとこと

測りにくい波長の情報を、測りやすい波長へ移すという発想です。装置側の性能を上げるのではなく、測る対象の見せ方を変える方向であり、既存の可視光の装置が使える点が実務では効いてきます。シリコンを使っている点も、材料の入手のしやすさという意味で条件が良い部類です。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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