2026.08.12 かずさDNA研究所・森林総合研究所林木育種センター・九州大学 元発表:2026.08.10

ヒノキ・スギなど針葉樹3種の染色体レベルのゲノムを解読

ニュース紹介

「日本の林業を支えるヒノキ・スギ・コウヨウザンの染色体レベルのゲノム解読に成功」

かずさDNA研究所(白澤健太室長、青柳優太特任研究員)は、森林総合研究所林木育種センター、九州大学と共同で、ヒノキ、スギ、コウヨウザンのゲノムの解読に成功したと発表しました。発表によると、対象としたゲノムの大きさはヒノキが87億塩基対、スギが96億塩基対、コウヨウザンが134億塩基対で、3種の巨大なゲノムのすべての染色体について高精度な塩基配列の決定に成功したとしています。また、3種の樹木が持つ11本の染色体のうち3本の染色体でDNAの並び順が入れ替わっていることが分かり、3種が進化の過程で分かれてきた背景を理解する手がかりになると説明しています。研究グループは、優れた特徴を持つ木を苗木の段階でDNA情報を手がかりにして選ぶための技術開発の重要な基盤となり、林業における品種改良の効率化に貢献することが期待されるとしています。成果は学術誌 DNA Research に掲載されました(DOI: 10.1093/dnares/dsag010)。

出典:九州大学・かずさDNA研究所 2026年8月10日 プレスリリース
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/67084/26_0810_01.pdf

FrontJournalの解説

この研究分野について

スギやヒノキに代表される針葉樹は、建築材や内装材をはじめとする木材製品に使われる森林資源です。近年は成長の早いコウヨウザンも、新たな造林樹種として注目されています。

これらの樹木は品種改良に数十年という時間がかかります。世代交代が長く、育ててみるまで性質が分からないためです。この時間を短縮する手がかりとして期待されているのが、生物の設計図にあたるゲノム情報です。苗木の段階でDNAを調べ、優れた性質を持つ個体を選べれば、育種の期間を大きく縮められます。

①針葉樹のゲノムは桁違いに大きい

ヒトのゲノムは約30億塩基対です。今回対象となった針葉樹は、ヒノキが87億塩基対、スギが96億塩基対、コウヨウザンが134億塩基対と、いずれもヒトを大きく上回ります。塩基配列の量が多いほど解析の負荷は上がり、似た配列の繰り返しも増えるため、正しい順序に組み上げることが難しくなります。

今回の発表では、3種の巨大なゲノムについて、すべての染色体で高精度な塩基配列の決定に成功したとしています。

②染色体3本で並び順が入れ替わっていた

解読の結果、3種の樹木が持つ11本の染色体のうち3本で、DNAの並び順が入れ替わっていることが分かったと報告されています。研究グループは、この違いが3種の分かれてきた背景を理解する手がかりになると説明しています。

実用面では、苗木の段階でDNA情報を手がかりに優れた木を選ぶ技術の基盤になると位置づけられています。本研究は、炭素貯留能力に優れた造林樹種の育種を目的とする農林水産研究推進事業の委託プロジェクト研究などの支援を受けて行われました。

編集部からひとこと

林業は投資の回収に数十年を要する産業で、品種改良の期間短縮はそのまま事業性に効いてきます。ヒトの3倍前後という規模のゲノムを染色体レベルで読み切った点が、この発表の技術的な要点です。苗木段階での選抜が実際にどこまで当たるかは、今後の検証を待つことになります。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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