2026.08.13
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筑波大学・九州大学・慶應義塾大学
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元発表:2026.08.03
筑波大・九大ら、染色せず低濃度分子を捉える顕微鏡を開発
ニュース紹介
「高感度・高速で複数の分子を読み分ける、染色不要の分子イメージング法を開発」
九州大学大学院理学研究院の村上優介助教(研究当時:筑波大学グローバル教育院大学院生)、平松光太郎教授、桶谷亮介助教、大学院理学府の左神法秀氏、江嶋郁人氏、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の正木みのり氏、柳沢正史教授、本城咲季子特任助教、慶應義塾大学理工学部の加納英明教授らの研究グループは、電子共鳴による感度向上と広帯域なラマン計測を組み合わせ、低濃度分子を高速・高感度かつ高い識別能で可視化できる BER-CARS/CSRS 顕微鏡を開発したと発表しました。コヒーレントラマンイメージングは細胞や組織を染色せずに分子の分布を観察できる技術ですが、従来法で観察できるのは主に高濃度で存在する分子に限られていました。今回の手法では、光を吸収する分子を通常より1000倍以上低い濃度でも検出できることを示したとしています。この高感度化により、ミトコンドリアに存在しエネルギー代謝に関与するシトクロムを、生細胞およびマウスの脳や肝臓などの生体組織内で無標識に可視化することに成功しました。さらに、シトクロムに加えて核酸、脂質、タンパク質を同時に観察し、細胞死の進行に伴って分子の分布が変化する様子を追跡したとしています。成果は米国科学振興協会(AAAS)の学術誌 Science Advances に2026年8月1日に掲載されました。
出典:九州大学・筑波大学 2026年8月3日 プレスリリース
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/67067/26_0803_03.pdf
FrontJournalの解説
この研究分野について
細胞の中で分子がどこにあるかを見る技術は、生命現象や病気の仕組みを調べる基盤です。一般的には目的の分子に蛍光色素を付けて光らせますが、この操作は細胞本来の状態に影響を与える可能性があり、色素が退色するため長時間の観察も難しくなります。
これに対しコヒーレントラマンイメージングは、分子固有の振動を光で検出することで、色素を使わずに分子の分布を観察する技術です。染めないため細胞をそのままの状態で見られる一方、検出できる感度に限界がありました。
①見えるのは濃い分子に限られていた
従来のコヒーレントラマン法で観察できるのは、主にミリモル濃度という比較的多量に存在する分子でした。生体内に少量しかない分子は信号が弱く、背景に埋もれてしまいます。
感度を上げる方法として、光の波長を目的の分子が吸収する帯域に合わせてラマン信号を強める電子共鳴効果が知られていました。ただし従来の方式は限られた波長範囲しか扱えず、複数の分子が混ざる細胞や組織では、背景の信号と分けて定量することに課題があったと発表では説明されています。
②広い波長域と電子共鳴を組み合わせる
今回の手法は、コヒーレントラマン過程で用いる光の一方の波長域を広げてスペクトルとして信号を取得し、分子を見分ける能力を高めています。もう一方に可視光を用いて電子共鳴効果を起こすことで、検出感度を大幅に向上させました。
その結果、光を吸収しやすい分子では通常より1000倍以上低い濃度でも検出できることを示したとしています。エネルギー代謝に関わるシトクロムを生細胞やマウスの脳・肝臓の組織内で無標識に可視化し、核酸・脂質・タンパク質と同時に観察して、細胞死の進行に伴う分布変化を追跡したと報告されています。
編集部からひとこと
染色せずに見られるという性質は、そのまま生きた組織を扱えることを意味します。がんや神経疾患、肝疾患での代謝異常を早期に捉える検査技術への発展が発表では挙げられており、研究グループは測定速度の向上と装置の小型化、臨床検体での検証を今後の課題としています。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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