2026.07.29
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新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)・ニコン
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元発表:2026.07.29
NEDO・ニコン、ウェハ計測の精度を約35%向上 積層化に対応(FrontJournal解説)
ニュース紹介
「ウェハの位置・方向が正確に測定できるアライメント計測システムの高精度化を実現しました」
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と株式会社ニコンは、半導体ウェハの位置・方向を正確に測定するアライメント計測システムの高精度化を実現したと発表しました。具体的には、(1)可視域から近赤外域の広帯域光に対応した新しい光学系の開発、(2)高出力ワイドバンド光源の開発、(3)これらを統合した高精度アライメント計測システムの実証、の3点を実現しています。
従来のシステムでは、アライメントマークを高密度に配置すると検出精度が劣化して計測時間が増大すること、カーボン系ハードマスクやシリコン膜の下にあるマークの検出が困難なことが課題でした。新しいシステムでは色収差を抑制し、厚膜シリコン越しの下層マーク検出を可能にしています。製品化されたアライメントステーション「Litho Booster 1000」では、計測精度が約35%、スループットが約10%向上しました。ニコンはすでに同製品の受注を開始しており、今回搭載されなかった要素技術についても、後継機種への段階的な実装を念頭に開発を継続するとしています。
出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 2026年7月29日 プレスリリース
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101956.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
半導体は、回路のパターンを何十層も積み重ねて作られます。層と層のずれが許される幅はナノメートル(10億分の1メートル)の単位で、ずれれば配線がつながらず不良になります。そこで露光(回路パターンを焼き付ける工程)の前に、ウェハがどの位置にどの向きで置かれ、どれだけゆがんでいるかを測る必要があります。この工程がアライメント計測です。
測る手がかりになるのが、ウェハ上にあらかじめ刻まれた「アライメントマーク」です。ところが近年は、記憶素子やロジック半導体を垂直方向に積み上げる3次元化が進み、マークが厚い膜の下に隠れる場面が増えました。ニコンはこの計測を担うアライメントステーションを2018年から市場に投入しており、自社製・他社製いずれの露光装置にも補正値を渡せる位置づけの装置として展開しています。
①「見えないマーク」を見るための広帯域光
今回の開発の要は光の使い方です。マークの上にカーボン系ハードマスクや厚いシリコン膜があると、光が通らず像がぼやけて位置を読み取れません。そこで可視域から近赤外域までの広帯域光に対応する光学系と、高出力の光源を新たに開発しました。波長の長い近赤外光は膜を透過しやすく、下層のマークまで届きます。
ただし波長の幅を広げると、波長ごとに焦点の位置がずれる「色収差」が生じ、かえって精度が落ちます。今回はこの色収差を抑える設計を採ることで、広い波長を使いながら位置を正確に読み取れるようにしました。透過性と精度はふつう相反しますが、その両方を成立させた点が技術的な中身です。
②精度とスループットを同時に上げた意味
公表された数値は、計測精度が約35%向上、スループットが約10%向上です。半導体の製造装置では、精度を上げようとすると測定点を増やす必要があり、そのぶん時間がかかってスループット(単位時間あたりの処理枚数)が落ちるのが通例です。両方が同時に改善したということは、1枚あたりのコストを上げずに歩留まりを改善できる余地があることを意味します。
成果はすでに製品「Litho Booster 1000」として形になっており、受注も始まっています。研究段階の実証にとどまらず、装置として市場に出ている点は評価しやすい部分です。今回搭載されなかった要素技術も後継機種への実装を念頭に開発が続くとされており、段階的に取り込まれていく見通しです。
編集部からひとこと
半導体の話題は回路の微細化に集まりがちですが、実際の歩留まりを決めているのは「正しい位置に重ねられるか」という地味な工程です。今回のように精度とスループットが同時に改善したという報告は、製造現場にとって素直に効く種類の成果といえます。3次元実装が進むほど下層のマークは見えにくくなるので、この方向の改良はしばらく続くはずです。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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